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八月十六日

 動物の死体の一部を、三か所に放置してきたけど、ローカルニュースで報道されただけで、特に、話題になる事はなかった。

 自己満足だけど、その行為に意味があると思っていたから、また、動物の死体を切断しようと思った。

 真夜中。動物の死体を探し歩く。でも、そんなに、都合よく見つからない。

 月が僕を見ていた。半目で見ていた。嘲笑う様に。

 隣りの隣りの町まで歩いて来た。公園の入り口の門の脇に、段ボール箱が放置されていた。

 段ボール箱の中を覗くと、目の開いていない、産まれて数日と思われる、子猫が一匹、小刻みに震えていた。

 その子猫の横に、もう一匹、居た。ミニタオルか雑巾かと思っていたが、半開きの目が、二つ、付随していた。子猫だと認識した。その子猫は微動だにせず、瞬きもせず、段ボール箱の側壁の内側を見つめ続けていた。どうやら、死んでいる様だ。

 待望の動物の死体を見つけた。けれど、生きている方の子猫の頸部を切断しようと思った。多分、この子も、永く生きる事は出来ないだろう。だから、ひと思いに。

 段ボール箱から、子猫を取り出す。「みゅーみゅー」鳴いてた。

 ナタを振り上げる。

 その瞬間、背後で、物音がした。木の枝を踏んだと思われる音。振り返る。小学校低学年と思われる女子児童が居た。

 殺そうと思った。目撃者は消さねばならない。ナタを大きく振り上げた。女児に向けて。

 その瞬間、女児は走り去って行った。暗闇に消えて行った。距離があったから、逃してしまった。咄嗟に、動けなかった。

 僕は、段ボール箱の中に、子猫を戻した。

 殺すべき存在は、女児でも、子猫でもなく、罪のない無垢な存在を殺そうとした自分自身だと認識した。


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