八月十日
八月八日早朝、自分達の住む地域に隣接する校区の小学校で、若い男性の変死体が発見された。
校庭の遊具の昇り棒の2本に、上下スライドできる様に固定されたナタによって、首を切断され死亡していたらしい。
遺体は、先日から行方が分からなくなっていた、女子中学生の死体遺棄・損壊事件の重要参考人のものと判明。遺体に争った形跡はなく、ナタに結ばれたロープからは本人の皮膚片のみ検出されており、また、所持品から遺書も見つかっており、自殺と断定された。そして、遺書の中には、先の事件に関与している事を仄めかす記述もあり、県警は被疑者死亡で書類送検する方針と報道されていた。
ラザロは自ら作ったギロチンによって、断頭台の露と消えた。そして、自ら、『箱舟の動物』になった。
憎むべき存在を死に至らしめる事が出来た。復讐は果たせた。けれど、何か、もやもやした。
ラザロが死亡した事により、事件の真相は闇の中に消えた。そして、彼女の頭部の在り処の手がかりを知る術も失った、永遠に。
達成感と共に湧き上がる喪失感と謎のもやもやとした何かが入り混じった、よくわからない感情を落ち着ける為に、机の引き出しの中に入れておいたナタの柄を握り締めた。




