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あなたのように強くありたい



「ハルコ」


「相楽くん?」



研究室からの帰り道、廊下で呼び止められた私はムスッとしている相楽くんに首を傾げる。

そう言えば随分久しぶりに顔を見た気がする。

ミヤと前に会った時、しばらくは任務で地方に出て行くのだと言っていたし……それ以外で会う事も無かったからだろうか。

私の方も高城先生に私の目に見えるノーア達を数値化する為ココ最近はずっと研究室へ通っているので、すれ違っていた。



「久しぶり、どうして怒っているの?」


「別に怒ってはいない」


「そう?眉間にシワが寄っているけれど」



そう言って1歩近付き眉間に指を乗せると、びっくりしたように固まって「うるさい」と視線を逸らした。



「山奥に行っていた、娯楽も何も無い場所にな」


「任務だったよね、お疲れ様です。

怪我はしていない?」


「……してない」


「そう、良かった」



しかし相楽くんはまた眉間にシワを寄せてしまう。

私の答えが何か気に食わなかったのだろうか。

黙って見上げていると「今暇?」と観念したように聞いてくるので頷く。



「付き合って、明日まで休みなんだ。

1人でぶらついてても楽しくない」


「大丈夫だよ、ノアを呼んで来ようか?」


「そう言えば今日は一緒じゃないんだな」


「最近は研究所の中をよくお散歩に行ってるよ、帰って来たらどこに何があったよって教えてくれるんだ」



最近のノアは外に楽しみを見つけたらしく、嬉しそうに探索に出掛けているのだ。

私もノアの話しを聞くのが楽しみなので、今日も帰って来たら新しい事を聞けるかもしれないと笑顔で返した。



「ふーん、なるほどね。

じゃあ準備してくるから待っ……いや、部屋まで来てくれるか?」


「相楽くんの?」


「そ、ここで待ってても暇だろ?

渡したい物もあったし、来て」



こっち、と歩き出した相楽くんの後ろに着いて行きながら隊員寮へと向かう。

ミヤの部屋へ向かうのに通った道だなと思いながら、ほとんど通る事の無い場所だと思っていると「道、覚えてろよ」と相楽くんは振り返る。



「え?」


「また呼び出すから」


「相楽くんのお部屋に?どうして?」


「……日向の部屋にも遊びに行ったんだろ?

俺の部屋に来たって変じゃないだろ」


「変では無いけれど……」


「もてなすような物はまあ……あんまり無いけど」


「私のお部屋にもあまり無いなぁ……何か楽しめる物と思うんだけれど、よく知らないから」


「じゃあ今日はそれ買いに行くか。

俺もお前用になんか揃える」


「私用なの?」


「お前しか来ないからな」



どうしてだろうかと首を傾げていると「鈍い奴」とまた眉間にシワを寄せてしまった。

やっぱり相楽くんは難しいなと、私も眉間にシワを寄せてしまう。



「入って」



扉を開くと、左手に観葉植物。

ベッドにサイドテーブルとかなりシンプルにまとめられていた。

ミヤの女の子らしいお部屋とまた違うんだなと思っていると「何も無いだろ?」と苦笑する。



「何があれば良いとか考えててよ、俺着替えてくるから」


「あ、うん」



奥の部屋へと引っ込んだ相楽くんを見送って、私は自分の部屋を思い出しながら頭を悩ませる。

相楽くんのお部屋も同じ様にシンプルなので何が合うかなと考えるものの、そもそも私が普通のお部屋と言うのが分からないと結論を出せずにいた。

何が良いかよりも、帰って来たら相楽くんが心穏やかになれる何かの方が良いんじゃ無いかと思い、あっという間に戻って来た相楽くんの服の裾を引いた。



「なに」


「お花は?」


「花?」


「うん、帰って来てお花が目に入ったらホッとしない?」


「花か……」



ふと思い悩む様子の相楽くんに「何となくそう思っただけだから、嫌なら良いの」と首を振ると「いや」と力の抜けた笑みを浮かべた。



「良いなそれ、あとで選んでよ。

俺もお前に選ぶから」


「……うん!」



採用されて良かったと喜んでいると「これ」と紙袋を渡された。



「これは?」


「さっき渡す物あるって言っただろう?

開けて」


「ここで?」



くれた本人の目の前で開くのはとても恥ずかしいなと思いつつ、紙袋を受け取る。

小さな箱の中に入っていたのは、アイボリーの小さめのリュックだ。

濃いめのブラウンのラインがアクセントになっていてとても可愛らしい。



「それあげる」


「えっ」


「気に入らないか?」



また眉間にシワだと慌てながら「私相楽くんに貰ってばかりだよ」とリュックを見る。



「あげたいからあげる、要らないなら捨てろ」


「捨てはしないけれど……」


「じゃあ使え、俺と出掛ける時に」


「相楽くんと?」


「そ」



むむっと眉を寄せると「お前も寄ってるぞ」と笑って私の眉間を押さえた。



「お前は知ってるだろ、俺はやりたい事しかやらない」


「それは……うん、分かった。

ありがとう、相楽くん」



頭を下げて「ありがたく使わせていただきます」と返すと、得意げに頷いて「おう」と嬉しそうに笑った。

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