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武器狩のマドガラス

マイナス1875年、伝説の男がいた。


不気味な白い仮面を被り、あらゆる賞金首を刀二本で討伐する。


誰もその男には歯が立たず、ついには国中の賞金稼ぎ、剣豪からも命を狙われるが全て返り討つ。


だがその名はある時をもって消えた。


その男はいなくなったのだ。


いまだその名前は轟いており、言うことを聞かない子供に(あいつが来るぞ!)という習わしもできたくらいだ。


一体あれは誰だったのか…


幻とかしたその男の名は…………









マイナス1885年…会土瓜山(アヅチウリヤマ)の時代。


この時代を納める将軍、中室ナカマルはある事柄を


耳に入れていた。


ダイヤモンドというものが重宝されるこの時代にダ


イヤモンドの涙が流れる女がいると…





シナノ族村長の一人娘、アムサは一人で猪狩りへ来

ていた。


この村では20歳を過ぎた男は猪狩りへフワリの森へ赴き、猪を村へ納め強さを証明する…だがシナノ族の男たちは数年前の倭人の乱で大半が戦死した。


女であるアムサは村を守るため強くなることを望んだのだ。


相棒のトンビ、セパモンと愛剣のナグラコウを手に森を歩く。


だがどうにもフワリの森の様子がおかしい。

森に動物がいない。


それに何かの臭いがする……

「これは……」


目の前で無惨にも死に絶える動物たち。

それは焼き殺された動物の死臭だった。


それを踏みにじる複数の馬賊集団。


「貴様ら!なんてことを!」


「見つけたぞ!シナノのアムサ!大人しくお前の体を我々に渡せ!貴様のその特殊体質を将軍がもとめているのだ……」










ボラバラの町は人は少ないもののいつも活気が溢れている。


鉄細工職人のオトモリは弟子の少年マコロを連れ風

呂敷に並べていた。


「マコロ!客を呼んでこい!」


オトモリの声に走り出すマコロ。


マコロは金持ちそうな大人や子供好きそうな女の前へ行く。


「こっちにいいものがあるよ!先代将軍が部屋に飾っていた細工と同じもんさ」


マコロの可愛さに連れられてか商売口上に引かれてかはわからない。

だが鉄細工はひたすら受けた。


本来手に入りにくい鉄というのも受ける理由なのだろう。


オトモリは数人の客をさばき、最後の一人となる。


その男はボロボロの袴をきており、銭をもってると

はおもえなかった。ただ特徴的な狼の刺青が胸から覗いている。


「なあ……あんた、マドガラスって知ってるか?」


マドガラス……


「聞いたことぐらいは……」


「正体不明の盗賊さ。武器を持たず体術のみで盗みを働く輩だ。しかし奴は銭を盗まない…盗むのは刀や銃、武器ばかりだ……」


男はオトモリの返しを聞かず話し続けた。


「この辺には鉄が作れるところはない。あんたの細工の材料は鉄だな…不思議なもんだな…」


そういうと男はなにも言わず去っていく。

その姿を横目に睨むオトモリ。




深夜のウシミツドキ…2時のことなんだが、語源はウシミツさんの心臓がドキドキ鳴り響く時間なんだとか。


そんなことはどうでといい。


オトモリは用意していた黒い鉄の仮面と鉄の鎧、鉄の股当、鉄の腕当てを装着したオトモリの目の前を馬賊集団が横切る。


こちらの姿に気付いた集団は馬を止めた。


「おい!てめえは誰だ!轢き殺すぞ!」


オトモリは集団の数を数えた1…3…6…8人。


「8人とも刀を持っているな。刀をよこせ。それ以外はいらねーよ。」


集団がその台詞に感ずく。


「…てめえ、武器狩りの狂烏〈マドガラス〉だな!?」


「…刀をよこせば痛い目には合わせねーよ。」


馬賊集団は刀を抜き集団で降りかかった。


武器も持たない盗賊など怖くないと。


だが刀の軌道には刀を弾き返すほどの固い鉄の武具があった。


全ての刀を叩き割る。ものの2分ほどであった。


「さあ丸腰になったな。今度はおまえらの頭を叩き割ろうか?」


馬賊集団は腰抜けた状態で馬を引きずって逃げていった。


刀を回収するオトモリ。


破れないように鎖でできた袋に入れた。


最後の一本を拾おうとした時。


そこには刀とは別に謎の大きな布袋が。


「なんだ?大砲か?」


中を開けるとそこには人間がいた。女だ。

気を失ってはいるが脈はあるようだ。


「こんな物騒なとこには置いとけねーわな。」






フラカマ城にて。


中室ナカマルは怒り狂っていた。


土下座をする8人の泥まみれの男の頭を踏みつける。


「将軍様!マドガラスが出たんです!」


その名前はナカマルの耳にも入っていた。


「あの最近巷を賑わす武器狩りか……だが……」


だが…


「マドガラスは武器にしか興味がないはずだろう。なぜあの女を盗む?」


男たちは自分達のミスで落としたことをもちろん言える筈もなかった。


マドガラスに全ての罪を被せてやる作戦だ。


「マドガラスもダイヤモンドの存在を知っているのか。何としてもあの女を連れ戻すんだ!」


その時、将軍室の門が開く。


「まだ話してるんだ!入ってくるな!」


将軍の罵声は過ぎ去り、開いた門から倒れた護衛の姿とそれを踏み潰す見覚えのある白い仮面。


「護衛がこれじゃ城もつぶれるな…」


振り向いた8人の馬賊もまた腰が抜けて動けなかった。


「お前は…伝説の賞金稼ぎ…抜天武狼(バッテンブロウ)…」


「死んだと聞いたぞ!生きてやがったのか!」



将軍や馬賊の声をよそに白い仮面の男は話し続けた。


「マドガラスとか言ったな…俺がぶっ殺して女を取り戻してやるよ。ただし、銭はもらうがな。」


白い仮面の男。


着流した上衣から覗く狼の刺青……



















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