いい事しか起こらない
掲載日:2026/05/09
友人に誘われて出席した飲み会で、明るい女の子と知り合った。
「君、明るくていいなぁ。僕なんか、ここ最近、しばらくずっと憂鬱でさぁ。仕事はきついし、理不尽な理由で上司から怒られるしで」
そう愚痴を言うと、彼女は笑った。
「へぇ、可哀想ね。私、運が良いんだよ。いい事しか起こらないの」
僕はなんとなく彼女に好印象を抱いた。ちょっと可愛かったし、このポジティブさは、一緒にいて気持ちが良い。だから是非とも近しい関係になりたいと思ったのだ。思ったのだけど……
しばらく楽しく話していると、不意に友人が僕の袖を軽く引く。何かと思って顔を向けると、小声で彼は僕に言うのだ。
「おい。彼女はやめておけ」
何故か青い顔をしていた。
「なんでだよ? こんなにいい子なのに」
僕は“邪魔する”なとばかりにそう言った。すると、彼はこう返すのだ。
「いいか。よく聞け。彼女、ちょっと前に、家族が皆殺しにされているんだよ。強盗に入られて」
それを聞いて、僕は驚いて彼女を観てみた。
彼女は屈託のない表情で楽しそうに笑っていた。




