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二度目のサッカー人生  作者: スティーブ・チャン
第二章

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第24話

バスに揺られること約三時間。チームは郡山神風こおりやま・かみかぜの主要トレーニングセンターに到着した。会場には既に無数の応援バナーやポスターが掲げられ、試合前から圧倒的なホームの雰囲気が作り上げられていた。


郡山神風トップチームの過去最高成績はJ2三位。だが、昇格プレーオフでは一度も勝てず、J1昇格を果たせていない。その点では群馬伊香保温泉ぐんま・いかほおんせんと似たような境遇だが、唯一違うのは、彼らが「福島県屈指の強豪クラブ」であるという点だ。


一方の群馬県には、長年「県内ナンバーワン」の座に君臨するJ1クラブ・草津温泉くさつおんせんが存在する。それに比べると、伊香保温泉の立場はどうしても一段低く見られてしまう。


「サッカーも温泉も、一生二番手に甘んじてろ!」──これは伊香保の選手たちが、ユースからトップチームに至るまで、ことあるごとに浴びせられるトラッシュ・トークだ。


バスを降り、更衣室で素早く着替えてピッチへ出ると、観客席は既に満員だった。蕭智堯シウ・チーイウにとって、これはただのユースリーグの一試合に過ぎない。閑古鳥が鳴く香港プレミアリーグの観客数と比べれば、信じられない光景だった。


「僕たちのホームゲームでも、こんなに人が入るのか?」蕭智堯はきょろきょろと見回し、隣の舞木嘉正もぎ・よしまさに尋ねた。


「クラブユースの試合はどうかな……でも中体連の試合なら、これくらいは入るよ。県大会の終盤や全国大会になれば、それこそスタジアム級の観衆が集まる。」舞木嘉正は少し考えて答えた。「名門校ならもっと凄いぞ。学校が応援団を派遣するし、応援のために授業を休むことも公認されるからな。」


「羨ましいな……」蕭智堯は感嘆の声を漏らし、立錐の余地もないスタンドを見上げた。太鼓を持ち込んで応援しているサポーターまでいる。


「香港は違うのか?」


「全然違うよ。」蕭智堯は笑って首を振った。


ピッチサイドの柵には「福島第一」「福島最強」といった横断幕が掲げられている。「香港勁揪(香港すごいぞ)」と同じようなスローガンだが、ここには香港代表戦のような「全員で団結する」というよりは、強烈な「地域への帰属意識」が感じられた。


蕭智堯にとってそれは新鮮であり、同時に香港サッカー協会が近年必死に醸成しようとしている「地域への誇り」そのものだった。


……


ユース年代は年齢層が細分化されており、リーグ戦の勝敗そのものに大きな意味はない。そのため、特別な事情がない限り、クラブ側が対戦相手に対して過度なスカウティングや対策を行うことは稀だ。それよりも、自チームの戦術理解や連携を深めることに重点が置かれる。


だが、郡山神風に関しては別だった。昨年、彼らが輩出したある若きストライカーがJ1ユースへ移籍し、鮮烈な活躍を見せてU-15日本代表に選出されたことで、このクラブの名は度々全国紙を賑わせていたからだ。


長谷川万華はせがわ・まんげって名前、聞いたことあるか?」舞木嘉正が言った。「今じゃメディアから『福島の光』なんて呼ばれてるぜ。」


「いや、知らない。」蕭智堯は首を振った。U-15のフォワードといえば、グアムで戦ったあの強力な3トップしか思い浮かばない。「そんなに凄いのか?」


「元々は福島県の短距離走選手でさ、県大会の百メートル走で毎年優勝、全国一位も取ったことがあるらしい。全国決勝のゴール前で後ろを振り返る余裕を見せたことから、『福島のボルト』なんてあだ名がついたほどだ。」舞木嘉正は説明した。「でもその後、サッカーに目覚めて転向を志願し、郡山神風ユースに入ってからは、あっという間に有名になったんだ。」


「陸上選手か……」蕭智堯の脳裏に、静岡で見たあの無尽蔵のスタミナを持つ機関車が浮かんだ。「バックグラウンドは横道元気よこみち・げんきと似てるな……」



既に彼自身はチームを去っているが、長谷川万華が郡山神風に残した影響は色濃く残っていた。


ウォーミングアップ中、蕭智堯は直感的に理解した。このチームの選手たちは、そのクラブ名の如く、極めてスピードがある。


助監督がエンドライン付近へボールを送り、選手たちが全速力でスプリントしてクロスを上げる練習を繰り返している。数セットもやれば疲労が蓄積してスピードが落ちるはずだが、彼らは涼しい顔で疾走し続けていた。日頃の鍛錬の賜物だろう。


「あそこの選手の大半は、陸上経験者だって噂だぜ。とにかくコーチがスピードのある選手を好んで選抜してるらしい。」U-13キャプテンに任命された橘大輔たちばな・だいすけが言った。「確かに、スピードがあれば多くのことをカバーできるからな。」


「でも、スピード重視ってことは、結局は引いて守ってカウンター狙いってことだろ?」隣の岡田健也おかだ・けんやが言った。


「ああ。そしてあいにく、俺たちの戦術は……ショートパスによる崩しだ。ある意味、一番苦手なタイプと当たっちまったな。」橘大輔は苦笑した。


蕭智堯はアップの合間に相手選手を観察していた。もちろんここはJ2の下部組織リーグであり、ジュビロ磐田やグアムで戦った相手とはレベルが違う。だが、純粋なスピード勝負なら、彼らもそう引けを取らないだろう。


「よし! 集合!」試合時間が迫り、鈴木卓すずき・すぐるが手を叩いて選手たちを集めた。「この試合の注意点を簡単に確認するぞ。」


古くからのライバル同士であり、双方のユースチームのスタイルもここ数年変わっていない。互いの監督は、試合展開の大枠を既に予測していた。


「いつも通りだ。守備時は中盤がしっかり声を掛け合い、ゾーンとチャレンジ&カバー(チェーン・ディフェンス)でバイタルエリアを封鎖しろ。相手の細かいパスワークを簡単に入れさせるな。」郡山神風の監督は戦術ボードを叩いた。「あの香港人のことが気になるのは分かるが、サッカーは個人競技じゃない。戦術を遵守し、自分たちの得意なサッカーを貫けばいい。」


「蕭智堯の情報は向こうにも伝わっているだろうが、あの監督の頑固な性格からして、いきなりマンツーマンをつけてくることはないはずだ。」一方の鈴木卓はリラックスした様子で、雑談でもするように語りかけた。「向こうは郡山神風のサッカーを貫く。なら、我々も群馬伊香保温泉のサッカーを貫くだけだ。相手の高速カウンターにビビる必要はない。」


「今日は新シーズンの初戦だ。緊張したり、感覚が戻らなかったりするかもしれない。だがそれは相手も同じだ。相手のミスは、こちらのカウンターのチャンスになる。プレッシャーを感じすぎるな。相手に有名選手がいるからって縮こまる必要もない──我々にも、信頼できるエースがいるんだからな。」


「ポゼッション対カウンターで常に直面する問題はこれだ。『ここでパスをミスしたらカウンターを食らう。だから安全に行くべきか? 何人攻め上がらせるべきか? いっそ中盤と前線だけで崩して、後ろは残しておくか?』。私の答えは、『余計なことを考えるな』だ。普段の練習通りにやれ。」


「長谷川! 長谷川家には万華だけじゃなく、優秀な選手がもう一人いることを証明してやれ!。」郡山神風の監督が檄を飛ばした。


「蕭智堯! J1の連中にお前を選ばなかったことを後悔させてやれ!。」鈴木卓も叫んだ。


「はい!。」


「はい!。」


主審が左手を突き出し、腕時計を確認して笛を吹いた。両チームの選手がピッチへ散らばり、U-13リーグ開幕戦の幕が切って落とされた。


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