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ボディガード

ピピピピピ♪



う~ 朝か…もうちょっと寝ていたい…


仕方なくアラームを止めるが動けない


98の70の超絶低血圧な私は寝起きが最悪だ



よく嫁いだ妹に「おねーちゃんはいつも不機嫌だから話しかけるのに勇気いるよ~」とからかわれたし…


ダメ…だ…起きれ…ない…


もこっ…


ん? 何か顔に乗ってる…何…このもこもこした気持ちいい感触…


「遅刻するよ 顔洗っておいで」


へ…って…イルカのお兄ちゃんが顔面に乗っかってるし!!


「あ、あなた、動けるの?」


「言わなかったっけ 皆に見えないように気配を隠すのに比べたら動くのなんて簡単だよ」


キラキラした黒い瞳で見つめられて起こされた私は半ば寝ぼけながら布団から起き上がる


「急に立ち上がるとふらつくから気をつけて」


「ありまと…大丈夫大丈夫…」


少々ふらつきながら洗面所へ向かい歯磨きして顔を洗うとぼやけた頭が徐々にスッキリしてくる


さて…着替えますかね…


北海道にラベンダー畑を持っている友人の紹介でひと駅先のハーブショップで雇われ店長をすることになり一年…


ようやく仕事にも馴れてゆとりが出てきたので9時までに出勤すれば楽勝だ


ピンクと白の重ね着風チュニックに着替えてバッグをとると…


え??え??


お兄ちゃんがちゃっかりバッグの中に入っている!!


「小さいからいいでしょ♪ 連れてって」


いやいや…


確かに今はぬい活している人が結構いてお気にのぬいちゃんを連れてお出かけしてぬい撮りしてるの見かけるけど…


流石に店長の私がそれしちゃマズいよね?


「だからさ…俺は他の人には見えないって」


じいぃぃぃ…


「嘘! だってパパとママに見えてるじゃない…」


「家族は特別 きみに編み物教えてくれて俺は裸でいないですんだわけだし」


そりゃそうだけど…


「でももしよ、うんと霊感の鋭い店員やお客様がいてお兄ちゃんのこと見えたらどうするの?」


「心配症だな…霊感関係なく俺は家族以外に存在しないの わかる?」


「思いきって聞くけど…あなたはいったい何者なの?

どこから来たの?

私はぬいぐるみや動物や植物と会話できるけど普通はそんな事出来ないじゃない…」


「それは俺にもわからない 

気付いたら知らない家の前にいて…ただきみを守りに来たんだ」


「わからないって…」


「世の中には説明出来ない不可思議な事があるだろ?

今さら帰れって言われても泳いで帰るわけにはいかない」


「きみはね…外出先だと気が散漫して不注意だから俺がついていないと交通事故にあいやすいんだよ」


…!!


そんなこと…心配してくれるの妹とお兄ちゃんしかいなかった…


どうして…


しぜんと涙が溢れてきてとまらない…


うう…う…


「おいっ、泣くな 化粧が崩れる」


「し、心配して…くれて…ありがどぉ…ううう…」


泣きながらイルカのお兄ちゃんを抱きしめる


「だってっ…私にそんな事言ってくれるの妹とお兄ちゃんだけだった…から」


「よしよし…」


彼は小さなピンクのヒレで頬をナデナデしてくれた


「あ~!! いっけないっ!! もう出ないと遅刻だっ」


「待て! 慌てるな

お前は店長なんだから少しくらいの遅れは平気だよ

急いで転んだりしたら目も当てられないぞ」


そういえば…以前、洗濯機が壊れたとき カーテンを洗いたくて慌ててコインランドリーに行く途中で派手に転んだっけ…


顔面流血の私を見て妹とお兄ちゃんがすぐに消毒して救急車を呼んでくれたから傷は真皮に達せずに傷跡も残らなかったんだよね


また思い出しちゃった


「ママ、大丈夫?

今日はお休みできないの?」


鳩娘のぽぽちゃんが心配している


私はぽぽちゃんのまあるい頭を撫でながら


「ママはお休みできないんだ

大丈夫だよ イルカのお兄ちゃんが一緒だし心配かけてごめんね」


「きみはそそっかしいから彼に毎日言ってもらった方がいいよ」と編みぐるみのちっちゃん


「あーちゃん…気をつけるのよ」


ピンクのゾウさんのマコちゃんも心配している


「じゃあ改めてお兄ちゃん、一緒に来てね」


「ああ」


「鳩子ちゃん、待ちなさい

走らなくても間に合うからね

ゆっくり気をつけて行くのよ」




リーダー格のぶーさんに注意され 私は頷きながらマイクロファイバーのタオルを敷いた茶巾袋にお兄ちゃんをそっと忍ばせるとバッグに入れてお店へ向かった




be continued





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