表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1話

高校2年の姉と中学2年の弟。

姉と弟の日常を描いた物語。

母「忘れものないー?」

明人(あきと)「ないー。行ってきまー。」


今日から新学期。

神崎明人(かんざきあきと)13歳。普通の男子中学生。


上白銀(かみしろがね)学園に通っている。学園は中高一貫校の共学で生徒数も1400人。


中高一貫校だけで珍しいのに…


夏美(なつみ)「遅いよっ。明人ー。」

明人(あきと)「遅くねーよ。普通だって。」


同じ学校に姉がいるということだ。


姉の夏美(なつみ)は高校2年生。

新学期から生徒会に入り、今日は朝早く登校し挨拶運動をしていた。


夏美(なつみ)「あんたも2年生になったんだから、しっかりね。」

そう言いながらオレの襟元を直してきた。


明人(あきと)「分かってるよ…あんまり…」

オレは姉から少し離れた。


夏美(なつみ)「はいはい。じゃあ、頑張ってね。」

明人(あきと)「へいへい。」


弟のオレが言うのも変だが、姉は学校でも美人の部類に入るらしい…実際、学校でも何度か告白されてるみたい…

姉弟(きょうだい)と知ってるのは一部の人だけ。変な噂が立たないとも限らない。


校舎に入り、掲示板に貼り出されている名簿を確認し教室に向かった。


教室に入ると、知ってる顔がちらほらといた。


拓馬(たくま)「よお。また同じだな。」

明人(あきと)「ああ、そだなー。」


石田拓馬(いしだたくま)。中1の時同じクラス。まぁまぁ仲が良い。


拓馬(たくま)「また、姉ちゃんに絡まれてたなーw」

明人(あきと)「見てたのかよ…。」

拓馬(たくま)「あんな姉貴いたら毎日ムラムラ…」

明人(あきと)「あー、はいはい。」


こういう輩は少なからずいる…いや結構いるか…。


日奈子(ひなこ)「明人くん、おはよ。夏美(なっちゃん)、生徒会に入ったんだよね。」

明人(あきと)「あ、うん。そう。」


西田日奈子(にしだひなこ)。中1の時は別のクラスだが、よく家に来て姉と遊んでいる。まぁ幼なじみみたいな感じ…。 


チャイムが鳴り先生が教室にやって来た。

出席番号順に自己紹介が始まりオレは普通にこなした。


それから授業が始まり、4時限目が終わった昼休みのこと。


自席で弁当を食べようとしていると、クラスの男子が話しかけてきた。


明人(あきと)「…えっと…」

吉田(よしだ)「オレは吉田。まぁ1回じゃ覚えられないよな。…実はお願いしたいことがあって…」

明人(あきと)「なに?」

吉田(よしだ)「これをお姉さんに渡してほしいんだ…」

吉田が渡してきたのは紙を四つ折りにしてテープで留めたモノ。

その紙の表面には「神崎夏美さん」と書かれていた。


明人(あきと)「んー、せっかくなら自分で渡したら?」

吉田(よしだ)「…いやぁ、高等部って行きづらくて…」

明人(あきと)「はぁ、分かったよ。返事は期待するなよ。」

吉田(よしだ)「う、うん。ありがと。」


このラブレターの受け渡しは去年もあった。

姉には全ての手紙を渡したが内容を見たか分からないが全部断わっている。


そして放課後。

掃除やプリントの運搬などを先生に頼まれた。

「神崎夏美の弟」っていうだけで真面目な優等生とでも思っているのか…

オレは先生からの用件を済ませ、ようやく校舎を出た。


校舎を出てすぐ、後ろからタッタッと誰かが走ってくる音が聞こえた。


夏美(なつみ)「はぁ、追い付いたぁ。」

明人(あきと)「わざわざ走らなくても…」

夏美(なつみ)「走りたい気分だったのw一緒に帰ろ。」


そのまま姉と一緒に帰ることに。


夏美(なつみ)「どうだった?初日は?」

明人(あきと)「ん。まぁ、普通。」

夏美(なつみ)「なにそれw」

少し間が空き、

夏美(なつみ)「…部活やらないの?」

明人(あきと)「うーん…」

夏美(なつみ)「やってくれたら嬉しいけど、明人の決めることだしね。私は続けるよ。生徒会と兼用だけどね。」

明人(あきと)「…そうなんだ。忙しいね。」


小学校の頃、姉と一緒にミニバスをやっていた。とはいっても一緒にやったのは1年ぐらい。

姉はバスケが上手く、オレは姉の姿に憧れで始めたような感じだった。


一緒に帰っていると馴染みの公園が見えてきた。

夏美(なつみ)「あっ。」

姉は何かを見つけ駆け寄った。


夏美(なつみ)「誰か忘れていったのかなぁ。」

公園の入り口で姉はバスケットボールを拾った。

公園には誰もいない。


夏美(なつみ)「ねぇ、ちょっとやってかない?」

明人(あきと)「は?誰かくるかもしれないし、ってかそのまま(スカート)でやるのかよ?」

夏美(なつみ)「誰もいないから大丈夫って。」

姉はドリブルしながら公園に入っていった。

オレは姉に聞こえない声で、

明人(あきと)「いや、オレがいるんだけど…」


公園の奥には今にも倒れそうなバスケットゴールがある。

バスケットを始めた時は姉とよく練習をしてた。


姉はブレザーを脱ぎ、鞄と一緒にベンチに置いた。

姉のやる気の姿にオレはやれやれと思いながらも鞄を置き、ディフェンスの姿勢をした。


夏美(なつみ)「じゃ、いくよー。」

姉はドリブルしながらジリジリと近づいてきた。

次の瞬間!姉はスピードを上げオレの左側を抜きにきた。

オレは姉のスピードに付いていけず、

明人(あきと)(やば、抜かれる…)

オレは咄嗟に左手を伸ばした。


すると手を伸ばした先に姉の胸があり、一瞬だが姉の左胸を鷲掴んでしまい、

明人(あきと)「…あっ‥。」

夏美(なつみ)「…っ。」


姉は少し怯んだが、そのまま強引にドリブルしランニングシュートを決めた。


姉が着地した瞬間、スカートがフワリと膨らみ白色のパンツがチラリと見えた。


夏美(なつみ)「へへーん。私の勝ち。」

オレは姉の胸を触ったことに動揺してしまい黙ってしまった。

姉は察して、

夏美(なつみ)「えっと、相手の身体に接触するのはよくあることだから。まぁ次は気を付けてね。」

明人(あきと)「え、あ、うん。だ、大丈夫?」

夏美(なつみ)「うん、全然平気。ちょっとビックリしただけだから。はは…」


なんとなく気まずい雰囲気になった…


夏美(なつみ)「じゃあ明人、罰ゲームねw」

明人(あきと)「え?そんな約束…」

夏美(なつみ)「勝負とはそういうものだよw」

姉の胸を触って少し罪悪感があり、しかたなく姉の罰ゲームを受けることに。

明人(あきと)「はぁ…無理だったらやんねーからな。」

夏美(なつみ)「大丈夫。カンタンカンタン♪」


姉はオレに近づいてきて、

夏美(なつみ)「また…お姉ちゃんって呼んでくれる?」

明人(あきと)「?…それだけ?」

夏美(なつみ)「そ。それだけ。」


予想外の内容にキョトンとした。

…でも、いつからだろ…お姉ちゃんと呼ばなくなったのは…

昔はよく「お姉ちゃん」って。姉の後ろに付いていってたな…


明人(あきと)「お、お姉ちゃん……これでいいか?」

改めて言うと恥ずかしさが込み上げてきた。

夏美(なつみ)「え、うん…」

明人(あきと)「なんだよその反応。自分から言い出したくせに。」

夏美(なつみ)「ごめん…なんか久しぶりに聞いたからさ。で、どうしたのかな?弟くん。」

姉がウザ絡みしてきた。


明人(あきと)「ウザっw…。」

夏美(なつみ)(ひど)っw」


オレは鞄を持ち、

明人(あきと)「あー、疲れた。帰ろぜ、夏姉(なつねえ)。」

夏美(なつみ)「!…うん。」


夕陽のせいか、その時の姉の笑顔が可愛く見えた。


それにしても…


明人(あきと)(…柔らかった…)


姉の胸の感触がまだ左手に…


帰宅後。


夏美(なつみ)「ただいまー。」

母「おかえり。あら一緒だったの?2人共遅かったわね。」

夏美(なつみ)「え、うん。ちょっと公園で…。」


明人は何も言わず、自分の部屋がある2階へ。

夏美(なつみ)「明人ー。手ぇ洗いなよ。」

明人(あきと)「あとでー。」


私は洗面台で手を洗い、

夏美(なつみ)「母さんは今日早いんだね。何か手伝おうか?」

母「大丈夫よ。ご飯もうすぐだから着替えてきて。」

夏美(なつみ)「うん。」


母はパート勤務で、遅い時は19時過ぎくらいに帰ってくる。

遅い時は私が夜ご飯の準備をして、3人で食事をしている。

父は更に帰宅時間が遅いので、その日に顔を合わせないことはよくあった。


私も2階の自分の部屋へ。

バタンとドアを閉めて、ベットへ仰向けに倒れ込んだ。

夏美(なつみ)「はぁー。」


夏美(なつみ)(‥明人‥あれってワザとだったのかなぁ‥)

私は明人に触られた左胸に手を置いた。


一休みしたあと、私は制服を脱いで着替えを始めた。

鏡に写った下着姿を見て、

夏美(なつみ)(‥ちょっと大きくなった?‥太ったのかなぁ‥)

ブラジャーの肩紐をクイッと引き上げスウェットと短パンに着替え1階に降りた。


明人も降りてきていて、3人で晩御飯食べ始めた。


しばらくすると玄関のインターホンが鳴り私が出ようとすると、

母「いいよ。私出るから。」

夏美(なつみ)「うん。」


母は席を立ち玄関に向かった。


家に来たのは近所の人で、久しぶりに会ったのか母は世間話に花を咲かせていた。


すると、珍しく明人が話を振ってきた。

明人(あきと)「さっきの公園…制服であんまりはしゃぐなよな。」

夏美(なつみ)「ん?なんで?」

明人(あきと)「なんでって…スカートの…」

夏美(なつみ)「え?見えてた?」

明人(あきと)「…ああ」

夏美(なつみ)「ホントに…?」

明人(あきと)「ホントだよ。」

夏美(なつみ)「じゃあどんなだった?」

明人(あきと)「どんなのって…白の…」

夏美(なつみ)「しっかり見てるやんw。明人のエッチィw。」

明人(あきと)「誰が好き好んで見るかよ。そんな汚ねーの。」

夏美(なつみ)「酷っw。ってか汚なくないし。なんならもう1回見る?」

明人(あきと)「は?見ねぇし…」

夏美(なつみ)「ホントにキレイなんだってぇ。」

明人(あきと)「はぁ…わかったわかった。キレイキレイ…」

夏美(なつみ)「…よし。勝った。」

明人(あきと)「なんだよ。このやりとりw。」

夏美(なつみ)「さぁw。」


不毛なやりとりをしてその日の晩御飯を終わらせた。

母はまだ近所の人と喋っていた。

夏美(なつみ)(ながっ!まだ喋ってる…)


明人は部屋に戻り、私も食器の片付けを終わらせ部屋に戻った。


私は部屋で宿題をしていると部屋のドアをコンコンとノックする音が、

夏美(なつみ)「なにー?」


ドアを開けて入ってきたのは明人だった。

てっきり母と思っていたので少し驚いた。

夏美(なつみ)「どした?やっぱりパンツ見たくなった?」

明人(あきと)「ちげぇよ。…これ渡すの忘れてた。」


明人は折りたたまれた紙を渡してきた。


私は明人の顔を見て、

夏美(なつみ)「え?ラブレター?」

明人(あきと)「オレじゃねー。…クラスのやつ。預かってきた…」

夏美(なつみ)「なーんだ。」


私は手紙を受け取り、机の上に置いた。


明人(あきと)「…中見ないの?」

夏美(なつみ)「うーん…。そだね。やめとく…」

明人(あきと)「そっか…」

少し間が空き‥


明人(あきと)「…好きな人とかいるん?」

夏美(なつみ)「もしかして恋話(こいばな)?」

明人(あきと)「茶化すなよ…。」

夏美(なつみ)「んー…いるような、いないような。」

明人(あきと)「なんだそりゃw。」


夏美(なつみ)「……彼氏とか作った方がいいのかな?」

明人(あきと)「知らねー。それぐらい自分で決めろよ。」

夏美(なつみ)「そだねwゴメン…」


明人は少し不機嫌そうに部屋を出ていった。


夏美(なつみ)(…好きな人…今は…まだいいかな…)


今は勉強に部活に生徒会とやることは沢山ある…明人のことも…

色々と思想して宿題が進まなかったが、明人と久しぶりにバスケできたことが堪らなく嬉しかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ