【重要】VRMMORPG BulletS メンテナンスとゲーム内ゴールドの扱いについてのお知らせ
第6回VRMMORPG BulletS RECOILが終了し、下から数えた方が早い10位――順位を確認しオレもLOGOFF。
ひと足先にLOGOFFした二人がいるリビングへ。
秀明はなにやら考え込みながら、アズサちゃんが作ってくれたツナのカナッペをつまみに缶ビールをがぶ飲みしている。
アズサちゃんは秀明の隣に座り、しんみりしている。
オレも冷蔵庫からビールを持ってきて、二人の前に腰かけ一口飲んでからカナッペをいただく。ツナマヨに、にんにくの風味が効いていて、んまい。
リーダーとしてなんか言わなくっちゃね。
「負けちゃったね……『鷹の目』に頼り切っていたオレが悪かった。ごめん」
「いや、違う。専属チームの妨害をした運営が悪い」秀明が反論する。
「でも、『鷹の目』が使えなかったのは事実だし、原因が事故か故意かはわからないけどさ、さっきも言った通りこれがオレたちの今の実力なのは間違いないよ」とオレは素直に認める。
「それはそうだが……」またビールをあおる。
「なんで忍のスキルは使えなかったんだ? それも本大会中によ」
「そうなんだよね……昨日のPvPではちゃんと使えてたからね」
「だろ? これは運営が練った策略……」
「オレもそう思う」
「ああ」
「そ、そうなんですかぁ〜?」
秀明は納得し、アズサちゃんは驚く。
「戦闘中いろいろ考えたよ? すぐに崔さんに連絡しようって。
でもさ、さっき秀明が言ってた『プレイヤーは常に強い相手を倒したい、自分たちのチームが優勝したいと思っている』っての。
そして、オレたちが負けると一番得をするのは誰かな? って。
答えは――」
「運営」と秀明。
「そう。
だから今回運営はオレたちの力を削いでまで、他のプレイヤーに優勝させた。
これで専属チーム以外でも優勝の可能性があるってプレイヤーに刷り込んだ。
で、プレイヤー数も増える。
そろそろプレイヤーにゴールドをオンライン通貨に換金可能にさせる次の計画も、始まるんじゃないかな?
もうあれから半年近く経つんだし」
「そういやそんなこと、プロ契約するときに部長だか社長が言ってたな」
「でしょ?
で、今日の負けは負けとしてさ、他のチームの順位だけでもちゃんと見ておかない? 次回の参考にもなるし」
「ああ、そうだな」
オレは自室のノートPCをリビングに持ってきて、運営のユーザーページにLOGON――「優勝したチームMP。ここはたぶんプロ集団だから論外で、準優勝と三位は知らないところだね。
Redたちっていうか、カイとユーサクたちは意外にも四位だって。惜しかったね〜」
「それだけ他のチームも力つけてきたんだろうな」と秀明がしたり顔で言う。
「あ、運営から最新のお知らせも上がってる――メンテナンスとかゴールドの扱いとか〜って」
「ん? なんだって?」
『Title:【重要】VRMMORPG BulletS メンテナンスとゲーム内ゴールドの扱いについてのお知らせ
いつも本VRMMORPG BulletSをお楽しみいただきありがとうございます。
XX月XX日(金)00:00〜23:59にメンテナンス作業を行います。
メンテナンス中はVRMMORPG BulletS及び本ホームページへのLOGONは行えずプレイヤー様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承ください。
主なメンテナンス内容は、下記となります。
1.サーバー移転による動作確認
2.ゲーム内ゴールドの換金確認
3.その他軽微な不具合修正
今回のメンテナンスは、サーバーを日本よりUS国LA州へ移転を完了しており、その最終確認作業となります。サーバー移転と同時に弊社アストラル・ゲームス本社も所在地をUS国LA州に移転・登記しております。
メンテナンス後は、ゲーム内ゴールドの弊社指定の電子マネーへの交換、またはアストラルバンク口座への振込が可能となります。
使用可能な電子マネーと交換レートにつきましては、メンテナンス後に掲載いたしますので、本ホームページのFAQをご覧ください。
現在、リアルマネートレードを取り締まる法律は日本にはございませんが、VRMMORPG BulletSを含む多くのゲームが利用規約の中でゲーム内通貨やアイテム・キャラクター・アカウントなどの金銭による売買を禁じています。
これは日本では賭博行為が禁止されており、ゴールドの交換は賭博罪に当たる可能性もあるため、日本国外への移転となりました次第です。
今後とも、本VRMMORPG BulletSをよろしくお願いいたします。』
「あ〜これ、さっき言ってたことが始動するみたい」と二人に画面を見せる。
「なるほどな。俺たち結構ゴールド貯まってるよな。毎月のプロ契約報酬もあるし」
「ま、一週間後が楽しみだね」
「負けちゃっても……頂けるんですかね〜報酬って?」とアズサちゃんが不安げに言う。
「あの連中なら、罰金取りかねねぇな」相変わらずの秀明。
「えぇ〜?」
「契約にはそんなこと書いてないし〜」
「そらそうだな」
「このゲーム、運営としてはあんまり儲かってなさそうだし、一般的なソーシャルゲームに比べてカジノゲームとかは『一人あたりの売り上げが40パーセントも高い』って調査結果どっかで見た気がするから、換金できるようになればユーザーも増えるんじゃない?」
「さすが、株やってる忍はちがうな」
「株やってなくっても、それぐらい調べりゃわかるっての」と相変わらず脳筋な発言をする秀明に言ってやる。
「で、話もどすけどさ。
今回の負けで、チーム強化をしたいと思うんだ。具体的には、メンバーの増強というか強化」
「ああ」
「で、考えたメンバーなんだけどさ……」オレはちょっと言いよどむ。
「なんだよ、忍。言ってみ?」
「あ〜うん。みんなには悪いとは思うんだけどさ、カイ・ユーサクとM・R……あの四人というか、特にRedなんだけど、一緒に戦いたいと思うんだよね」
「あ〜なるほどな。お前、Redとは気が合いそうだもんな。
同じ……何だっけ? ヘカート使いだし、それに『鷹の目』友だちだもんな」
「そ、そんなんじゃないし。あいつ、マジ凄腕だよ。
今後オレが『鷹の目』使えるようになったら、作戦に有利じゃん?」
「わ、わたしはカイって人とは一緒に戦いたくないです〜Redさんは……ちょっと怖そうですけど、悪い人じゃないな〜って」
「俺は反対だ。……が、これはリーダーの忍にまかせる」
「そっか。じゃ、カイ・ユーサクとは組まないで、M・Rと組む。
このことをメンテ明けにM・Rと、運営に連絡してみるよ」
「ああ。リーダーがそう決めたなら付いていくぜ」
「はい、わたしも異議ないです〜」
「じゃ、今日は負けたことは忘れちゃってここまでにしてさ、明日からはしばらく……メンテ明けまで一週間ゲームはお休みね!」
「だな」
「は〜い。じゃ忍さん、明日また女の子デートしましょ?」
「なんでだよ〜秀明とデートすればいいじゃん!
も〜秀明! いい加減アズサちゃんのこと考えてやれよな!」
「お、おう……」
◇
そして約一週間後の土曜日00:00すぎ――ユーザーページに行くと、404(404 Not Found)エラー!
えぇ〜〜〜? LOGONできない〜〜〜!
今度は『 L O G O N で き ま せ ん 』だって?!
第一部<完>




