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誰も俺の番じゃない  作者: 鈴田在可
キャンベル伯爵家編

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59 幸せになったら

【注意】ヒロイン死亡注意


グロ注意


シド視点→三人称

 意識を失っていたシドがハッと目を覚ました時には、辺りには火薬の燃えた匂いと、血の匂いや人体が焦げた匂いが漂っていた。


 倒れていたシドはゆるゆると上体を起こした。シドの身体は皮膚が焦げたり破れたりしていて内側の肉が表出し、骨は折れている箇所があって、内臓も損傷を受けていて全身が血まみれだったが、それでも生きていた。


 けれど、ララは――――


 座り込むシドの近くにララの手首の残骸が落ちていた。指も欠けていたが薬指だけは綺麗に残されていて、ララが最初の番キルファと愛を交わした時からずっと身に付け続けていた、お揃いの指輪が傷もなく残されていた。


 ララの身体は無惨なほどにバラバラになっていて、森の地面の四方八方に落ちていた。


 ララは文字通り、爆散してしまった…………


 流石のシドもしばしの間呆然とその場に座り込んでいたが、こちらに近付いてくる人物の匂いを嗅ぎ、何とか立ち上がった。


 やって来たのは、馬に乗ったキャスリンだった。


 一人だけで現れたキャスリンは、シドと一定の距離を保った所で馬を止めた。


 照準が狂わないようにするためなのか、無言で馬上から降りたキャスリンは、イーサンの形見の銃を取り出して、シドに狙いを定めた。


 弾丸が立て続けにシドに向かって放たれる。


 身体を動かすのが億劫だったシドは、片手だけを動かし、その弾丸の全てを弾いた。


 銃声が消えた後には、キャスリンが銃を空打ちする音と、彼女が嗚咽する声だけが、静かな森の中に響いていた。


「どうやったら………… どうやったら死ぬのよぉっ!」


 キャスリンはその場に崩折れて号泣していた。


 シドはその場に佇んでキャスリンと相対しながら、考えていた。


「……そうだな………… 幸せになったら、死ぬんじゃないか?」


 シドはキャスリンに近付こうとしたが、彼女の背後から、キャスリンを探して叫ぶ伯爵家の者たちの声が聞こえてきて足を止める。


 シドは爆弾の衝撃をまともに喰らってしまい、立って動けているのが不思議なくらいの状態だった。このまま伯爵家の者たちによる攻撃を受ければ、場合によっては死ぬだろうなとシドは思った。


 進行方向を変えて逃げ始めたシドの背中に、キャスリンは別れの言葉を投げてきた。






「シド、もう来ないで。二度と私の前に現れないで」
















******






 シド単独によるキャンベル伯爵家婚約式襲撃事件では、婚約式は中止となり、主に護衛に当たっていた伯爵家の者たちに深刻な重症者が出た。


 そして、二名の死者も出た。


 シドを道連れにしようとして爆死した、亡き伯爵イーサンの妾クララ・ロドニーと、シドが会場に現れる前に既に殺されていたと伯爵家私兵団長オルフェスが断定した、父親が不明であるオルフェスの異父弟キルファ・ロドニーだ。


 それから―――― 公式には秘されたが、シドに重症を負わされた少年伯爵フィリップもまた、婚約するはずだったアリアに最期の言葉を残し、その日のうちに息を引き取った。


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