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誰も俺の番じゃない  作者: 鈴田在可
サラカヤ前編

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33/62

32 理想の女

R15注意、ロリ注意、妊娠注意
















「うちだって、王様ん赤ちゃんがほしかとよ!」


 サラカヤが子供がほしいと叫んだのは初めてだった。


 サラカヤが、オリヴィアの腹や、シドの子であるロータスを熱心に見つめていたのは、そういう理由だったかとシドは合点がいった。


 シドにとっては天使のような存在のサラカヤにも、他の存在を羨ましいと思う感情はあるのだなと思った。


「前も言ったが今のお前の身体で赤ん坊なんて産めるか。大きくなったらいくらでも作ってやるから我慢しろ」


「ば、ばってん……」


「子供ができたら✕✕✕✕できなくなるぞ?」


 サラカヤは一瞬動きを止めて考え込んでいたが、シドはそれをいいことに、サラカヤに文句を言わせないように口を塞いだ。











 その夜、サラカヤを抱きしめて眠りながら、シドはこれまでの愛した女たちの特徴が混ざり合って合体したような、理想的な女と、夢の中で性交していた。


 相手の容姿は靄がかかったようになっていてはっきり見えないが、オリヴィアの相貌に良く似ている銀髪の美しい女だ。

 しかし、性格は、真面目がゆえに口うるさくて、少しツンツンしているオリヴィアとは違い、ユリアのように穏やかで淑やかで、シドのすべてを包み込んてくれるような過ぎた優しさを持つ女だった。

 それでいて、キャスリンのように賢く、真実を巧みに隠してシドを翻弄することもできる女だ。






 そして何より、サラカヤのように、シドだけを唯一愛してくれる女――――――






 シドはその女と夢の中で繋がり、欲望を解放した。
















 そこでシドはハッと目が覚めた。私室の寝台で愛くるしく眠るサラカヤと共に眠っていたはずだが、シドはいつの間にか起きていたらしいサラカヤと――――


 シドが寝ぼけていたわけではない。匂いで探ると、サラカヤが自分から動いていたことがわかる。


 いつものシドならば就寝中に襲われたとしても気付く。だが最近のシドは、サラカヤの存在に癒やされすぎていて気が緩み、サラカヤのそばでは緊張感が薄れて熟睡してしまっていた。


「馬鹿なことを!」


 シドは叫んで、処置をした。


「怒らんでくれん…… うちも、王様ん赤ちゃんほしかったと…… たとえ死んだっちゃ構わん」


「たかが子供如きのことで俺を捨てるつもりか!」


 その後も処置はしたが、ソレの生命力が余程強かったのか、サラカヤの胎は結実してしまった。


「こん子はきっと、王様んように誰かば救う救世主になるばい!」


 サラカヤは妊娠がわかると、まだ薄っぺらい腹をしきりに撫でては、上機嫌にそんなことを言っていた。


 しかしシドにとってサラカヤの妊娠は、ミネルヴァに「気を付けてくださいとお伝えしたはずです」などと苦言は呈されるし、案の定始まった悪阻つわりの時期では、体調不良でサラカヤと寝ることもできなくなるしで、あまり良いことではなかった。


 他の番を求めて夜這いに行っても、シドが番たちを妊娠させまくった結果の、子供の集中出産(出産ラッシュ)も手伝ってか、普段はシドの誘いを絶対に断らない獣人の番たちにでさえ、「今そんなことできるか!」と、寝不足の目を爛々と殺気立たせた恐いもの知らず(無敵)状態になった上でブチ切れられて拒まれるし、父親としての役目を果たせなどの要望も多くなってきた。


 段々とうんざりしてきたシドは、子作りはしばらく控えようと思った。


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