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誰も俺の番じゃない  作者: 鈴田在可
サラカヤ前編

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30/62

29 嫁獲得

R15注意、ロリ注意、拘束注意

「これでうちも王様んお嫁さんの一人やなぁ。うちば王様んお嫁さんにしてもらえて幸せばい」


 シドにすべてを委ねている状態のサラカヤは、シドに愛を伝えるようにそんなことを言ってくる。


 サラカヤがシドに惚れているのは間違いないが、しかし、惚れた相手が他の女と関係しても許容できるとは、珍しい。そこら辺は獣人も人間も関係なく普通は嫌がるものだろうと思った。


 聞けば、サラカヤはこの国の北の方にある一夫多妻制の少数民族の出身だった。能力のある男が女を多数囲うことが当たり前の環境で育ったらしく、自分の夫を他の女と共有することに忌避感はないらしい。


 ただし、それは女たちを平等に愛してこそ許されるものらしく、サラカヤはレベッカを手荒に扱うシドを見て、再び「お嫁さんなぁ大事にせんと!」と言ってきた。


 少し面倒だなとは思ったが、サラカヤがいれば楽しみが増える。


「そんなに俺が好きなら、お前を嫁にしてやってもいいぞ」


 単に伴侶の呼び方が獣人と人間で違っていただけだが、それまでシドに「嫁」と呼称される者はいなかった。シドはハーレムの女たちを皆一様に「番」と呼んでいた。


「あなたの唯一の番になりたい!」と、目付きをギラギラさせてこちらに恐ろしいほどの執着を見せる獣人の番どもには言われたことはあるが、「あなたのお嫁さんになれて嬉しい」と人間女に言われたのは初めてだったので、シドは気を良くしていた。


「嬉しか! 王様はうちんたった一人の愛しか旦那様ばい!」


 その言葉に一切の嘘が無いことを、シドは匂いで感じ取っていた。


 サラカヤは身体的苦しさも感じているはずだが、それを吹き飛ばすほどの眩しい笑顔をこちらに向けてくる。


 シドはサラカヤが本当に愛しく思えてきた。


 シドはサラカヤの拘束を緩めた。少しでも苦しみを解いてやりたいと思った。


 すべてを取ると、白い肌が擦れて血が滲んでいる箇所があった。シドは痛くさせたことをすまないと思いながら、サラカヤの傷付いたすべての箇所に、治療を施すような気持ちでキスをした。


 くすぐったそうに笑うサラカヤのあどけない顔を見ていると――――シドの中で感じたことのないような、相手を慈しみたいと思うような感情が、湧き上がってくるのを感じた。


 人は、きっとそれを「愛情」と呼ぶのだろう。


 シドはこれまでの女たちのことも、シドなりに愛していた。しかしそれは、支配したい、思い通りにしたいという面と隣り合わせだった。


 相手に対して何の見返りも求めない「愛情」というものを感じたのは、初めてだった。


 シドはサラカヤを大切に大切に扱い、甘やかした。


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