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誰も俺の番じゃない  作者: 鈴田在可
サラカヤ前編

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26 救世主

R15注意、強姦注意、拘束注意

 嗅覚で誰が来たのかわかるので、シドは振り向きもしないが、言葉に訛りのあるその少女が、最近里に来たばかりのサラカヤという名の元奴隷であることはすぐに気付いた。


 この国では表向き奴隷制度はないが、悪辣な裏取引きを行う闇商人たちはいて、年端もいかない少女を誘拐しては売り払っている。


『狩り』に出かけた際にシドは闇商人の根城を見付けたので、商人どもを皆殺しにし、ついでに性奴隷として売られる予定だった少女たち全員を、里の働き手にするために掻っ攫ってきた。


『あんた様はうちん大恩人ばい! 救世主ばい! すごか! すごか!』


 少女たちの中に一人だけ、シドの周辺にはあまりいない強い訛り持ちがいた。それがサラカヤだった。


 おまけに、他の面々は奴隷商人から獣人に引き取り手が変わったことを「状況が悪化した」と悲嘆に暮れて顔色を悪くしたり泣いたりする者たちばかりだったのに、一人だけ闇商人たちから開放されたことをはしゃいでいたので、毛色の変わった奴だなとは思った。その時に興味は引かれた。


 ただ、自分が子供の頃ならまだしも、胸も平坦な様子では手を出すのはまだ早いと思い、見送っていた。


 シドは相手の年齢に頓着はしないが、どちらかといえば、成熟している方が好きである。

 

 サラカヤは年齢は十二、三歳ほどに見え、よくある茶髪に、よくある黒眼の、まだ女というより少女的な幼さの強く残る容姿だが、透き通るような白い肌に黒い大きな瞳が映えていた。


 顔だけ見れば素朴な雰囲気の強いあどけない美少女だが、()()()()()()()()()()()()によって、少し大人っぽさが補強されている。


「何って✕✕✕✕だ」


 シドはいきなり族長の部屋に突入してきたサラカヤの無作法を咎めず、最初の声かけの質問に答えてやった。


 シドの機嫌が悪ければ殴られて瞬殺もあり得たが、面白い子供だと思っていたので、少しくらいならば構ってやってもいいかと思った。


「✕✕✕✕と? ばってん、こげん風に縛られて痛そうばい! うちん救世主様が、こげん事ばしてはいけんっちゃ!」


 サラカヤは年齢のわりにはシドが卑猥な言葉を言っても物怖じしないし、それどころかこちらに近寄ってきた。


 サラカヤからは生娘の匂いがするが、商品として男たちに仕込まれていたようで、複数の男と接触している匂いがした。


「やめるのは無理だ。俺は女と✕✕✕✕するのが好きなんだ」


 言いながらシドは容赦がない。レベッカは気絶してしまった。


「ま、まだすると?」


 そのまま、意識不明の女を相手にしようとするシドを前にして、サラカヤが驚いた声を上げた。


「一回じゃ満足できねぇんだからしかたねぇだろ」


「やめてくれん! もう限界ばい!」


 サラカヤの必死な声を聞いたシドは、今度は無視をした。


 梃子でも動かなそうな強欲魔人を前にしたサラカヤは、何を思ったのか、こんなことを叫んだ。

 





「やったら、うちがあんた様ん相手ばする!」


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