23 夢
R15注意
「ずっと、来てくれるの待ってた……」
ユリアは涙を流してそう言ってきた。
ユリアとするのはかなり久しぶりだった。
シドはユリアの流れる涙を舐め取ってから、唇を合わせた。ユリアの吐息も唾液もすべてを喰らい尽くすほどの勢いで口を吸う。
ユリアはシドの強引な口付けを受け、うっとりと目を閉じていたが、シドは目を開けてユリアの様子を観察していた。
シドに相手にされず強い寂しさを慢性的に抱え込んでいたユリアの身体は、他の女がシドに愛され子供を生んでいることを羨ましく思い、自分もそうありたいと強く願い続けた末に、想像妊娠を経て母乳まで出るようになっていた。
「ユリア、俺の子供が欲しいなら妄想の世界に逃げずに、現実を受け止めて早くこの状態を直すことだな」
想像妊娠のせいで現在ユリアの月のものは止まっているが、これでは妊娠させられない。早く子供を作りたい。
「これからはたっぷり✕いてやるからな」
シドはユリアを虐めた。
やがてユリアが泣き出す。
「シド君! 愛してる! シド君!」
シドはユリアと数年ぶりに関係した。
シドはオリヴィアのことを振り払うようにユリアと関係し続けた。体力が尽きた様子のユリアは、そのうちに眠ってしまった。
シドはユリアを抱きしめながらいつの間にか寝入っていた。ふと目覚めた時、あたりはまだ暗かった。
シドは持ち前の嗅覚で明け方に近いことを知ったが、天気が悪いせいで陽光はほとんど感じられない。
シドはユリアの眠る寝台から起き上がりながら、直前まで見ていた夢の内容を吟味する。
その夢の中では、シドはユリアとだけ番になっていた。
夢の中のシドは、浮気をして他の女と関係することもなく、それから、オリヴィアは行方不明のままになっていて、シドは子供の頃のようにオリヴィアだけに夢中になることもなく、ユリアだけを見つめて愛していた。
番になる例の音を得られていたかまでは不明だったが、夢の中のシドとユリアは、他の通常の番たちと同様に、互いを慈しみ愛し合う満ち足りた生活を送り、幸せそうに笑っていた。
もしかしたらそんな未来もあり得たかもしれないとシドは思った。
だが、所詮夢は夢だ。現実ではない。
シドはユリアの部屋から出るために、床に脱ぎ捨てていた血で汚れた服を着込んだ。
元々ユリアの所に長居するつもりはなかった。ふらふらと彷徨い歩くうちに無意識に辿り着いた先がユリアだっただけで、他の女と子供を作りまくると決めたシドにとっては、想像妊娠のせいで妊娠できないユリアよりも、嗅覚で探って現在排卵している番と関係しに行った方が合理的だった。
シドはそのまま入ってきた窓から出ていくつもりだったが、ふと、夢の中の幸せだった名残を思い出した。
シドは疲れは見えるが幸せそうに眠るユリアの唇にちゅっと軽くキスをしてから、彼女の部屋を出て行った。




