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誰も俺の番じゃない  作者: 鈴田在可
オリヴィア中編

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16 寝取られ返し

R15注意、強姦注意

 憤怒の表情のシドは叫んだ。


「俺と番になると約束したのに! 他の男と寝やがって!」


 返り血を浴びたままのシドはオリヴィアに襲いかかった。


「きゃぁぁぁっ!」


 シドはオリヴィアを地面に押し倒した。


「テオ! テオ!」


 突然の番の死と、豹変して怒りを見せるシドに混乱している様子のオリヴィアは、現状を上手く飲み込めていないようだった。


 オリヴィアはただ番の名前を叫ぶばかりだったが、服に手をかけられると、流石にシドの意図に気付いたらしく抵抗してくる。


 シドはオリヴィアを安々と抑え込んだ。


 シドは昔のようにキスしようとしたが、気付いたオリヴィアは悲鳴を上げて首を振り、接吻を逃れようとした。


 イラッとしたシドは舌打ちをしてからオリヴィアの顔を押さえ付け、無理矢理口付けた。


 オリヴィアは涙目になっている。オリヴィアはシドの行いに抗議するかのように唸っているが、シドは構わず荒々しく口付け続けた。


 シドはオリヴィアの口内を蹂躙しながら彼女の身体に触れた。けれど彼女は嫌がるばかりだ。


「やめてっ! こんなことしないで! 助けてテオ! テオ!」


 口付けの隙間からオリヴィアが叫ぶ。


「テオはいない! そんな奴は死んだ!」


「テオ! テオ! テオっ!」


 オリヴィアはテオの死を認めたくないのか、シドが否定してもしきりにテオの名前ばかり叫んでいる。


「あああっ! 忌々しい!」


 なぜ助けを求めるのが自分ではないのだと、自分で襲っておきながらかなり無茶苦茶な思考に囚われてイライラしてきたシドは、近くにあったテオの生首を掴むと、湖に向かって放り投げた。


「テオーっ!」


 オリヴィアが番の名を叫ぶ声が森に響いた。穏やかだった湖面がバシャリと飛沫を上げ、湖の一部を赤色に染めながら、男の首が水の底に沈んでいく。


 緩んだ拘束の隙を突いてシドから逃げ出したオリヴィアは、バシャバシャと音を立てながら湖に入水して、脇目も振らず首を取りに行こうとしている。


 シドはその間に男の胴体の方も水の底に沈めた。放り投げた先は湖の中心部付近で、そう簡単に引き上げられる場所ではないだろう。


「テオっ! テオーっ!」


 それでもオリヴィアは構わずテオのそばまで行こうとするが、シドに後ろから羽交い締めにされて、水の中から引っ張り上げられていく。


「離して! 離して! テオっ! テオっ!」


「もう諦めろ! 男は死んだ! お前は俺のものだ!」


「私たちはもう終わっているのよ! あなただって番がいるじゃない!」


「終わってなんかいるものか! 俺はずっと苦しかったんだ! どいつもこいつも俺の番じゃない! 俺はお前以外誰も愛せないんだ! 俺の番はお前だ!」


 シドはオリヴィアを草の上に再び押し倒すと、暴れる彼女を押さえ込んだ。シドはテオの残り香のみを嗅げないように嗅覚を遮断した。


 オリヴィアはシドを拒絶するように叫んでいるが、それは番以外に触れられている嫌悪感からのようだった。


 鼻をつまめば一時的に匂いがわからなくなり、その嫌悪感も薄まるが、他の男を選んだオリヴィアに恨みと怒りを感じていたシドは、これが仕置きだとばかりに優しいことをしてやるつもりはなかった。

 オリヴィア自身も酷く混乱しているのか、自分で鼻を摘むということにも思い至らないようだった。


 オリヴィアは美しい顔を涙と絶望でぐしゃぐしゃにしていた。嫌悪感が酷いのだろうが、獣人は身体的快楽に弱い。今は恨まれても、身体から落としていけばいずれは自分になびく。


 もういいかと思ったシドは自身の服を緩めた。


 オリヴィアの顔からさーっと血の気が失せて、彼女は真っ青になっていた。


「やめて!」


 オリヴィアは泣き叫びながら逃げようとしたが、シドはそれを許さない。シドはオリヴィアを強く押さえ込んで、それから――――






 森の中に、殺される一歩手前にも似た女の絶叫が響き渡った。


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