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誰も俺の番じゃない  作者: 鈴田在可
キャスリン編

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13 君だけを永遠に愛したい

R15注意

 シドはキャスリンを抱き上げると寝台に向かった。キャスリンは既に関係を止めさせるのを諦めているので、嫌がる素振りもない。


「あなたも物好きね。一回り以上年の離れた女のどこがいいの?」


「お前は美しい。それに気品があり凛々しい匂いがして、俺色に染めて穢してやりたくなる」


 それを聞いたキャスリンはやや呆れたような表情になり、ため息を漏らす。


「私もう三十歳なんだけど」


「女は年齢じゃないさ」


 言いながら、シドはキャスリンを寝台に下ろして、その上に覆い被さる。シドが口付けようとすると、キャスリンは大人しく目を閉じた。











『愛してる』


 シドはキャスリンの母国語で愛を囁いた。


 その瞬間、キャスリンの灰色の瞳が、ハッと大きく見開かれる。


『キャスリン、俺は()()()()()()()()()()()


 シドはキャスリンを落とすためだけに、彼女の母国語を習得していた


 しかし、ここぞと言う時に使うために、そのことはキャスリンに秘密にしていた。


 シドは()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言い回しで告白したが、どうしても、「君だけを永遠に愛してる」とは言えなくて、()()()()という願望形になってしまった。


 一人の女だけを永遠に愛するなんて、そんなことシドにはできないから。


 イーサンはキャスリンを捨てたような形になっているが、それはイーサンの本意とは違うはずだ。


 愛が無くなったのであれば、離縁して国に帰すなりすればもう会わなくて済むのだろうに、そうしない。


 キャスリンは実家の公爵家とは良好な関係らしく、もし離縁になればキャンベル伯爵家は隣国の公爵家から恨まれるかもしれないが、実家はイーサンとキャスリンの離婚を受け入れるだろうという話だ。


 むしろこの結婚に最初から難色を示していた両親は、キャスリンの出戻りを大歓迎で迎え入れるだろう、とは本人が語っていた。だから別れた場合、キャスリンの行き場がなくなるわけでもない。


 イーサンにキャスリンへの愛はまだある。イーサンはキャスリンを抱けなくなっただけだ。


 イーサンは何が何でもシドを必ず弑する覚悟で動いている。イーサンの無謀な計画が実を結ぶかは知らんが。


『愛してる』


 キャスリンはシドが母国語で口説くたびに涙を流した。


 シドはそんなキャスリンを強く抱きしめて愛し続けた。











 翌朝、シドは初めてキャスリンの部屋で朝を迎えた。


 それまでは終わればキャスリンはこちらに背を向けて休息に入るし、シドだって、他の者に見つからないように夜のうちに帰ってしまうのが常だった。


 けれど昨日は行為の後に帰ろうとすると、『行かないで』とキャスリンの方からシドに抱きついてきたのだ。


 シドは請われれば応える主義だ。


 シドは微睡まどろむキャスリンを抱きしめて口付け、腕の中に囲った。


 キャスリンは相当疲れていたらしく起きなかったが、眠りながら幸せな夢を見ているに違いないと思った。


 シドも久しぶりに心地良い満足感を得たような気分になりながら、女を抱いて眠りに就いた。






 そして早朝、カーテンの隙間から射し込む朝日に照らされて輝く、銀髪の眠り姫を見たシドは、その女に恋をした。


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