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誰も俺の番じゃない  作者: 鈴田在可
キャスリン編

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11 必ずお前を殺してやる

R15注意、寝取られ胸糞回です(主人公は寝取り側)


キャスリン視点

 キャスリンは最初暴れて抵抗しようとしたが、少年の力が強すぎて拘束から抜け出せなかった。それどころか、言うことを聞かなければ伯爵を殺すぞと脅されて、やむなく抵抗を放棄した。


「お前が大人しく俺に抱かれるなら、今回ばかりは伯爵の命は助けてやる」


 獣人の少年がキャスリンに手をかける。


「やめろ! やめろっ! やめてくれぇっ!」


 倒れたまま動けないらしいイーサンが叫んで泣いている。イーサンが大声を上げても、開け放たれたままの扉の向こうからは誰もやって来ない。真夜中とはいえ、普段ならばこの伯爵家で叫び声を上げれば、絶対に誰かは駆け付けてくるはずなのに……


 キャスリンは、もしかすると伯爵家の警備は、この少年一人に大打撃を受けて、既に崩壊して機能していないのではないかと分析していた。


 キャスリンは愛するイーサンの前で声を出さないようにと必死で耐えた。


 キャスリンだってこんなことはしたくない。けれどイーサンの近くに転がる生首のように、最愛の夫が惨殺されてしまう方が嫌だった。


『イース…… 大丈夫よ…… こんなもの、犬に噛まれたようなものだわ……』


 キャスリンは泣いている夫に大丈夫だと伝えたかった。どんなことがあっても自分の心はイーサンにしかないのだと。


 キャスリンはイーサンとしか経験がない。一方、イーサンは成人後に閨教育を受けたそうだが、それは獣人の被害に遭わないための、貴族の義務の範疇ともいうべきものだ。


 イーサンだって閨教育以外ではキャスリンしか知らないそうだし、キャスリンにとってもイーサンは永遠の愛を誓った唯一の相手だ。


 たとえ身体は穢されたって、心までは渡さない。


『イース、愛してるわ…………』


 キャスリンは覚悟を決めたが、涙が溢れて際限なく彼女の頬を伝い落ちていく。


「駄目だ! 俺の命が欲しいならくれてやるからそれだけはやめてくれ! キャス! キャス!」


 止めさせようと必死で叫ぶイーサンの願い虚しく、行為を目の当たりにしたイーサンの叫びが、絶叫に変わった。











 最初はキャスリンも唇を噛んで声を一切出すまいとしていたが、遂には負けて声を上げ始めてしまう。


 キャスリンは翻弄されて、堕ちていく。


 イーサンは、既に泣くのを止めている。


 愛妻と、弑するべき獣人の行為を、イーサンは怒りと憎しみの情念が宿る碧眼アイス・ブルーで見続けていた。


「必ずお前を殺してやる」


 イーサンの強い憎しみに満ちた呟きを聞いたキャスリンは、それは少年に向けられたものなのか、それとも、結局は快楽に溺れてしまった自分へ向けられたものなのか、わからなくなってしまった。


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