第二話「親友と秘密の相談」
前回秘密を握ってから、数日後のお話です!
新たなキャラ、愛奈の親友の琴音が登場します!
夏休みが明け、始業式の日。
愛奈は親友の琴音と、教室の後ろの方で喋っていた。
琴音:なんか登校してから様子おかしいけど、どうかしたの? 愛ちゃん
愛奈:んーん、別に何とも。というか琴ちゃんこそ、めっちゃ日焼けしたじゃん
琴音:あっ、分かる? 毎日の様に海行ってたからね~
愛奈:日焼け止めはちゃんと塗った?
琴音:当たり前だよ。あーあ、もっと高い日焼け止め使えば良かったなぁ
愛奈:それはそれで似合ってると思うけどね
琴音:ほんと? ありがと。彼氏も日焼け姿は新鮮で可愛いって言ってくれたんだ
愛奈:うわ、シンプルにのろけられた。あれ? というか琴ちゃんって誰かと付き合ってたっけ?
琴音:先週、付き合い始めたんだ。夏休み前に言ってた部活の先輩
愛奈:えっ、ついに!? おめでと! すぐ教えてくれたら良かったのに
琴音:だって~、びっくりする顔、直接見たかったんだもん
愛奈:うわ、性格悪いよ~琴ちゃん。でも、本当におめでとう
琴音:えへへ~。ありがとう
愛奈:ね、ね。どっちから? どっちから告白したの?
琴音:わっ私から…………
愛奈:すごいすごい! 勇気出して良かったじゃん!
琴音:ありがと。愛ちゃんだって、誰かに告白してみたら?
愛奈:ん~…………私はパスかなぁ。好きな人……いないし
琴音:そっか~、それなら仕方ないね
愛奈:…………うん
琴音:そっそれよりもさ! 宿題やった? 難しかったよね
愛奈:やっやったやった! 難しかったね
琴音:ねね、答え合わせしない? あれ答え配られなかったから、所々穴が空いてるんだよね
愛奈:…………えっ、えっと~
琴音:あっ、もしかして。実はやってなかったり?
愛奈:うっ、うーん?
琴音:なぁんだ。それなら早く言えばいいのに。私の少し写させてあげるよ~
愛奈:いや、やってはいるんだけどさ…………
琴音:え? なにどゆこと?
愛奈:やってきてはいるけど、解いたのは私じゃないんだよね
琴音:えっと、つまり?
愛奈:解き方を聞かれても答えられないってこと
琴音:なるほど、それなら確かに答え合わせは無理か~
愛奈:ごめんね~
琴音:というか、宿題は自分でやらないとダメだよ?
愛奈:うっ、耳が痛い…………
二人が宿題の話をしていると、教室の扉が開き、担任の美香先生が訪れた。
美香:ほらほら、みんな席に着いて~
琴音:あっ、先生来たから席に戻るね~
愛奈:はいはい、また後で~
美香先生の掛け声とともに、思い思いの席で喋っていたクラスメイト達は、自分の席へと戻っていった。
ふと琴音が愛奈の居る方を振り返ってみると、愛奈は今日一番の笑顔で前の教卓を見ていた。
琴音:(美香先生が来てから、愛ちゃんすごく嬉しそう。もしかして愛ちゃんの好きな相手って…………。いや、まさか……ね?)
朝のホームルームが終わった後、愛奈は美香先生に近づき、何やら耳打ちをしていた。
琴音:(…………もしそうだったとしたら、親友として応援してあげなくちゃ)
先生との会話を終えたらしい愛奈に、琴音は話しかけた。
琴音:ねぇ、愛ちゃん。さっき先生と何を話していたの?
愛奈:うわっ!? びっくりした~。……別に何も?
琴音:そんなわけないでしょ~? 耳打ちしてるとこ見てたよ
愛奈:あっ、出た出た。琴ちゃんの覗き癖
琴音:それやだなぁ。好奇心旺盛って言ってよね
愛奈:琴ちゃんの覗き魔
琴音:悪化してるじゃん!?
愛奈:そのくせ直した方がいいよ~。彼氏さんに嫌われちゃうかもよ?
琴音:そんな事ない! っていうか話しはぐらかそうとしてない!?
愛奈:そんなことないって~
琴音:うそ! 絶対逃げようとしてたって
愛奈:何もないって
琴音:ふーん? なら、当ててあげようか
愛奈:え? …………いや分かる訳ないでしょ
琴音:ズバリ! 愛ちゃんは今、先生に恋をして……むぐっ!?
琴音が最後まで言い切る前に、愛奈は琴音の口を塞いだ。
愛奈:それ以上は、ダメ
突然の行動に、クラスが一瞬二人に注目した。
愛奈:ねぇ、まだ授業まで時間があるし、一緒にトイレに行かない?
その有無を言わさぬ威圧に、琴音は頷くしかなかった。
二人しかいない女子トイレでは、微妙な空気が流れていた。
琴音:その、ごめんね。悪気があったわけじゃなくてね?
愛奈:分かってる。その、なんでそう思ったのかが知りたくて
琴音:あっ、じゃあやっぱり合ってたんだ
愛奈:うん。私は美香先生が好きなの
琴音:いつから好きなの?
愛奈:夏休み入る前ぐらい、かな? じゃなくて! 理由を聞いてるの!
琴音:そんなの見てたら分かるよ~。だって、この前までの私と同じ顔してたもん
愛奈:…………すごい説得力
琴音:ね、できる事なら私も協力するよ? 今度は私がアドバイスする番だね
愛奈:…………同性の、しかも先生だよ? 本気で言ってる?
琴音:当たり前じゃん。……好き、なんでしょ?
愛奈:…………うん
琴音:じゃ、ちゃんと応援するよ。親友だもん
愛奈:ありがと…………
琴音:それにしても、あの愛ちゃんが恋ね~
愛奈:どういう意味?
琴音:だって、長い事一緒にいるけど、そういう噂一切聞いたこと無かったんだもん
愛奈:だって初恋だし…………
琴音:うわ、良い顔するじゃん! もっと見せて~
愛奈:ちょっ!? もう話は終わったし私は戻るからね!
琴音:え? 何か手伝ってほしいとかないの?
愛奈:私のやりたいようにやるから、たまーに愚痴を聞いてくれるだけでいい
琴音:あはは、何それ。良いね、愛ちゃんらしい
愛奈:それに、ちょっと確かめたいことも出来たからね
琴音:なにそれ気になる~
愛奈:そっちは本当に秘密
琴音:愛ちゃんのケチ
二人は並んで、廊下を歩く。
愛奈:…………ありがとね、琴ちゃん
琴音:頑張ってね。愛ちゃん
ホームルームの後、美香は職員室で頭を抱えていた。
美香:あーもう、愛奈さんめ。また好き勝手言ってくれちゃって!
美香:言いふらさない代わりに、またノートを見せろって何! つまり断ったら他の人にばらすってことじゃない! あの厨二病真っ盛りの頃に書いた黒歴史を!
美香:それに、それにあのノートは…………愛奈さんによく似た、好きだった同級生への思いを綴った日記なわけで。あれを読まれてしまったら、今の愛奈さんとその日記の子を重ねてしまってるのがバレるかもしれないし…………
美香:あーあ、初恋を引きずってるのもダサいし、しかもその相手を生徒に重ねてしまってるだなんて、愛奈さんにも失礼よねぇ…………
美香:どうしよう…………一応別人だとしても、愛奈さんに見られるのはあれだし、他の人に知られるのは…………
美香:見せるしか、ないの? いっそ似たものを作り直す? いや、あんな厨二病感は絶対もう出せないし…………。処分は…………したくないし
美香:もうどうにでもなっちゃえ。見せたところで、愛奈さんにその気はないんだろうし
美香:…………今度は、ちゃんと掃除しとこう…………
読んでいただきありがとうございます!
親友の登場です!
果たして、琴音は愛奈の良いアドバイザーになってくれるのか?
続きもまだまだ載せますので、良かったら最後までお付き合いください!