1
記憶修復率0.1%
「ん? 俺は寝ていたのか。さっきの男は何処だ?」
目が覚めると男は居なかった、まるでまぼろしだったかのように。
「てかここ何処だ!?」
目覚めたら草原のど真ん中にいた。
「あぁ..俺は夢を見てるんだな」
よし!、と声を出して地面に頭をぶつけた、痛かった、夢じゃなかった。
「痛い痛い!! じゃないのかよ!? じゃあここどこだよ!? 目覚めたら草原に居るとかわけわからねえよ!?」
そう嘆いているとあの男の声が聞こえた。
「おーい! 聞こえるか!?」
「その声はさっきの男か!? 俺に何をした!? 姿をみせろ!!」
「それは出来ない、だが君に言っておく。ここはさっきまで君がいた世界ではない、分かりやすく言えば異世界だ。その世界はモンスターなど危険な事が多い。そこで君が死なないようにこの異世界で生きていけよう私からのプレゼントを今からおくる」
そう言った後、上から革の袋と地図が落ちてきた。
「プレゼントは食べ物と革の袋に入ったこの世界の通貨10000フューリとさっきの指輪だ。」
「ちょっとまて..異世界? 異世界だと!? 魔法とかあるあれか!?」
「そうだ、そのあれだ、理解出来るなら話は早い。とにかく今はイデアと言う町を目指せ。そこから街道と看板が見えるはずだ。その看板にイデアまでの道のりが書かれている。イデアについたら色々な事をしてみてくれ。幸い君には何をするかは大体分かっているようだな。それと、言語、文字、通貨の知識は君の記憶を[修復]しておいたから心配はない」
「修復だと?」
「修復については言えない..が、時期に分かる」
男は意味深につぶやいた。
「もう時間だ。だから最後に言っておく」
「指輪を大事にな」
それを最後に声は途切れた。
「あぁ、分かったよ」
この指輪は俺にとって大切な何か、そんな気がした。
さて、目覚めたら異世界? にいたのは驚いたけど考えてる暇はない。
「とにかくあの男の声に従ってイデアって所に行くか」
2時間経過
「着かねぇ..イデアはまだかよこんちくしょう!!」
そう言いながらさっきもらった水筒の水と干し肉を口にいれた。
ぶっちゃけまずい、味がしないしひどすぎる。
「イデアに美味しい食べ物があるようにーー」
そうして歩いていると前から何かが迫ってきた。
「なんだあれは?」
それをじっと見ていると正体が分かった。
体長1m位の狼、しかも4匹、それが迫ってきた。
狼だと気づいたシュウは全速力で逃げた。しかし狼達のほうが早くどんどん距離が迫る。
ヤバい、ヤバい、このままでは喰われる、死ぬ、そんな恐怖を感じた。
そしてついに狼に追い付かれて囲まれた。
「ガルゥゥウウウ」
「はぁ..はぁ..囲まれた、俺は死ぬのか..........死にたくない、死にたくない!!」
狼どもは勝利を確信している。
武器も持たない普通の人間ならここで喰われて死ぬだろう。
狼達もそれを分かっている。
絶望的な状況にシュウが諦めかけたその時!
アビリティ[インファイター]、スキル[スマッシュパンチ][カウント30]を修復しました。
インファイターの能力により身体能力上昇。
「すごい..体に力が沸いてくる!! 何だかよく分からないがこれならいける!!」
シュウが狼達を睨む。
シュウが突然強くなり睨まれた事により狼達は動揺した。
しかし負けじとそのうち一匹の狼はシュウに攻撃を仕掛けた。
「ぐあっ!」
シュウは狼の爪による攻撃で手に攻撃を受けてしまった。
「食らいやがれ!!」
だがこちらも攻撃を受けた瞬間[スマッシュパンチ]を狼の顔に繰り出した。
頭に響く轟音、狼に攻撃を当てる事に成功した。
「グギャァァァアアアアアアアアアッ!!!!」
狼は断末魔をあげ死んだ。
「いける...いけるぞ!! こいつらを倒せる!!」
狼達は仲間を殺られた事により怒り狂い、全員で攻撃をした。
「マズイッ!! カウント30!!」
シュウは[カウント30]を使った事により身体能力が更に上昇した。
身体能力が更に上昇した事によって高速で動けるようになった。
そして狼達の攻撃を受ける瞬間。
「オラオラオラァァァァァア!!!」
バキッボコドカァァァァッッ!!!!
「グギャァァァッ!!」「グギャァァァッ!!」「グギャァァァッ!!」
狼達はシュウの攻撃を受けて断末魔を上げ、絶命した。
「倒した....? 倒したあああああ........ッ!?」 バタン
[カウント30]の効果切れと反動にシュウは意識を失った。
「おい! あそこに人がたおれてねえか!?」
「本当だ!! 魔物も一緒に倒れているぞ!!」
「おい! こいつをイデアに運ぶぞ!! 急げ! 重症だ!!」
続く
スキルの効果
[スマッシュパンチ]は通常のパンチより威力が高く繰り出せる
[カウント30]は発動から30秒間身体能力がかなり上がる。しかし効果がきれると反動で体力を大きく消耗する。