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スケルトンの王国造り  作者: 化原優介
2/2

1-1 始まりの場所

「平原か。まさかこんな所からスタートとはな。秋.........いや、アキナか。ま、とりあえず拠点を作ろう」

「うん。兄さん、何て呼べばいいんだっけ?」


お互い、姿を見ずに辺りの警戒をしつつ話し合う。

男は、妹の得意技である、名前忘れに少し落胆しつつ答える。


「俺の事はミーズと呼んでくれ。さて、それは兎も角、拠点......の前に。

ちょっと怖い気もするが、見せ合うか。自分の姿」


男 改め、ミーズは、そう提案をする。

アキナもそれに賛同し、3数えたら振り向く事にする。


「いくぞ?1...2...3!」


兄妹は同時に振り向き、同時に驚愕した。

兄は、妹の運の良さとお互いの相性の悪さに。

妹は、白く、細くなってしまった兄を見て。


だが、その驚愕を声にする事はしない。

お互い、こうなる事も予測していたからだ。


「アキナ、《猫人族》とは......運が良すぎじゃ無いか?」

「ミーズも......《スケルトン》............いや、な、何でも無い」

「それよりもきつい事があるけどな。俺達は今まで、ゲームでは俺が前衛。アキナが後衛だったな?今回逆じゃないか。全く。ふざけたゲームを作ったもんだ」


ミーズの手によって作られたこのゲームは、ログインすると勝手に種族とスキルを決められる。

今回の場合、ミーズはスケルトンのメイジ。

アキナが猫耳族の剣士となったのだ。

スキルはまだ2人とも見てない。が、ミーズは、2度ある事は3度ある。という言葉を思い出し硬直してしまう。


「アキナ、スキルを見よう。場合によっては、まだ前衛と後衛を変えれるかもしれん」

「うん。じゃあ、見よっか」

「まず俺からな」


ミーズは、ステータス。と念じて、ステータスを見る。


「やっぱりメイジか......武器防具なし。耐性に、刺突軽減。

スキルだが....。

[簡易復活]。種族共通か?骨が無事なら再生する。

[下位刺突無効]・[下位弓矢無効]。刺さる様な攻撃は効かないみたいだ。

[従者召喚]。これは便利だな。労働力が増える。

あとは............無いか。種族関係ないのは召喚だけっぽいな」


このゲームは、主な部分はミーズらが設計したが、後の細かい部分はAIが作ったものなので本人達も全てを理解している訳では無い。


「次は私ね。......最初のは省くけど、耐性は、落下ダメージ軽減だね。

スキルは........。

[疾走]。走るのが速くなるみたい。

[範囲検知]。これは、まぁ、索敵スキルだね。

......以上。私のスキルは少ないかな?」

「まぁ、最初だしそんな物だろう。弱点とかは言わなくて良いだろうし、拠点.....まずは木を切ろう。............訂正。折ろう」


ミーズは、そう言って近くの木を折ろうとする。

だが、いくら力を込めても枝すら折れない。


「これがスケルトン+メイジの力か.........恐れ入る」

「私がしておくからミーズは召喚とか、スキルの確認してて?」

「了解。スキルの確認ができ次第、手伝わせる」


この世界では、アイテムの入手方法は主に2つある。

1つは、今やっているように壊す事だ。壊すと、それがアイテム化して、ストレージに入れる事が出来るようになる。

2つ目は、既にアイテム化されている物を貰うことだ。ただし、方法は幾つもある。

例えば......


「スキル発動。従者召喚」

「............お呼び頂き光栄です。主よ。何なりとご命令下さい」


ミーズが呼び出したのはスケルトン・ウォリアー。

同じスケルトンではあるが、呼び出されたスケルトンの方が位が低いのはどの世界でも共通だ。


「では、君の持っている斧を貸してはくれないか?木を切りたいんだ」

「どうぞ。お使い下さい。ですが、お申し頂ければ、私が伐採しますが?」

「いや、良いんだ。君には別にやってもらいたい事がある」


そう言って、ミーズは笑みを浮かべるのだった。



ーーーーーーーーーーーー


ミーズがスケルトンを呼び出している頃、アキナは木と向かい合っていた。


(この木、全然折れない......。剣で切る?いや、でもなぁ............。)


アキナ個人としては、魔法使い専門だった事から、剣士はこうあるべきだ!と言うのが、勝手に決まっている。即ち、

ーーーーー剣は敵に向けるべし! だ。

間違いではないものの、中にはもっと考えた方が良いと思う人がいる。

だが、アキナの場合仕方の無い事だ。何故なら、剣士というものを、兄しかまともに見た事が無い為である。

ミーズは、例え怪しくても仲間であるうちは絶対に剣を向けず、敵と判断して初めて剣を向ける人だったのだ。それは、殺人ギルド等のレッドプレイヤーに対しても言えることだった。相手が誰であれ敵でない以上剣は向けない。それを見ていた為、アキナはそう考える様になったのだ。


「兄さん頼ろう。困ったら兄さん。うん。それがいいね」


ミーズが、事ある事に自分を頼ってくる妹を兄離れ出来るのだろうかと心配している事を、アキナは全く知らない。


アキナは、ミーズの所へ行こうとし、振り向き、フリーズしてしまう。


「なに......あの団体......」


そこには、一塊の骨が人間の骨格に変わって行く光景があった。


「ふぅ〜。お、アキナ、丁度良かった。俺、相手が剣士なら、無敵かも知れんぞ?」

「あー、うんー。ソウダネー。兄さん、これから死ぬ事禁止ね。死んだら一生くっついて離れないから」

「兄冥利に尽きるが、男としては少々厳しいな。俺は骨だから............じゃなくて、妹とはいえ一緒は色々困る。おい、スーケ。そう言う訳だ。宜しく頼む」

「ははっ!この身に変えましてもお守り致します!」


スーケと言う名を貰った事で、より忠誠を尽くすようになるだろう。

膝を付き、頭を下げるスーケを見て、苦笑いしながら、ミーズはふと、空を見上げる。

雲一つ無い空が何処までも続いている。

そう、太陽以外は何も無い。

ただ、いる者はいる。黒い鱗と翼を持った、5mはあろうかという存在。


「......すまないな、2人とも。早速死ぬかも知れないわ」


引き攣った笑みのまま空を見上げているミーズに釣られて2人も空を見上げる。

勿論そこには、例の存在がいる。


「話、通じるかな............」

「妹よ、もし駄目なら逃げるんだぞ。兄は復活出来るから」

「恐れながら申し上げますと、あれが相手では塵すら残らないかと」


例の存在は、3人を見つけたのか、高度を落としてきている。


「あぁ、もう駄目かもしれん」

「兄さん、今までありがとう。兄さんと一緒に居れて幸せだったよ」

「役に立てず申し訳ございません。自分に力があれば......」


兄妹は既に諦め、召喚された骨は俯き悔やんでいる。

そんな中、遂にその存在は地へと降り立ちーーーーーーーーーーーー


「ガハハハ!儂は黒龍!宜しくな!!!」


と、挨拶をした。

. . . .

「「それがドラゴンの態度なのかぁー!!?」」

「......はぁぁ」


あまりの軽さに、兄妹は一言一句同じ事を言い、もう1人は溜息を付きながら崩れ落ちた。


「ガハハハ!ガハハハハハ!!!」



暫くの間、黒龍の笑い声が辺りに響き渡っていた。

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