表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

意味

作者: 月詠 奏

大切な人と信じる全てに感謝しつつ。


どんな無様な姿でも前に進むことを決めた主人公のひとり語りです。


名前も、性別も、なにもつけていません。

読者の方の心に寄り添えたらと思います。

 目を開くと暗闇がどこまでも広がっていた。自分の手足がかろうじて見えるか見えないかの深い闇。体を動かすと纏わりつくように揺れる。まるで泥水か何かの中にいるみたいに。そう思った瞬間「外に出なくては」と激しく感じた。

 出口はどこだろう。かろうじてでも自分が見えるのだからどこかから光が差しているのは間違いないはず。

足を踏み出しても抵抗が全くない。仕方なく泳いでみる。周りの景色が一切変わらないから、進んでいるのかどうかがイマイチわからない。少し感じる抵抗でやっと進んでいるはずだと感じはするが。時間間隔がおかしくなる。どれ位泳いだのかも、進んでいるのかもわからない。ただ、もがく。ここから逃げようとして。

 ふと、左手だけが温かいことに気付く。誰かが握ってくれているような感覚。でも、それはどこにも導いてはくれない。ただ寄り添うようにそこにある「だけ」。それが大切なものだと信じて、前だと見定めた場所に向かってひたすら進む努力をする。

 この行為に意味があるのか、疑問になってくる。何をしても誰にも気付いてもらえないように感じる。信じるモノ、大切なモノ、信念、夢、全てを否定されたような、そんな感覚。


「もう無理だ。どうしていいのかわからない」


そんな諦めにも似た感覚が過る。

そんな時、決まって左手が温かいことに気付かされる。声に成らない声が聞こえる。


『もがけ、諦めるな』と。


 その言葉の意味を考える。自分のやりたかったこと、信念、性格、夢、想い、大切なことの優先順位。すると目の前に真っ白にキラキラと輝く、先の見えない光を見つけた。

さっきまで無かったそれは「誰か助けて」と思ったとたん見えるようになった。

手を伸ばすと触れることはできないけれど、確かにそこにあることが感じられる。

この先が本当に出口なのかは解らない。それでも、信じてみようと思った。

自分の力だけではなく、誰かに助けを求めることで何か変わるかもしれない。

それにかけてみようと思った。


 自分が生きる意味を見失い、ここに居るべきかもわからなくなっていた。

訳のわからない場所に放り出さ、初めて「帰りたい」と思った。

こんなにも自分が「生きたい」と思っていたことを初めて知った。

進むことの難しさを知った。諦めることの絶望を知った。

この残酷な世界を生き抜くには一人では無理だということを知った。

私は弱い。知っていたけれど、さらに実感した。

一人では生きることすらままならない。

でも。

だからこそ。

私を信じてくれた人たちを。

私が信じた人たちを。

最後まで信じ抜く事にした。

共に生きていきたいと強く願った。

諦めない。それを学ぶために、きっと神様的な誰かが私をここに放り出したのだろう。

「甘えるな」と。

「覚悟を決めろ」と。

「一人ではないのだから」と。


もう逃げない。

自分で選び、掴むことにしたのだから。

手を伸ばし、無様に助けを乞いながらでも、進むことを。

決意を込めて顔を上げ、真っ直ぐ光りを頼りに進む。

例えそれが間違いでも。

自分の選んだ道だ。後悔はしない。

そう強く思い、一歩を踏み出した。



【fin.】

環境の変化に、やっと体がついてきたとたんの新な変化。

心がなかなかついていかないこともあると思います(私もそうです)。

そんな方に寄り添える作品に仕上げたかったのですが。。。

まだまだだなぁと実感。


こんな未熟な作品でも誰かの支えになれたらと切に願います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 冒頭からの危機的内容により、この後どうなるのか? 先を読ませようとする、、そのあたりは何のストレスも無く読破出来る作品に思いました。 そして、読者層を選ばない、その内容に私もまた共感したの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ