願い
大切な人へ。
彼女は意地っ張りで、人を頼ろうとしない。
手を差し伸ばしても取られない手。必死に叫んでも届かない声。
だから彼女は心を閉ざした。
感情も、記憶も、全部闇の中へと落ちていく。
心の欠片が、少しずつ、闇に沈んでいく。
だが、彼女を救い出した奴がいた。
彼女が『親友』と呼ぶ二人。
一人は彼女とよく似ている奴。元気でうるさくて、感情の上げ下げが激しい奴。だからこそ、彼女と同じようになるんじゃないかと心配になる。
もう一人は根は優しくて、だが怒らせるとすげえ怖い奴。すんげえ友達思い。全部背負い込んで、いつか爆発すんじゃねえかって心配になる。
その二人がいるから、彼女は『普通』の生活を送っていられるんだ。
人を頼るようになって、弱さを見せるようにもなった。
その二人を失うときがきたら……。
俺は二人を友人だと思ってる。
彼女以外で初めて俺の存在を認めてくれたから。
だから、彼女のためなら、その二人のためなら、俺は精一杯努力しよう。
それで涙を流さなくて済むなら、笑ってくれるなら、俺はなんだってする。
――だから、心からの笑顔を見せてくれ。