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第六話 綺麗な花を咲かせるのが俺の目的だったようだ

今回で説明回が終わります。

退屈に思った方は申し訳ありませんでした。

喧嘩・・・

「喧嘩かぁ・・・俺にその神々の喧嘩を止めてくれと?」

「ていうか皆で仲良くしてどっちが強いとか関係なくしてくれるのが一番いいんだ。」

無茶言わんでくれ・・・

「おいおい、俺には何の能力もないんだぜ?そんなのでどう戦えっていうんだ。俺にあるのは文房具類だぜ?」

「ああ、そこは大丈夫。僕が君に力を与えるよ。とびっきり強い加護、パラメーターをプレゼントしよう。」

「おいおい神様はこの世界に干渉しないんじゃなかったのか?」

「その点は大丈夫。僕はその行為のほんの手助けをするだけだからね。平和な国を作るのは君だ。」

おいおい、本気で俺がやると思ってるのか?

「俺をそんなに信用して大丈夫なのか?裏切ってその力を私利私欲に使うかもしれないんだぞ?」

「その点は大丈夫。僕はこれでも人を見る目には自信があるつもりなんだ。君はそんな憎まれ口を言いながらもやってくれるよ。そういう心の形をしてる。」

心の形?そんなのがこいつは見えるのか?腐っても唯一神ってか。

「・・・・」

「あっ!照れてる?ねぇ、もしかして照れてたりするのかな?」

「うるさい」

そういいつつこいつから顔を背ける。

「うんうん、やっぱり見込み通りだね!やっぱり君こそが相応しいよ!すべての種族が分け隔てなく仲良く暮らせる場所らくえんを作れるのは!」

「ああ、もう!いいよ!やればいいんだろやれば!」

もうヤケだやけくそだ!

「やっぱり君ならそう言ってくれると思ってた。その言葉を待ってたよ。」

「でも国の作り方とか言っとくけど何一つ知らないからな。」

これは当然の事だ。いきなり国を作れとか言われても、ほんの1ヶ月前までただの高校生だった奴に国を作れなんて、無茶にも程がある。

「大丈夫。君は一人じゃないさ!」

「なんだと?俺以外にもやる奴がいるのか?だったらそいつらにやらせればいいじゃないか。なんで俺が必要なんだよ。」

たぶん俺以外の唯一神に選ばれたやつなんて俺よりずっと強いのだろう。そう考えたらますます俺を使う意味がないじゃないか。

「ううん、それは違う。他の人は僕が選ぶんじゃない。君が集めるんだよ。」

「俺が集める?」

生憎だが俺はこの世界で知り合いなんて殆どいない。知ってる奴なんて蓮夜、渚、霞、剛、事務長さん、王様、アロンさんくらいだ。

「そう。詳しくいうなら君のその人柄に自然と人が集まっていくよ。獣人、魔人、竜種や魔獣。君は不思議な人だ。もっと自信を持って。」

俺の人柄って・・・言うほどご大層な人柄をしている自覚なんて何一つないのだが・・・

「あっ、もうそろそろ時間だね・・・」

「時間?」

もう朝なのかな。体感時間では15分程度だったのだが・・・

「うん。あのね、起きたら荷物を纏めて城から出てその国の門を通って北の洞窟に来てくれないかな?そこですべての準備を整えるから。」

「それは、つまり皆と分かれて旅に出ろ・・・ということか?」

「そうなる・・・かな」

「そうか。」

俺の頭の中ではこれまでの一ヶ月のことが思い出される。



あの日。異世界に召喚されて戸惑った日。そして俺の無能さが露呈した日だ。皆に期待されて結局無能だった。

異世界にきて一週間経った日 俺が戦闘力皆無と見られて城の使用人達には見世物みたいな目で見られた。中には嘲笑や罵倒の目もあった。

異世界にきて二週間経った日 俺は自分の文房具をせめて何かの役に立てようと必死になっていた。そこで事務所を見つけた。

異世界にきて一ヶ月経った日 今俺は人に役立つと言われていることも少しながらできた。それは凄く嬉しいことだ。無能なりの仕事があった、ということだから。 



でも・・・



「その役目。俺はいろんな奴を幸せに・・・」

「笑顔にできるかな?」

それが俺の最終的な判断を決める材料だ。




「今獣人族は人に迫害を受けている」

そう、獣人は人に奴隷のような扱いを受けている。神敵だから、なんてくだらない理由で。


「魔人族はずっと人族と戦争を続けている。でも魔人族の国は酷いものだ。力が全て。力がなければ淘汰される。そんな弱肉強食な世界だ。」

魔人族は知らなかったがそんな内情だったのか・・・ 弱いものはおそらく酷い扱いだろう。



「でも、迫害されていた獣人も、淘汰される予定だった魔人族の弱者も、君が作る国なら・・・」

「もちろん、笑顔の花が沢山芽吹くさ。」



ああ・・・・

それは・・・

その花は・・・




綺麗だな。





「決めたよ。」

「どうするんだい?」

俺は・・・

「俺は・・・咲かすよ。」

「咲かす?」

「ああ・・・沢山の笑顔の花が咲く、綺麗な国を。」





「そっか・・・」

そう言って唯一神はすべてを慈愛の、我が子を見る父親のような目で、安心したような目。 

その目でこう言った



「北の山で待ってる。」



そうして意識が浮上するのを感じた。


最後まで読んでくださってありがとうございました。

この回でやっとこの作品の最終目的が出ましたね。そして刃君が遂に独り立ちを決意した回にもなりました。作者的にはこの回が1章の最終話と考えています。 「異世界に呼ばれて巻き込まれた最強の者の武器は文房具!?」略して異世文、まだまだ物語は始まったばかり!応援よろしくお願いします!

誤字、脱字がありましたらお手数ですが報告よろしくお願いいたします。

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