第四話 文房具を召喚した俺の生活とは・・・
どうも、異世界に召喚されて勇者のパーティーメンバーの中の一人と言われパラメーターはダメで最後の希望の武器すらも戦闘目的の物じゃなかった帯刀刃です。今の気持ち?泣きたいですよ。
「これはなんだ?」
「察するに異世界の伝説などにある神器ではないですか?」
ごめんアロンさん、王様。これそんな大層な物じゃないんです。本当に中学生とか高校生が学校で使う神器です・・・
「刃・・・お前それって・・・」
「ああ・・・これ、多分筆記用具としては万能なんだろうな。だってここまで取り揃えてあるとなにも困らねぇよ。あと修正テープか修正ペンでもあれば完璧だぜ?」
「刃・・・」
「刃君・・・」
「ま、まぁ学校とかじゃ困らないじゃないか!」
ああ、皆の同情と哀れみの目が痛いよ・・・あと剛、その慰め逆にやめてくれ・・・
「む?蓮夜殿達は刃殿の武器が何かご存知なのか?」
「ええ、つい4時間ほど前は使っていたものが多々あります・・・」
「ていうか私達皆使ってたわよね。ついさっきまで・・・」
「そう、ですね・・・」
「まぁ・・・な・・・」
「なんと!してその道具の効果はなんなのだ!」
「ええ、私自身も興味があります。」
やっべ、言ってもいいのかよ。王様達期待してるよ。こんな期待の視線の中で俺は言うのか?
この武器は文房具です!と・・・
「えっ、え~っとこの武器は・・・」
「「この武器は?」」
「ぶ・・・」
「「ぶ?」」
「文房具です!!」
「「ぶんぼうぐ?」」
言った・・・ 言っちまった・・・ ははは、後はどうにでもなれい!
「「ぶんぼうぐとは其方らの世界の武器か?」
「いえ、筆記用具とか書類に線を引いたり、円を書いたりと使用例は多岐に渡りますが」
ああ、蓮夜が物凄く申し訳なさそうにこっちを見ながら説明していらっしゃる。うん、そんな顔色伺わなくていいからね?むしろこっちが悲しくなるだけだからね?
「言ってしまえば日用品の部類であり戦闘目的の物では決してありません。」
ありがとう蓮夜俺の代わりに説明してくれて。俺では絶対恥ずかしくて説明なんて到底でできないよ。
「「に・・・日用品?」」
あぁ~・・・王様達の視線が痛い!!穴があったら入りたいとはこういう気分なのか。
「そうです。王様達も使いますよね?書類仕事の時とかによくサインとかするじゃないですか。」
「ああ、確かに物を書くのに羽ペンとかを使うな。」
「私も騎士団の食用品などの在庫事情など維持費の計算などにペンなどを使いますね。」
「つまり、刃の召喚した武器は俺達の世界のペン類などです。」
うんうんと渚達も首を縦に振っている。やっべ、心の目からしょっぱい水がでてきた。なんなのだろうね。
「つまり戦闘はできない・・・と?」
「そうなるのですか?蓮夜様」
「つまり、そうなります。」
一気にシーンとなる謁見の間。さっきまですごいだのキャーッだのあれが聖剣か!など渦巻いていたこの広間も今はご覧の通り静かです。
理由は言うまでもない。俺の役立たなさが原因である。
これからどうしようかなぁ。
あれから1ヶ月たった。蓮夜達は皆メキメキと強くなっているらしい。
蓮夜たちはこの国にある「夢の迷宮」という所に潜って鍛錬しているみたいだ。1週間前にステータスカードを見せて貰った時にはもう俺の40倍くらいにはなっていた。すごく置いてきぼり感を最近感じている。かくいう俺はというと・・・
「刃、この書類を仕分けてくれ!」
「刃、この書類のこの部分カッターで切ってもらっていいかな?」
「刃君!赤色のペン貸して!」
「刃、この間違ってしまった部分消しゴムで消してほしいんだ」
「刃!丁度良かった。この5枚の書類ホッチキスで纏めてもらってくれないか?」
「ちょ、ちょっと待ってください!いまこの書類書き写してるところなので!」
絶賛お城の事務仕事で活躍中なんです。でも、皆忘れてないかな。一応俺のこの文房具達、武器なんですが!
3時間後・・・
「やぁ~助かったよ刃。はい、これ今日のお給料ね。」
「はい、ありがとうございます」
そういって銀貨1枚と銅貨3枚貰った。
この世界ではお金の単位が硬貨であり順に鉄貨(100円)、銅貨(1000円)、銀貨(1万)、ミスリル貨(10万)、金貨(100万)、黒曜貨(1000万)という具合になっている。
「いつもこんなにありがとうございます。」
「何言ってんだ。俺達はお前が事務所で働いてくれるようになったおかげで仕事がいつもより格段に早くなったんだ。感謝するのはこっちの方だ。それにお前もよく働いてくれる、そのお金はその報酬としては妥当な金額だよ。」
こんな感じでバイトをしてお金を稼いで城に戻って、食堂で飯を食べさせてもらい、部屋に戻って寝るのが俺の今の週間だ。俺にできることは事務仕事くらいだしな・・・。
でも、やっぱり折角異世界に来たのに冒険者とか魔法が使えないっていうのはやっぱりへこむなぁ・・・
そう思いつつ飯などを済ませたので部屋に戻って寝ることに。明日も事務仕事なのかなぁ。お金だけ貯めて何するんだろう・・・
異世界に来たのに働いて、お金稼いで、ご飯食べて、寝る。
なんだか日本にいた時と変わらない生活を送っている気がしてならない。そう思いながら明日は何しようと考えながら俺の意識は闇に落ちていった
そしてこの後に俺の運命を決定的に変えることがあった。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
やっと文房具が正式に活躍しました。本来ならこれが正しい文房具の使い方なのでしょうがねw
これから文房具をどう使っていくのか。刃の行動に注目ですね。
誤字、脱字がありましたら御手数ですが報告よろしくお願いします。