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第三十九話 ネアの死闘 

「クスッ遊ぼうか、木偶の坊」


そう言って私は結界を貼ってアリスのいる場所とお兄様のいる場所、私がいる場所を全て分断する。


「ほう、こいつは禁呪か」

「そう、私たちの戦いが始まっちゃうとあの場所とかぶっ壊れちゃうでしょ?」

「ははは、確かにな」


こいつの実力は見た感じ私より低く見積もって私より1段は上だろう。おそらくこいつがベルフェゴールの手下の中の最強の部下。でも私にとっては当たりかな。だって・・・


「あなたを倒せば私は今より遥かに強くなるでしょう?ねぇ、最強の部下さん?」

「俺をベルの旦那の中で最強の部下と?」

「実際そうでしょ?」

「まあ当たりなんだが」


こいつは多分私とまったく一緒のスタイル。魔法、禁呪を使いこなす術者だろう。それに私の予想が正しければ・・・


「あなた、吸血鬼でしょう?何故ベルフェゴールに仕えてるの?」

「おおう、そいつも見抜かれちまうか。確かに俺は吸血鬼だぜ。ほら」


そう言って男はフードをはずす。そして吸血鬼の証拠の少し出ている角を見せてくる。


「まあベルの旦那に仕えているのは少し理由があるのさ。それよりいつまでもここで会話しててもしょうがないだろ」

「それもそうね」


辺りに奴と私の魔力が爆発的に広がる。


「おっと、自己紹介が遅れたな。俺はラルってんだ」

「普通このタイミングで名乗る?」

「まあ形式上だ」

「そうね。私はネア・アスモデウス。でも、もうすぐネア・タテワキになる予定よ」

「へぇ。覚えておこう」


そしてお互いの魔法が展開した。


炎の槍フレア・ランス!」

風の槍ウイング・ランス!」


ボウッ!ビュオ!!


私の炎の槍と相手の風の槍は奇しくも同じタイミングで飛び、同じタイミングでぶつかったようだ。しかし・・・


「くっ、やっぱりあなたの槍の方が一歩は上か」

「そうみてえだな」


そう、私の槍は風の槍に押されてしまっている。でも!


「まだまだ魔法合戦は始まったばかりだよ!」

「へっ!そうこなくちゃ面白くねぇよな!!」


魔術師同士の戦いは基本魔法の打ち合いになる。その中で相手が苦手な魔法、魔法の展開速度、魔法を放つタイミング、魔法の数、そして魔法の威力。これらが非常に大事なポイントになる。一応私は吸血鬼だからさっきお兄様に血を貰い魔力は満タンだ。それでも押し負けるということは相手の方が魔法の実力が上ということになる。ならば私は相手が苦手な魔法、魔法の展開速度、魔法を放つタイミング、魔法の数。これらで勝つしか道はない!


炎の槍フレア・ランス水の槍アクア・ランス氷の槍アイス・ランス風の槍ウイング・ランス雷の槍サンダー・ランス


私の周りに5つの属性を持つ全ての槍を一斉に展開する。


「嬢ちゃんすげぇな!そんなことはそんじょそこらの吸血鬼じゃねぇだろ!さすがはアスモデウスの一人娘なだけはある!俺でも嬢ちゃんぐらいの年のときにはそんなに槍は展開できなかったぞ!」


槍魔法は下級、中級、上級、精霊級、古代級、神級の全6段階の中の中級に分類される魔法だ。それをいくら中級とはいえ5属性一斉展開なんて人間界ではまずお目にかかれるものではない。


「でも、やらなきゃあなたには勝てないでしょう?」

「いいね~!そのチャレンジ精神!いいぜ、打ってきな!」

全槍オールランス、一斉掃射!!!」


ズドドドドドッ!!!!!


槍が一斉に相手に殺到する。私だってこんな程度で奴を倒せるとは思っていなかった。でも・・・


「うひゃ~、すげぇ威力だな。これはマジ嬢ちゃんいくら吸血鬼つっても吸血鬼の中でも天才中の天才だぜ?想像以上の威力だわ」

「だからって無傷のあなたに言われてもまったく自信でないわ・・・」


そう、相手は傷一つなしに服をパンパン払いながら出てきた。


「いやいや、その年でさらにこの数、威力、展開速度。言うことなしだ」

「なら少しは傷一つは負ってくれないかな?」

「残念、それは無理な相談だな」


私の中では10分の1くらいだがそれでも10分の1は魔力を込めたのだ。それを無傷はさすがに少しヘこむ。


「さて、魔法合戦は始まったばかりだったな?じゃあ、やろうじゃねぇか。魔法合戦をよぉ!」


相手も魔力を杖に込め始めた。ということは・・・


「我が敵を風の刃にて切り裂け、風の刃ウインド・カッター

「嘘でしょ!?」


風魔法の中級魔法の一つ、風の刃ウインド・カッター。しかし威力が中級どころではない。私の槍も一本一本は上級魔法並ではあったが相手の放つ風の刃は上級どころではない。間違いなく精霊級だ。それが無数に飛んでくる。


「あぐっ」


風の刃の何本かが私の腕、足を切り裂く。やはり威力が中級どころではない。


「悪いな、嬢ちゃん。俺も嬢ちゃんみたいな同族で強い魔術師は殺したくはないが旦那の命令だ。せめてもの情けだ。苦しまずに殺してやるよ」

「お断りよ。こんなとこで死んでられないわ。私は死ぬのならお兄様の腕の中が予約済みよ」

「そうかい」


減らず口を叩いておきながらもこれはまずい。おそらく相手とは3段から4段は格が違う。それでも・・・


「こんなところでは死んでいられないかな」


そう言って私は魔力を魔法ではなく禁呪に方向転換することを決める。


魂の鎖ソウル・チェーン!」

「何?」


こうして相手の魂を縛り付ける。そして相手の動きが止まったところで相手と距離を離す。


「なるほど、魂を縛り付けたか」

「ご名答」


これで相手は暫くは動けない。次いで魂の炎ソウル・フレイムを使おうと禁呪を展開しようとした瞬間


魂の解呪ソウル・ディスペル

「嘘・・・」

「俺も一応禁呪は使えるんでね」


あっさり私の魂の鎖ソウルチェーンが解かれた。この相手、想像以上に強い・・・


「でも、まだまだ諦めない。お兄様のお嫁さんって夢が実現するまでは死ねないな」


そしてこいつを倒すためにどうするか、私の頭は考え始める。

絶対倒すという願いと共に・・・


最後まで読んでくださってありがとうございます。

ネアの戦いはまだ続きます。どうやってラルを倒すのか、ネアの活躍に期待ですね。

誤字脱字がありましたら報告よろしくお願いします。

応援、感想お待ちしています。

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