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第32話 九戸実親という男

 1599年春、斎藤龍興さん亡き後に大名となった九戸実親さん。彼がまず最初に行ったことは、


 わたしたち武田家との同盟解消でした。


「またこのパターンかーーーーい!」

 わたしは叫ばずにはいられませんでした。今川も、北条も、長宗我部も、みんな向こうから同盟を切ってくる……。嫌になってきます。

 まあ史実の織田信長さんも数多くの裏切りに遭ったといいますし、天下を狙う立場になると必然的にこうなるのかもしれません。

 などと、のんきに考えている暇は無さそうでした。

「宵子よ、さっそく九戸が攻めてきおったぞ」

「うそ! 同盟切ってきたそのターンでですか!?」

「わしらが九州や関東で戦っておる間、ずっと兵力を温存しておったからのう。準備は万端だったのであろう」

「それでも龍興さんは同盟を切ってきたりはしませんでしたが……やはり当主が変わると性格というか、思考が変わるんでしょうか……ギギギ」

 

 九戸さんが大軍で攻め寄せてきたのは、佐和山城や観音寺城はじめ、近畿方面です。わたしたち武田の主力は関東や越後にいますから、どうやっても間に合いません。

 一応、近畿の守りは細川藤孝さんを筆頭にそれなりの戦力がいますが、

「兵力差は歴然ですね……。相手はこちらの約3倍です。本多忠勝さんのような、戦局を覆す武勇の持ち主もいません。がんばって抵抗すれば、相手の兵力をある程度は削ぐことができるでしょうけど……」

「結局は城を落とされるのは間違いないであろうな」

「はーっ」

 信玄公の冷静な状況判断に、ため息が出てしまいます。

「もし現実の戦であれば、籠城して時間を稼げば様々な手を講じてどうにでもなるのかもしれん。しかし、これはげーむだからのう」

 信玄公の言いたいことはなんとなくわかりました。

 攻められたものはどうしようもない。無駄に勝ち目のない戦いをしても、武将や兵を失うだけになる。だったら、いったん多くの城を失うのを承知で早々に退却し、主力と合流して反撃に出るほうが効率的ということでしょう。

 うぐぐ、悔しい。悔しいですが、勝つ見込みのない戦いをする暇はありません。

「とにかく撤退! 撤退です!」


 わたしたちは九戸さんが攻めてきた城の武将たちを急いで退却させました。細川藤孝さんはじめ何人かの武将は退却中に捕らえられてしまいましたが、やむを得ません。

 さらに九戸軍はその勢いのまま、堺などに加えてなんと那古野城や清洲城まで占拠。やりたい放題やってくれますね(ビキビキ)。

「かつて長宗我部さんにも一時的に堺を落とされはしましたが……初めてですよ……ここまでわたしをコケにしたおバカさん達は……。ぜったいに許さんぞ、虫けらども! じわじわとなぶ」

「さあ、とっとと今後の対策を考えるぞ宵子」

「ああん、最後までフリーザ様の真似をさせてください!」

「そんな暇はない」

 cool! coolです信玄公!

 ただまあ、実際その通りではあるのです。これだけ大量の城を奪われたのですから、すぐに奪い返さなければいけません。ゆっくりしていると、それだけ九戸軍の力が増すことになってしまうからです。

 まずはとにかく、九戸軍に奪われた城と隣接する城を直轄に変更。北条に睨みをきかせる程度の戦力を残して、関東から武将たちを各城に移動させ、手薄なところには九州や四国からも動員しました。

 そして反撃のための拠点として、丹波亀山城に勝頼さんを、長島城に雪ちゃんを配置。二方向から反攻作戦を行うこととしました。

「これは武田による国土回復運動レコンキスタ……いわばTのレコンキスタですよ! つかめサクセス!」

「よくわからんが……」

 

 そして大急ぎでわたしが準備を整え、逆襲を開始しようと考えていた1599年秋、九戸実親さんは次なる一手を打ってきました。

「九戸と北条が同盟ですってぇーー!」

「九戸としては、最善の策ではあるな。北条と連携して、わしらを挟み撃ちにできる」

「ますます苦しくなりますよ……」

 と思ったところで、今度は意外な人物が勝頼さんのもとへ訪れてきました。片倉景綱かたくらかげつなさんです。

「伊達からの同盟の申し出か!」

「これは……受けない手はないですね」

「うむ。ありがたいことだな。さすがは伊達政宗だ。機を見るに敏だな」

 

 こうして、勢力図は九戸実親さんの行動をきっかけに大きく変わることになりました。

 武田・伊達連合軍VS九戸・北条連合軍。日本中がこの二つに割れて戦うという状況が生まれたのです(ただし上杉は除く)。


 今宵はここまでにしようと思います。

次回「天下分け目」ご期待ください。

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