表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/42

第29話 九州統一戦

 雪ちゃんの初陣の相手は阿蘇家の皆さんです。阿蘇家は一応独立した大名ではあるのですが島津に従属していたようで、義久さん亡き後、安国寺さんが大名になってもその関係は変わっていません。

 無駄な戦いは避けたいので降伏勧告もしてみたのですけど、受け入れられず……。これはもう、戦うしかありません。


 かくして1591年冬、雪ちゃんは細川忠興さん、黒田長政さんといった2代目武将を引き連れて阿蘇家へ攻め込みました。当然、騎馬適正の高さをいかして雪ちゃんは騎馬隊です。

「よし、雪ちゃんをガンガン突っ込ませますよ!」

「うむ、能力を見てもそれがもっとも有効であろうな」

 雪ちゃんは期待以上の戦いぶりを見せてくれました。ただでさえ数で勝っているのに武勇も高いものですから、次々と敵をなぎ倒していきます。その様子はまさに戦闘妖精。……雪だけにね!

 

 詳細に記すまでもないほどの圧勝で阿蘇家の城を落とした雪ちゃん。わたしはそのまま阿蘇家討伐を雪ちゃんに任せ、1592年夏には阿蘇家を滅ぼしました。

「ふっふっふ、13歳のお姫様が総大将になって一国を壊滅させるって……どんなラノベだって話ですよ」

「さすがにありえない話だのう。げーむならではと言えよう。だからこそ痛快ではあるがな」

 信玄公も楽しそうです。架空の存在とはいえ自分の孫娘が戦場で大活躍しているのですから、悪い気はしないんでしょうね。


 雪ちゃん登場による勢いのまま安国寺軍を追いつめて行ったわたしたちでしたが、1593年になるとまたしても悲しい報せが舞い込んできました。

「内藤昌豊が死んだか……」

 信玄公が無念そうにつぶやきました。

「ご高齢でしたからね。ゲーム序盤から政治力の高さをいかして内政に外交にとフル回転してくれました。地味でしたが序盤の影のMVPじゃないでしょうか」

 それにしても、上杉の捕虜になった高坂さんもすでに亡く、これで武田四名臣と呼ばれた武将たちが全員亡くなったことになってしまいました。

「史実だととっくに武田家が滅亡してしまっている年代に入っていることもあって、武田譜代の家臣がわたしたちの配下にほとんどいなくなってしまいましたね……」

「めぼしいのは真田と土屋つちやくらいであろうかのう。あとは一門衆か。さびしいことだな」

 わたしとしても同感でした。もはや西日本オールスターズと言っても過言ではない面子が揃っているとはいえ、やっぱりなるべく武田一門や譜代の武将を使っていきたいのが人情というものです。雪ちゃんという新星を大切に育てたいところですね。


 そうこうしているうちに九州戦線は着々とわたしたちの優位に進み、安国寺軍は肝付城と種子島城を残すのみとなっていました。

 はっきり言って九州はもはや統一したも同然。ここでちょっと関東に目を向けてみると……。


 北条氏政さんはわたしたちとの同盟を一方的に切ってきた割には攻めてこず、関東で勢力を拡大させていました。上杉家(景勝さんではなく関東のほうです)を滅ぼし、佐竹義重さたけよししげさんを追いつめています。

「これは、放っておくとやばいですね……。なるべく早く九州を統一して関東へ向かわないと、北条が拡大し続ければ厄介なことになります」

「ならば、安国寺に降伏勧告してみるか。安国寺恵瓊は武将でなく坊主なのであろう。話がわかるかもしれんぞ」

「そうですね。では、ここは大河ドラマでも妙に安国寺さんと仲が良い黒田官兵衛さんを使者に立ててみます」

 そんなわけで、けっこう期待して官兵衛さんを送り出したのですが。

「うわーん! あっさり断ってきましたよあのハゲー! どう考えても勝敗は見えてるのにー!」

「やむをえん、戦うしかないな……」


 もしこれがシミュレーションRPGだったら、追いつめられた敵軍の最後の拠点にこもるラスボスがめちゃくちゃ強い、というのが定番のパターンでしょう。

 しかしこのゲームは純然たるSLG。九州に攻め入る前後は互角の戦いを繰り広げていましたが、もはや兵力の差は歴然。そのうえ今は無き島津義久さんと比べれば安国寺恵瓊さんの能力は戦闘向きと言えるものではまったくなく……。仁科盛信さん率いる部隊の前にあっけなく肝付城と種子島城は陥落、1593年秋に九州は武田家により統一されたのでした。

 

「これで長きにわたった大友・島津・安国寺との戦いも終わりですか……。いやあ、九州に攻め入るまではなかなか大変でしたが、上陸してからはけっこうスイスイいきましたね」

「今思えば、中国での戦いが正念場だったのであろうな。大砲には苦労した」


 ここらでゆっくり休みたいところなのですけど、北条の台頭を考えると一息つく間もありません。西日本の武田領に関する人事を行ったうえで、主力を再編成して関東に向かわせるという大仕事が待っているのです。


 今宵はここまでにしようと思います。

次回「東方風魔大戦録」ご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ