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第24話 長宗我部元親の乱

 1584年秋。中国地方から島津を完全に追い出すことに成功したわたしたちは、九州侵攻の準備を始めようとしていました。九州へ渡る2つのルート……本州からのルートと四国からのルートをどちらも押さえていますし、斎藤家に邪魔される恐れはありません。

「ふっふっふ、九州を手に入れれば正直天下統一は見えたも同然じゃないですか?」

「で、あろうな」

 口ではそう言っていますが、どうも信玄公は浮かない顔です。

「なにか心配してらっしゃいます?」

「今のわしは、わしが死んだ後の歴史を知っておるからな。……武田を滅ぼし、天下を目前にして高転びした織田信長のことをな。あらゆるものに用心しておくのだぞ、宵子」

「うーん、お気持ちはわかりますが」

 そんなに心配することは無いのでは……。


 すぐにわたしは見通しが甘かったことを痛感させられました。


 淡路島から長宗我部軍が石山城に侵攻、そこから紀伊の本願寺領を物凄い勢いで奪い始めたのです。

「あらら、長宗我部さんが暴れ回ってますねえ」

 長宗我部も本願寺も武田にとって同盟国ですから、システム上は介入できません。困惑しつつ、見守るしかないのです。

 長宗我部軍は瞬く間に紀伊を併呑、本願寺や雑賀衆の一部を取り込んでしまいました。これにより畿内の本願寺軍は一掃され、遠く離れた加賀を残すのみです。

「すごい勢いで伸びましたね長宗我部さん。土佐に阿波に淡路島、和泉に紀伊ですよ。でも、その勢いもここまでですね」

「なぜ、そう思う」

「だって、これ以上長宗我部家が領土を広げようと思ったら……」 

 長宗我部家は一気に勢力を拡大しましたが、その結果としてわたしたち武田にまるっと領地が囲まれる形になったのです。

「わたしたちと同盟結んでるわけですし、しばらくは大人しくするんじゃないですか?」

「宵子、お主は戦国の怖さを知らぬようだな」

「え?」

 戸惑うわたしに、信玄公はシリアスな顔をして言いました。

「戦国の世の同盟など、脆いものよ」

 ちょうどそのとき、長宗我部家からの使者がやってきたのです。

「ほれ、来たぞ」

「……まさか」

 

 領土拡大する道が他に無いと見るや、同盟を破棄するという宣言! けっこう呑気してたわたしも長宗我部さんの早い行動力にはビビりました!

「って、申し訳程度のパロディを挟んでいる場合じゃないです! 兵力はほとんど中四国に配置してて、畿内にはほとんど誰もいませんよ! 対応を急がないと……」

 しかし、長宗我部元親さんの行動は素早いものでした。わたしが準備を整える前に、がら空きの堺に攻め寄せてきたのです。

「NO---!」

「堺はほぼ無人ではないか。おまけに周囲の城も同様じゃ。ここは引くしかあるまい」

「……やむを得ないですね」

 戦が始まるや否や、わたしは歯ぎしりしながら全軍を退却させました。こうして、河内、摂津、大和といった国々が長宗我部家の手に落ちたのです。

「ぐぐぐ、こんなに鮮やかに乱を起こすなんて……」

 悔しがっているわたしに対し、信玄公はなぜか楽しそうでした。

「元親も戦国大名よ。目の前に兵のおらぬ堺があれば、一か八か賭けてみたくなるのであろう。本能寺を攻めた明智のようにな」

「そういうものなのでしょうか……」

「で、宵子よ。黙って長宗我部をのさばらせておく気か?」

「まさか! すぐに奪い返しますよ!」

「よく言った。ならば、手っ取り早いのは丹波亀山城にいるわしを使うことじゃな」

 そうでした。すでに史実での寿命を過ぎていることもあり、信玄公を丹波亀山城に待機させていたのです。中四国の最前線とまでは言わないまでも、丹波には一定の兵力がいます。畿内の奪回も可能でしょう。

「げーむの中のわしも老いている。これが最後の戦であろうな。その相手が長宗我部元親か。まあ、悪くはなかろう」

 信玄公がニヤリとしました。


 今宵はここまでにしようと思います。

次回「武田信玄最後の戦い」ご期待ください。

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