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Ultra Harmony!  作者: 宇治田紅葉
Promenade(序章)
3/5

速星瞬 - 1

 入学式初日に茶髪で現れた新入生、速星瞬はやほししゅん

 クラスの自己紹介を気怠げに聞いていたが、完璧な容姿の持ち主・時霧子とききりこを目にした瞬間覚醒し、彼女を落とすことを即断する。

 放課後、瞬は霧子を誘おうと声をかけるが、歯牙にもかけない態度に引き下がらずを得ない。それもそのはず、彼女は県下一の名門企業の令嬢、かつ文武両道の完璧超人だったのである。

 昼休みが終わると、冴えないおっさん担任主催の元、お決まりの「自己紹介」というやつが始まった。

 俺はこういう「みんなで親睦を深めましょう」的なノリのイベントがかったるくて仕方ない。正直寝ていたい。

 だが、こういうところで周りの奴らに「アピール」しておくのは大事だし、何より一度に女の顔をチェックできる滅多にないチャンスだ。仕方なく、起きてこいつらのつまらない挨拶を聞いてやることにする。

 今まで聞いたところ、男どもは一様に「真面目君」的なオーラを放つモヤシ、女どもは揃って喋るのが苦手そうなイモ、って印象だ。予想していた通り、普通の偏差値と顔面の偏差値は反比例の関係にあるらしい(唯一、「小川美波」って女は、快活でさばけてそうな雰囲気だったが。悪友的なノリの委員長って感じか。顔は悪くないが、遊ぶとなると一番やりづらいタイプだ)。

(せっかく気合い入れて来たってのに、全く話にならねえな。知り合いの女も近所にいねえし、どうすっかなー)

 そんなことを考えながら、俺はおっさん担任に順番に名前を呼ばれて挨拶する奴らを適当に眺めていた。

「じゃあ、次はとき

 同じようにおっさんがそう言って、太った男の次の女が立った。

「初めまして、時霧子きりこです」

 瞬間、若干虚ろだった俺の意識が、一発で覚醒した。

(……なんだ、こいつ。滅茶苦茶レベル高いじゃねえか!)

「白川大学附属中学校の出身です。趣味は楽器、特にホルンの演奏です。なので、部活動は吹奏楽部にお世話になろうと思っています」

 これまでとちる奴が多かった中、まさに立て板に水という感じで滑らかに自己紹介を進めていく。堅苦し過ぎも馴れ馴れし過ぎもしない絶妙な言葉遣いだ。余裕の笑みさえ見せている。

「皆さん、これからどうぞ宜しくお願いします」

 深々とお辞儀をする時に送られた拍手は、それまでより大きかった気がした。それは、こいつの挨拶が完璧だったせいか、それともこいつの見た目が完璧なせいか。

 高級ブティックにあるマネキンのようにケチの付けようがない顔。完璧な色艶をした腰まであるストレートの黒髪。そして、これ以上似合う奴はいないと感じさせるメガネ。基本、マイナスアイテムだが、こいつの場合はないことが考えられないほど完璧にマッチしてやがる。若干お寒い表現だが、「クールビューティー」って言葉がこれほどしっくりくる奴は、人生で初めてだ。

 そして何より、

(この乳は、やべえな……)

 最低Gはあるだろう胸。地元では一年で三十人の女を食ったが、これだけの巨乳にはお目に掛かったことがない。

(これは、落とすしかねえだろ)

 しかし、これだけ難易度の高そうな女もそうそういるもんではない。

 この女の完璧な立ち居振る舞いは、「私に必要以上に関わるな」の回りくどい表現に違いない。完全な社交辞令と言ってもいい。京都では帰らせたい客には直接そう言わずに茶漬けを出すと聞いたことがあるが、そんな感じの冷たさが透けて見える。

 単に周囲に壁を作っている類の女であれば、過去特に苦もなく落としてきた。そういう奴らは、結局のところ見せたくない自分を隠そうとしているだけで、どうにかして「隠す必要なんかないない」ことを納得させてやりさえすれば、後は楽勝だ。向こうから勝手に転がり込んできてくれる(むしろ、その後どうやって後腐れなくお引き取り願うかの方が面倒だ)。

 しかし、この女は明らかに違う。自分に絶対的な自信を持った上で、「こいつらと関わらなくても、あるいは嫌われても何ら問題ない」という意志でそういう態度を取っているようにしか見えない。自己紹介の後も一切崩さない余裕の微笑がそれを物語っている。

(こいつは、気合い入れねえとな……)

「おい、速星!」

 こっちがターゲットを一心不乱に分析している中、おっさんの野太い声が俺の思考の邪魔をした。

「聞いてるのか! お前の番だ、早くしろ!」

(ったく、空気読めよおっさん……)

 おっさんの方を一瞥すると、俺の心の声が顔に出ていたのか、俺を睨んでいたおっさんがさっと顔を逸らした。

(逃げんなら最初っから睨むんじゃねえよ、このチキン野郎)

 こいつのせいでせっかく高まってた気分が最高に悪くなったが、今それをありのまま出すのは得策じゃない。こういうところで周りの奴らに「アピール」しておくのは大事だからだ。たとえば、こんな風に。

「どうも、速星瞬です!

 宮原町みやのはるまちの宮原中学出身です。高校から市内に出てきて一人暮らし始めましたー。

 近くに知り合いいないんで、是非一緒に遊びましょう! よろしく!」

 俺に向けられた拍手はまばら。

 当たり前だな、初日からこんな明るい髪なわけだし。「真面目君・真面目ちゃん」には刺激が強かろう。

 俺に向けられた態度は大きく四種類。

 まず、当然、顔を背けたり下を向いたりしてる、恐れの態度。教室全体の半分ほどがこれだ。

 二番目に、「ふーん」とか「なるほど」とかいう感じの、俺を品定めするような態度。小川美波を始め、だいたい三分の一程度。

 三番目、俺の容姿に惚れてると思しき女。これが六分の一弱。女子の半分行かなかったのは髪の色の分だろうが、むしろ想定より数が多い。これまでの冴えない顔の男しかいなかったからだろうか? もっとも、その女どもが揃いも揃ってイモ臭いのには辟易するが……。

 そして最後に、恐れも品定めも惚れもせず、何ら関心を示さない舐めた態度の奴。時霧子、ただ一人。

 普通、俺みたいな風貌の人間が予想外にフレンドリーな挨拶をすれば、ほぼ確実に何か反応を寄越すはずだ。なのにこの女は、明らかに俺に毛ほどの興味も持っていない表情をしている。悪意を持たれるのは覚悟してたが、さすがにここまで蔑ろにされるとは思っていなかった。

(舐めやがって……この女絶対落とす)

 その後、俺が何度か視線を送っても、時は俺に一瞥もくれず涼しげな顔のままだった。

 それを繰り返しているうちにいつの間にか自己紹介は終わり、休み時間に入ると同時に俺は担任のおっさんから怒りの表情で呼び出しをくらった。昼休みの呼び出しを屋上でブッチしたのが、こいつが今キレている原因だろうか。

 どうせ髪の件だろう。行っても俺にメリットはなさそうだが、休み時間は十分しかないしここらで説教を食らってやるのも悪くないだろう。仕方なしに俺は怒り心頭って顔のおっさんに続いて教室を出た。

(あー、色々とムカつく……)


 職員室でのおっさんのかったるい説教、および教室でのおっさんのかったるい事務連絡に耐え抜き、ようやく入学式という最高にかったるい一日が終了した。正直ひたすら眠かったが、初日からそういう態度というのもウケがよくないので必死に起きていた。内容はよく覚えていない。

 しかしあのおっさん、事務連絡中もちょいちょい俺を睨むわ、こっちに視線を寄越しながら学生のあるべき姿がどうたらとか言って当てつけてきたり、大概粘着質な野郎だ。このまま茶髪を維持するとなると、今後が大変だな……。

(おっと、こんな下らないことを考えてる場合じゃないな)

 落とすべきターゲットが決まったら、まずやることは一つ。声を掛けることだ。

「ちょっといいかな? 時さん」

さっと近づいて話し掛けた俺に、時は表情を変えずに顔を向けた。

「何? 速星君」

(あれだけ無関心だったくせに、名前は覚えてるのな……)

「この後暇?」つと

「ご免なさい、これから家の用事があるの」顔色も声色も全く同じのままだった。

(これはきついか……。一応もう一歩行っとくか)

「そっか、残念だなー。紅茶がすげー美味しいって店知ってるんだけど……」

(ネットで調べただけだけどな)

「そう、興味深いわ。でもご免なさい、今日はこれから家で楽器のレッスンがあるの。又にして下さる?」さっきと何も変わらない様子で、同じように断られた。

(ゲームセット、か……)

「オッケー、また誘うよ。ごめんな、急に」

 仕方なく、努めてにこやかに諦めの挨拶をする。こういう事務的な断られ方の時は、無理に粘るのは逆効果だ。

「いいえ、こちらこそご免なさいね。

 ただ、私中々時間空けられないから、折角声を掛けて貰っても期待に応えられないかも。他の子を誘った方がいいと思うわ」そして、角の立たない言い回しで今後の接近をブロック。

(くそ、これでさらに難易度が上がったな……)

「そっか、残念だなー。ま、考えといてよ」

「分かったわ。それじゃ、私はこれで」

 俺と話しながらてきぱきと荷物をまとめていた時は、その台詞を残してさっさと席を立ち、俺に軽く目礼をして踵を返し教室を去った。

(完敗だ……)

 これだけ箸にも棒にも掛からなかったのは生まれて初めてかも知れない。気を取り直すため、とりあえず教室の隣のトイレへと向かった。

 用を足しながら、さっきの敗戦を振り返る。

(何かまずったか? いや、あの状況ではあれが精一杯だった。あいつの防御が完璧過ぎたとしか言いようがない。あれで強引に行くのはただの馬鹿だ……)

 結論。今日は仕方ない。今後は、しつこくない程度に声を掛けつつ、焦らずチャンスを待つしかない。

(帰るか……)

 虚しい気分でトイレから出て教室に入ると、

「お疲れさまだったねえ」とドアすぐ側の女に声を掛けられた。小川美波だ。ニヤニヤ笑っているのが気に障る。

「なんだよ」

「なんかやらかすかとは思ってたけど、いきなり時さんナンパするなんてねえ。身の程知らずというか……」

「なんだと?」慣れ慣れしい上に上から目線の言い草に、勝手に俺の口調も乱暴になってしまう。

(いかん、静まれ俺のメンタル……)

「ああ、速星は宮原出身か、じゃあ知らないかもねえ」

「どういう意味だよ」ほぼ初対面の奴にいきなり呼び捨てにされたのは腹立たしいが、俺が知らない情報というのは聞き捨てならない。

「亀甲屋って知ってる?」

「ああ、県で一番でかいデパートだろ?」いつか市内に出てきたときに入った覚えがある。見た目も中身も売ってるものも、宮原にある店とはまるで比べものにならなかった。そもそも宮原にデパートなんかねえし。

「そうそう。で、あれを経営してるのが、時さん家の会社」

「……マジか」ものすごく衝撃的なことをさらっと言われ、まともな反応ができなかった。

「マジマジ。しかも、その会社ってすごい昔から着物の問屋やってて、その流れで今はファッションブランドもいくつか持ってるらしいんだよねえ」

(名家のお嬢様、ってわけか……。確かに、あの品の良さは並大抵じゃ身に付かねえだろうな)

「お前、詳しいな。同中じゃないだろ?」

「ああ、小学校の同級生で附属行ったのがいてね、その子からすごい子がいるって聞いたんだよ。しかも、すごいのは家だけじゃなくて、滅茶苦茶努力家で、成績は常に学年トップ、運動神経も女子では三本の指に入ってたし、吹奏楽部でもダントツで上手かったってさ。要するに完璧超人?」

「……マジか」さっきと同じ反応しか返せない俺。

「だから、あんたみたいな残念な男が近づいても意味ないってこと。あきらめなよ」小川は一通りしゃべり終わると、ふっと嫌みなため息をつき、お手上げのジェスチャーをした。

「誰が残念だ誰が。自己紹介ん時の俺への女子の視線見たか?」

「いや、全然。ま、顔がいいのは認めるけど、初日からそんな髪で来てるようじゃねえ……」

「うっせ。中学からのポリシーなんだよ。地元じゃ染めた後すげーモテたんだぜ?」

「あっそ。ま、私の趣味じゃないねえ」

「知らねえよ……」謂われのない中傷を受けながら、俺はさっきこいつが話した時の超人ぶりについて、妙な違和感を覚えていた。

「時の話だけどさ」

「何? また玉砕したいって?」話を蒸し返した俺に、冷たい笑みを浴びせる小川。

「ちげーよ。……附属って、県で一番頭いい中学だよな?」

「だねえ。学年の半分以上が黒山寺か白毛行くって聞くし」

「そこでダントツトップだった奴が、何で今日答辞してなかったんだ? すげーちんちくりんな奴がとちりまくりの挨拶してたじゃん」

 あれはどう見ても時霧子じゃなかった。時は女として完璧なプロポーションだし、とちる様子が想像できない。

 俺の疑問に、小川は何故か表情を険しくした。

「……簡単な話だよ。付属のトップよりさらに頭のいい奴が別の中学にいたってだけ」

「それがあのちんちくりん? マジで? 全然そんな感じじゃねーよなー」

「……あと、次その子のことちんちくりんって言ったら、その自慢の髪全部むしり取ってやるから、覚悟しといてね」

「なんだよ、急に」

 小川は、さっきまでの笑いの表情を全部消し、ものすごい形相で俺を睨んでいる。

(意味が分からん。こいつとあのちんちくりんに何の関係があるんだ?)

「ついでに、あの子に手出したら、あんたこの教室にいられなくなるからそのつもりで」

「安心しろ、おこちゃまは趣味じゃねーから」

(むしろ、あんな女としての魅力が何もない奴に、どう反応しろというんだ?)

「おこちゃまって、あんたねえ……」

「……美波ちゃん?」

 小川が俺に食ってかかろうとした瞬間、すぐ横の窓から女の声がした。思わず振り返ると、まさにその「おこちゃま」が窓からこっち側に顔を向けていた。

「あ、小梅……」同じく声に反応し、相手を認識した途端ばつが悪そうな顔をする小川。

「お取り込み中、かな?」小梅と呼ばれた窓越しの「ちんちくりん」は、気まずそうな笑いを浮かべて俺らを見ている。

「あ、ううん、全然。この茶髪に絡まれて困ってただけだから。帰ろっか!」

「おい待て、事実をねじ曲げるな。お前から絡んできたんだろうが」

 完全な濡れ衣を着せられそうになり、思わず俺の繊細なメンタルがはじけ飛びそうになったが、「おこちゃま」とは言え女の前でそれをやるわけにはいかないと思いとどまる。

「小梅ちゃん、だっけ? 大丈夫だよ、単なる世間話だから。美波ちゃんとはお友達?」

「あ、はい、中学の同級生でー……」俺の髪のせいか、戸惑うような表情でぎこちなく答える「小梅」。

「名前で呼ぶな、どっちも」小川から小声で目ざとい突っ込みが入るが、無視。

「そっかー。お邪魔だったね。あ、俺速星瞬。小梅ちゃんの名字聞いてもいい?」

「あ、山並ですー。山並小梅」

「かわいい名前だねー。よろしく。そうだ、この後暇ならお茶でもしない?」

 言った瞬間、臑にとんでもない衝撃と痛みが走った。小川が思いっきり蹴り飛ばしやがったらしい。

「痛ってー! お、お前、ふざけんなよ! 死ぬかと思ったじゃねえか!」

「さっきの忠告、忘れた?」一切の謝罪を拒否するような冷たい表情で淡々と告げる小川。頭に血が上りかけたが、確かにこれは俺の失態だ。どうも、女ならとりあえず誘う習性が身に付いてしまっているらしい。

「……悪い、つい癖で。本気じゃねえから」

「ならよろしい。今後も同じように対応するから、気をつけるように」

「……わかった」趣味じゃない女に声をかけてこの仕打ちは割に合わない。以後気をつけよう……。

「……やっぱりわたし、お邪魔かな?」俺らのやりとりを、微妙な笑顔で見守る山並小梅。

 髪は寝癖だらけだし、童顔で幼児体型だし、やはり女として見るべきところは皆無だ。時霧子とは比べものにならない。そして、とてもこいつが時を凌ぐ頭の持ち主だとは思えない。何というか、オーラがない。

「いやいや、ごめんねえ小梅、こんなしょうもないことで待たせちゃって」小川のいちいち棘のある言い方にも、俺は反応することをやめた。不毛だ。

「じゃあ、また明日。いつか成功するといいねえ」小川はそう言って俺に生暖かい視線を浴びせ、立ち上がると軽く手を挙げて山並小梅の待つ廊下へと歩を進めた。

「うっせ。じゃあ、また明日な」俺も軽く手を挙げてそれに応えると、一応山並小梅に挨拶として笑顔を向けた。山並小梅は軽くお辞儀をした後、小川と並んで下駄箱の方へと消えた。

(疲れた……)

 俺は自席に戻り、椅子に背中を預けて座り込んだ。小川と話していたのは三十分にも満たないはずだが、一週間分のエネルギーを使ってしまったように感じる。

(小川美波……予想以上に食えねえ女だな)

 顔はなかなかだし、声を掛けられた直後は遊びに誘う気満々でいたが、話の途中からそんな気が失せた。

(……あいつにどっか似てるからか?)

 気の強さ、棘のある物言い、異性を感じさせない態度。どことなく、あの鬱陶しい幼なじみを思い起こさせる。

(しかし、面白い状況ではあるな)

 名実ともに完璧超人なお嬢様。だが、そいつを押さえて新入生代表となったオーラのないちんちくりん。その中学からの友人が、完璧超人と同じクラス。

(この状況をどうにか活用すれば、難攻不落なお嬢様の突破口が見えるかもしれねえな……)

 いつの間にか全身を椅子に委ねてぼうっと天井を眺めていると、ふと視線を感じた。周囲を見渡してみると、教室に残っている人間がもうあまりいない中、机三つ分くらい離れた右側の席に大人しそうに座っている女が、さっと顔を逸らすのが分かった。

(「イモ」の一人か……。ま、いっか。どうせ暇だし)

 俺は事務連絡で配られたものを適当に机の中に放り込み、ほとんど何も入っていない鞄を持って、そっぽを向いたままの女の側に近づいた。

わたりさん、だったよね? さっき俺のこと見てたよね?」本気じゃない女でも名前を覚えておくのが、俺の男としての礼儀だ。

「え、えっと、その……」急に声を掛けられて、支離滅裂になっている渡。

「これから暇? よかったら、どっか遊び行かない?」多分、今日三回の中で一番気持ちの入っていない誘いの言葉。

「え? い、いい……んですか?」だが、そんなときほど成功してしまうのが人生だ。

(全く、ままならないもんだな)

「もちろん。嬉しいなあ、俺こっちに知り合いいないから遊ぶ人いないんだよね。よかったら、おすすめの場所とか案内してくれないかな?」

「あ、はい! えっと、そうですね……」ぱっと表情を明るくさせ、検討を始める渡。俺は、それを表面上の笑顔で眺めながら、今後どうしていこうか、ぼんやりと考えていた。

 しんどかったです。

 自分と似たキャラクターばかりでも面白くないと思い、ちょっと悪目の男子を描いてみましたが、想像以上に難しかったです。自分と異なる語彙体系を持った人間を書くのはしんどいですね……。

 読み返してみると、だいぶひどい文章だと感じます……。ただ、早く物語を進めたいので、とりあえず投稿しちゃいます。そのうち直すかもしれません。

 ようやく「吹奏楽部」とか「楽器」とかいう単語が出てきましたが、それらが描写されるのはもうちょっとだけ先になります。作者としても早くその場面に入りたいんですが、なかなかうまくいかないですね。

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