稽古
その後、肉屋と豆腐屋に寄り本日の買い物は終了。智鶴は満足した様子だった。
家に帰ると、冷暗室に今日買ったものをしまう。
肉、野菜、豆腐、味噌。
そして、佐介は部屋を出て行った。最初はついて行く気はなかったのだが、段々気になって、智鶴も佐介の後を追った。
外に出て、少し森の方へ行くと佐介は修業をしていた。
「……」
佐介は、真剣なまなざしで。
数秒後、何かに気付いたように佐介は止った。そして、智鶴の方を向き、
「どうしたの?」
笑いながら、聞いてきた。智鶴は少し恥ずかしがりながら、呟いた。
「やってみたい……」
かねてより武術に興味はあった智鶴は事実やってみたかったのだった。
「……。危ないから、まずは竹刀だけね」
許されると思ってなかったので、鳩が豆鉄砲を食らったような感じだった。
「智鶴、今言ったこと全部使って俺を倒して」
「うん!」
智鶴には元々、剣の才能があったようで教えたら教えただけスイスイと飲み込んでいった。
それは佐介が手を抜いて楽々と勝てなくなる程の物だった。
智鶴は佐介に勝ち、嬉しそうに笑って
「また、稽古をつけてたもれ」
と、言って小屋へと戻っていった。
佐介は竹刀を担ぎ、呆れたようにふうと言う溜め息を漏らすと、智鶴を追うように、小屋に向かった。