出逢い
ある日の夜も、家に襲いかかる者がいた。西の方の巨大勢力の武将の配下の者たちだった。
今日も庭はきっと赤く染まっているのだろうかと、智鶴はもう一度ため息をついた。
その時、ガタっと言う襖が開く音がした。
「な、何者!?」
辺りに明かりはなく、相手の顔は一切見えない状況で、智鶴は怯えていた。
「敵方の忍者……かな?」
月明かりに照らされて、徐々に顔がはっきりと見えてくる。
それは確かに、智鶴の配下の忍ではない。見た事のない色の忍者服を着ている
智鶴と同い年であろう少年が立っていた。
少年の手に握られている短剣を目にした智鶴は少年に駆け寄り、その刀を自分の首元に差し向け叫んだ。
「妾を殺せ!!!」
「な……」
「妾が死ねば、もう皆の者が死なずに済むのじゃ! 殺せ!!」
智鶴の手が段々赤い液体に覆われていく。
「おい、なんで敵方の俺に。そんなこと」
「妾は。自らの力じゃ死ねぬのじゃ……。怖くて、急所を外してしまうのじゃ。そうしたら、妾の能力で、勝手に回復を始めてしまい、結局は死ねぬのじゃ。それならば!」
刀の刃先を少し首へと近づける。
「!」
「他の者に、殺してもらう以外に方法はないのじゃ!!!」
目には大量の涙。苦しい、助けて。そう言っているような感覚に少年は陥った。
「時間がない、早く。妾を……。妾を、殺せーーーーーーー!!!!!」
叫んだ瞬間、短剣を握っていた智鶴の力が強まったらしく、赤い液体が一層多く出てきた。
それを見て、本気でまずいと思った少年は
短剣を無理矢理引き抜き、腰元にあった短剣を入れる場所に仕舞った。
「何故……。妾を殺してはくれぬのじゃ。妾を渡し、多くの報奨金を貰う事の方が、よっぽど良いからか?」
「お姫さん。俺は、生きてたらいいことの一つや二つ。あると思うんだけど」
「言ったであろう。妾の為に多くの者が……」
「そんなに辛いならさ、一緒に逃げちゃおっか。この家から」
「え……?」