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プロローグ

初めまして(=・ω・)ノ作者の乱菊です!

今回の作品が処女作になるのですが、自分が見たいものを殴り書きしているので文が変になってたら、コメントで教えてくれると嬉しいです。

炎の匂いが、鼻の奥にこびりついて離れなかった。


 美濃の山里は、ほんの半日前までいつもと変わらぬ村だった。田を耕し、薪を割り、夜になれば囲炉裏を囲む。そんな当たり前の一日が、戦によって一瞬で終わるとは誰も思っていなかった。


 兵が来たのだ。

 旗印は見えなかった。ただ怒号と蹄の音、そして火だけが村を覆った。


 逃げ惑う人々。

 崩れ落ちる家。

 焼ける藁の匂い。


 幼い神崎恒一は、そのすべてを遠くから眺めていた。いや、正確には——眺めることしかできなかった。


(……ああ、これ戦国時代だ)


 頭の中だけが妙に冷静だった。


 自分が知っている。

 歴史で何度も読んだ、あの時代。


 戦国時代。


 だが、歴史書の紙の上で眺めていた合戦と、目の前で起きているそれとは、あまりにも違っていた。


 熱い。

 怖い。

 そして、どうしようもなく現実だった。


 どれほど走ったのか。

 気がつけば、恒一は山道の途中で倒れていた。


 空は灰色で、煙が流れていた。


「……まだ、生きておるか」


 低い声だった。


 薄く開いた視界の中で、一人の僧の姿が見えた。

 旅装束、擦り切れた笠、そして杖。


 その僧は、倒れている少年を静かに見下ろしていた。


「戦か……まこと、この世のなんと業の深いことよ」


 僧はそう呟くと、少年の脈を図る


「坊主、名は」


 (答えようとして、声が出ない、出せ、声を、出せ!!!!)


 だが僧は小さく頷いた。


「よい。今は話すな」


 僧は少年を背負い上げた。

 見た目よりもずっと力強い腕だった。


「わしは霊山。諸国を歩く、ただの行脚僧よ」


 山道を歩きながら、霊山はぽつりと続けた。


「だが、この乱世ではな……僧も、ただ念仏を唱えるだけでは生きていけぬ」


 少年は半ば意識を失いながら、その言葉を聞いていた。


 それが、神崎恒一の——


 いや、のちに幽山と名乗ることになる男の、長い旅の始まりだった。

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