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夏の空は青く澄んでいる  作者: 不来方椿
夏の始まり
4/16

夏の強い日差しを手で遮りながら外へ出る。

「やっと出てきた。よぉ!元気にしてたか?」

璃来が爽やかな笑顔でこちらへ歩いてくる。

「こっちはいつも通りだよ。理来は元気そうだな。」

「当たり前だ!元気だけが取り柄だからな!」

僕の肩を組みながら紬の方へ行く。

「尊おばあちゃんからまた野菜貰っちゃったよ…」

紬は苦笑いを浮かべる。

「気にしないで。ばあちゃんあげたがりだからさ。」

「嬉しいんだけどいつも何かもらっちゃって悪いよ。」

「ばーやが色々くれるのは昔からだろ??紬は気にし過ぎだって!さぁ、例のところに澪月を連れてこうぜ!」

璃来は肩を組んだまま舗装されていない道を歩き始めた。

例のところまでは夏休みまでにあったことなどを話しながら長い道のりをゆっくりと歩いた。

そして、他とは雰囲気が違う古民家で璃来たちは足を止めた。

「ここだ!」

「澪月が帰ったあとぐらいにできたんだよ。ここの店主さんすごくいい人でさ。学校帰りとかに寄るんだけど澪月の話ししたら会ってみたいって言ってくれてね。」

「理来。どんな話したんだよ…。」

嫌な予感しかしない。

「んー。まぁ、見えることしか言ってない!!」

「でも桜牙(おうが)さんも私達と同じタイプだし心配ないよ。」

同じタイプ?

いやその方が厄介な気がする。

「会ってみれば分かるって!!」

紬がゆっくりと扉を開ける。

家の中は喫茶店のようになっており、落ち着いた雰囲気だ。

「桜牙さん!噂の澪月をつれてきたぜ!」

璃来が言うと草履が床にすれる音と共に暖簾から顔を出す男。

「今日も元気そうだな。それよりも君とははじめましてかな?」

話には聞いているがとこちらを品定めするような視線に居心地が悪い。

金に近い黄色の瞳。

こいつ…。

「気に入った。澪月。暇なときはここに来るといい。お前の助けになってやる。」

桜牙が言うと理来と紬は喜んでいるが。

これに気に入られて嬉しいわけがない。

僕が言おうとしていることがわかるかのように人差し指を口元に当てて静止してくる。

「まぁ、茶でも飲んでけ。澪月は手伝ってくれるか。」

桜牙はまた奥へ姿を消す。

「よかったね!お手伝い頑張って!!」

紬に背中を押されつつ桜牙の後を追う。

「尊から聞いていたとおりだな。見ただけで俺の正体に気づいただろう。」

人ではない。だけどただの妖でもない。

「驚いたか?俺は天狐だからな。神に近い存在になっている。」

「なんでこんなところで人のふりをしている?」

僕が言うと桜牙は大笑いをする。

「あー。俺は人間が好きなんだ。それに昔に忘れた探しものがあってここにいる。」

「探しもの?」

「あぁ。それとな尊とは昔馴染みみたいなもんだ。」

「ばあちゃんも知ってるのか。」

ただの妖ならきっと消されてるだろう。

「ははっ。だから言っただろ俺は天狐だ。人間には負けないさ。」

「変なやつだな。」

今まで出会ったことのない人外。

「まぁ。困ったことがあったらここに来い。お前の助けになってやる。」

「それはありがたいけど対価は?」

狐達は願いを叶えるときは対価を求めるものだ。

「俺らのことをよく知ってるな。んー。俺の探しものを見つけてくれ。たぶん、お前にしか見つけられない。」

僕にしか見つけられないってどういうことだ。

意味がわからない。

「っと。この話はまた今度な。あいつら待たせたらうるさいから、これ持ってくれ。」

桜牙に茶菓子ののったおぼんを渡され、さっきの場所へ戻る。

「やっときた!遅いよー!」

紬は机を拭きながら言う。

「桜牙さんにさ。今日はとっておきの噂持ってきたんだよ!」

「また噂か?またなんかの見間違いじゃないか?」

紬と理来の対面に桜牙と座る。

「これは本当らしいんだよ!」

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