別視点ーpart.花梅佐奈ー
「は〜い今日も配信してくよ〜!」
私はこの界隈では少しばかり人気のある配信者だ。もちろん全くの無名なんかではなく、そこそこの知名度はある。私自身の名前は花梅佐奈。そして配信者としての名前はSANAとして活動している。
大手の企業に所属しているわけでもないから、登録してくれている人数自体は少ないけど来てくれている人たちで仲良くやれていると思う。
どうしてこんなところに私が来ているのかって?
それはお金を稼ぐ必要があるからだ。私にはいろいろな事情があって、今もこれからも沢山のお金が必要になる。だから命を軽く考えているこの職業についたわけだ。
ダンジョンの中で自身に発生した怪我はお金こそ払えば治療こそしてもらえるが、それも高額だ。それに最初に誓約書を書いているため、その誓約書の中に記載されている一文によってダンジョン内で追った損害を訴えることはできないのだ。
もちろん様々なものを用いて証明することができればそれは別の話になるが、そうそううまくいかないのがこの界隈だ。
そしてこの界隈では配信をするという行為は非常に強みになる。
何かあった時にも、視聴者が助けを呼んでくれるしうまく立ち回り続ければダンジョン内での収益と配信で得れる収益で並行してお金を稼ぐことができる。
お金が必要な私にとっては一番簡単に始められて、一番楽に稼げる方法だったというわけだ。
「今日来てるのは〜時を裂く激唱だよ〜比較的簡単な部類のダンジョンだけど、奥の方は結構強いモンスターがいるからね。今日はそこをメインにして戦おうと思うよ!」
コメント欄
・待ってました!
・おっ始まった〜!
・今起きた〜
「今起きた人おはようさん。起きたばかりなのに私の配信を見てても良いの?もうすぐお昼だよ?」
・心配してくれている…だと!?
・まずい!これは罠だ!
・なんだろう…心配するの辞めてもらってもいいっすか?なんだか心がムズムズするんで…
「ちょっと。そんな事言うならもう心配なんてしないからね!」
私はそう言った後、モンスターの気配を感じてすぐに背中の鞘に入っている剣を抜き放った。
「そういえば面白い出来事があったから後で皆にも教えるね。それじゃあちょっとモンスターを先に処理してくるね!」
この階層に入るのはあくまで私一人でも十分に対処可能なモンスターばかりだ。複数体で襲われたって別に問題ない程度の強さでしかない。
この職業についたばかりの頃のように緊張することもなければ、特段大怪我を追ったりすることもない。今では比較的安定して生活できている。
「さぁ〜て…私の雷魔法もくらいな!」
私は雷魔法という威力も派手さも完璧な魔法を持っている。これは他の属性の魔法に比べると、若干燃費が悪いという欠点があるものの、弾速、威力などほぼすべての面で他の属性を上回っているという圧倒的な性能なのだ。
その上、雷属性というのは比較的相性の良い敵が多いので楽に戦えるという印象だ。
私自身もこの魔法にさんざん助けられてきたし、今も助けられている。
手数が足りないときや、単純に回復するために離れる時に牽制として使うなど様々な用途で活用できるのがこの魔法だ。
その上弾速が早いというのも非常に便利で、高機動なモンスターとも十分にやりあえる性能を持っているのが素晴らしい。
「よしっ!掃討完了!ちょっと時間はかかったけど、良い戦闘シーンが取れたんじゃない?」
・最高だった!
・魔法が派手で特に良かった!
・さすが雷魔法の10強に数えられているだけあるね!まぁランク的には一番下って扱いだけど。
「別に私はランクとかそういうのは気にしてないからなぁ…私にとってランクとか、そういうのはそこまで重視してるものじゃないからさ。まぁもちろん高いほうが楽なんだけどね?」
私はそういいつつ小休憩にした。小休憩をしながら思い出しているのは先程のあの出来事だ。
「よし。ここに来るまでに起こった面白いエピソードを紹介するね。このダンジョンの中に入ったばかりのことだったんだけどさ、ダンジョンの中で酒を飲んでねてる人がいたわけ。」
私は先程のことを思い出しつつ、連絡先を交換したことを思い出した。そういえば随分と顔が整っていてかっこいい人だったのを覚えている。連絡を取り合えばまた会えるかもしれない。
・えぇ…(ドン引き)
・犯罪だぁ…
・ワァ…
「そうそう私もそんな感じで引いてたよ。でさ、酔ってたのか私にも絡んできたわけでさ。武器も取り出すわで本当にびっくりしたわ。まぁその後にもう一人冒険者が来てくれて大丈夫だったんだけどさ。」
・そんな出来事があったんか…
・おもしろw
・草w
「草に草を生やすな。さ〜てとこんな話よりも皆はダンジョンを攻略している映像のほうが好みだと思うから、どんどん奥の方に進んでいこうかな。このダンジョンは比較的攻略されきってるけど。」
そうして私は今日も一日配信を行って、合計1万円分くらいののスーパーチャットと沢山のドロップ品を持ってダンジョンを出た。




