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異世界召喚で勇者パーティに入ったら居心地が良すぎる件  作者: 高瀬
第1章 勇者パーティ育成編
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6話 バランスブレイカー誕生

エアナイフがバランスを崩壊させるスキルであることが判明した翌日から、

俺だけ別メニューの授業となって一週間が経った。


別メニューの授業というのは、先生から何かを教えてもらうというよりは、

スキルの調査と研究であった。


まずは、俺のスキルの弱点を調べるところからだった。

ちなみに、魔力も必要ないし、連発も可能である。


そして、壊せない属性があるか、先生が用意したあらゆる属性の硬化物質を

壊せるか試したが、どれも一瞬で粉砕した。


硬いものでなくても、例えば、炎や水でさえ、消し去ることが可能だ。


というか、俺のスキルはよくよく調べると、粉砕というよりも、

実際には、ナイフでえぐった部分が、完全に無くなっているのだ。


まるで異空間に飛ばされたような感じだ。


そして、今度はパワーを調べることになったが、

セピア先生が用意したBランクのシールドも簡単に砕いてしまった。


次に、セピア先生だけではAランクのシールドを作りだすのが難しいということで、

先生が助っ人を連れてきた。


上品な恰好をした女性だ。歳は同じぐらいだろうか。


先生が紹介してくれた。


「スカーレット姫です。」


姫!?この世界のお姫様なのかな!?

やばい、ちゃんとした挨拶とかよくわからないぞ。


「あ、あの、ご機嫌うるわしゅう・・・」


「ふふっ。気にしないで。普通の話し方で大丈夫ですよ。」


スカーレットという姫は、とてもざっくばらんな人だった。

ご機嫌でニコニコしている。


金髪で肩より少し長い髪の毛で、毛先の方は、

ゆるふわのパーマをかけているようなヘアスタイルだ。


そしてカワイイ・・・いや、いかんいかん。

一国の姫様だ。


心を引き締めていこう。俺は姫様の可愛さに照れた。


「スカーレット姫がAランクのシールドを作るお手伝いをしてくださるのですか?」


「いえ、私が一人でAランクのシールドを作ります。」


「先生より強いシールドを作れるんですか!?」


セピア先生が間に入って説明してくれた。


「姫は、幼い頃より、私が指導させて頂いた特別なお人です。」


姫が続ける。


「私はね、シールドやバリアしか作ることができないんですよ。」


「この王国を守りたくて、この王国が小さい時から大好きで、先生に頼んで練習してきました。」


「今では王国を包み込む半径5キロ以内のバリアをはることもできますよ。」


すごい。めちゃくちゃ可憐なお姫様なのにそんな力があるのか。

それに自分の国が好きで、その国を守りたいからっていう動機がいいよね。


「王国包む広範囲なバリアは強度がBランクなんですけど、それを圧縮することでAランクにできます。」


「圧縮も一人でできるんですけど時間がかかるので、そこは先生に手伝ってもらいます。」


そこまで話したところで、さっそく試そうという流れになった。


スカーレット姫が、大きく手を広げて空にかざした。

集中して、詠唱を始める。


空に薄い膜が張られていく。すごい速さだ。

いままでしっかり鍛錬してきたのだろう。


そして、その膜は徐々に強化されていく。


今度は、その大きな広範囲バリアを中心にいるスカーレット姫に向かって、

範囲を縮めていく。圧縮だ。


セピア先生がなにやら詠唱を始める。

すごい力で半径5キロはあった広範囲バリアが、半径50メートルぐらいまで縮まってきた。


そして、気づけば、スカーレット姫とセピア先生の周り、半径3メートルのバリアになった。


「さあ、ヒロ、出番です。いまバリア強度はAランクに達しました。」


おれは唾液を飲みこんだ。緊張している。


Bランクのシールドも神々しく強そうだったが、Aランクのシールドは比にならない。

近くに立っているだけでビリビリ何かを感じる。


しかし、ここは試さねばならない。


俺は右手をバリアにかざして静かにエアナイフを発動させた。


バリアは一瞬にして解かれたのであった。


気づくと、姫が頭を押さえている?なんだか痛そうだ。

しかし、少しすると、持ち直したみたいだ。


バリアの圧縮で無理をしたのかもしれない。心配だ。


姫は自分の手元を見る。


「嘘・・・」


スカーレット姫が硬直した。


しかし、次の瞬間、晴れやかな笑顔に戻った。


「すごい、ヒロ!あ、ヒロさん、すごいです!!!」


興奮して、呼び捨てになったようだ。姫様なんだから、俺なんか呼び捨てでいいのだが。


「これはね、希望なんですよ!今までAランクを破壊するパワーを見に付けた勇者パーティはいなかったんです。」


「魔王軍にもそんなパワーを持つ人がいるのか分からないぐらいです。」


「私達、王国がヒロさんというユニークな存在を手にしました!」


「これ何を意味するか分かっていますか!?魔王軍との戦いを終わらせられるかもしれないんですよ!」


「そしたら、王国を守れるんです、未来永劫。」


スカーレット姫は少し涙ぐんでいた。


「私は奇跡の出会いに感謝しています。」


なんだか、すごい展開になってきた・・・


セピア先生は冷静に状況を分析していた。


「ヒロのエアナイフはナイフでえぐるように、その空間にあったものを確実に完全に無くす能力です。」


「いうなれば、"確定消滅"でしょうか。」


「ひとつ、弱点があるとすれば、近づく必要があるということと、あくまで15センチ程度ほどの奥行しか効果範囲がないことです。」


「私がヒロと戦うとしたら、あなたに絶対に近づきません。遠くから消し去りますね~」


「先生、ちょっと・・・怖いですっ」


「あ、もちろん冗談ですけどね(笑)」


「ただ、あなたはそれだけの脅威となる力をもっているということです、バランスブレイカーの誕生です。」


こうして、おれのスキルの探求はその後も続き、個別メニューでの授業になってから、一か月が過ぎたのだった。


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