2話 勇者パーティ結成
なんだか、周りで声がする・・
ここは一体どこだろう・・
「お、5人目が来たようだね。」
そんな声が聞こえて、俺の意識は覚醒した。
確か車にひかれて・・
死んだのか!?おれ。
じゃ、ここはどこだ・・?
徐々に視界がはっきりしてきたが、目の前に広がる光景はゲームでよく見る
王への謁見の間だった。
「はじめまして、シナモンと言います。」
まだ頭がぼうっとしている俺に話かける青年がいる。
俺を見ながらそう言った彼は、床に伏せっていた俺に手を差し出し、
立ち上がれるよう手伝ってくれた。
爽やかな笑顔を俺に向けてくる彼は、見た目がどう見ても勇者である。
さらさらした銀髪が似合い、なんというかオーラがある。
シナモンと名乗った青年の周りには、彼と同様に高校生か大学生ぐらいの
男の子が1人、女の子が2人いた。
俺が周りを観察していると、威厳のある声が部屋の奥から聞こえてきた。
「我はこの世界の王である。よくぞ集まった勇者パーティよ。」
どういうことだ。
高校生ぐらいの彼ら4人が勇者パーティなのか?
「君たち5人が魔王軍を討ち果たす者だ、しっかり頼むぞ。」
5人?俺が入っているのか。
徐々にだが、うっすらと思い出した。車にひかれたあと、
勇者パーティに召喚するとかなんとか、謎の声が言っていた気がする。
俺以外の4人は来たるべき運命を受け入れたように、
落ち着いたのものだ。
それにしてもここは本当に一体どこなんだろうか。
これは現実なのか・・
でも意識ははっきりしている。
「では、召喚ギフトの確認をしよう。」
王がそう言うと、王の従者がすぐにこたえる。
「仰せのままに!」
謁見の間に豪華で大きな鏡がすぐさま運ばれる。
「さあ、皆のスキルに期待しておるぞ!」
「各々、鏡の前に立ち、王の前で名前と自ら得たギフトをお見せするように!」
1人1人、順番に鏡の前に向かう。
「シナモンと言います。僕のスキルは・・・」
黒髪のサラサラした頭髪を持つ彼がそう言いかけた時、
鏡に何かの映像が映り込んだ。
シナモンが治癒魔法を使っている姿だ。
「ほう、勇者に治癒魔法か。うむ、いいだろう。」
王が満足気だ。
シナモンも嬉しそうだ。爽やかで優しい顔をする青年だ。
確かに治癒魔法が似合っている。
そして、次々に自己紹介とスキルの紹介が行われた。
2人目は、トパーズと名乗る男の子だ。
茶色の髪が焼けた肌によく似合う。堂々とした仕草で鏡の前に向かう。
自分にどのようなスキルがあるのか、興味津々の様子だ。
そんな彼には、モンクの装いに合ったスキル、身体超硬化が鏡に映り込んだ。
体がダイヤモンドのようにカッチカチになるみたいだ。
映像では彼に切り込んだ剣が砕けていた。
本人も満足気で、強そうなスキルだ。
3人目は、リリーと名乗る女の子だ。
黒髪のストレートロングがよく似合う美少女だ。
彼女は丁寧な所作で静かに鏡の前に向かうと、王様へお辞儀を行い、
召喚されたメンバーの方を見ると軽く会釈をした。美少女の会釈は破壊的に美しい。
そんな美少女に目を奪われていると、あたりからどよめきが。
なんと彼女のスキルは、時空魔法だ。
どんな魔法が使えるのか、気になる存在だ。
4人目は、アンバーと名乗る女の子だ。
白髪のセミロングが似合っている。リリーとタイプは違うが、
かわいい女の子だ。
あ、なんか目が合ったが、アンバーはこちらに気づくとムスッと怒っている。
なぜだろう・・・
そんな彼女のスキルは、魔法銃である。
こちらも気になるスキルである。
王様もこれらの結果に大満足している。
そして、俺の番だ。
そういえば、名前をどうしよう。
俺の名前は31年間、田中弘だったが、
これを名乗るのも、ここの雰囲気と合っていない気もする。
「ヒロです。」
とかなり省略して俺は名乗った。
そして鏡を見て俺は焦った。
俺も高校生か大学生ぐらいのような年齢の冒険者の姿だったからだ。
若返った!?
見た目は俺のままだが。昔の俺そのものだ。
そう思っていた時だった。
「まぁ、ないよりは・・・いいだろう。」
王がそう言った。
俺はハッとした。俺のスキルが鏡に映っているのだろう。
ないよりはいいだろうってどういうことだ。
慌てて鏡を見た。
俺のスキルは、俺が手で触れたものに、ナイフで刺したような傷跡が残っていた。
王の従者が顔をしかめつつ、言った。
「これはナイフを持っていなくてもナイフが使える、というスキルですかな・・」
「まぁ、これも何かの役に立てばよい。」
王様がフォローしてくれた?
俺のスキルってそんなしょぼいのか・・
エアナイフ的なやつ・・・
治癒魔法、身体超硬化、時空魔法、魔法銃ときて、エアナイフ・・・
俺がしょげているのを悟ってか、シナモンが俺の肩をポンポンと、
励ますように手を置いてくれた。
「君たち5人で魔王討伐に向かってもらう。」
王の従者が最後にそう言って場をしめた。
どうやら俺は本当に勇者パーティに召喚されたらしい。
名前:ヒロ(前世:田中弘)
種族:ヒューマン
性別:男
称号:なし
スキル:エアナイフ
ステータスランク:未判明
名前:シナモン
種族:ヒューマン
性別:男
称号:勇者
スキル:回復魔法
ステータスランク:未判明
名称:トパーズ
種族:ヒューマン
性別:男
称号:武闘家
スキル:身体超硬化(物理特化)
ステータスランク:未判明
名称:リリー
種族:ヒューマン
性別:女
称号:時空魔法使い
スキル:時空魔法
ステータスランク:未判明
名称:アンバー
種族:ヒューマン
性別:女
称号:魔法銃士
スキル:魔法銃
ステータスランク:未判明