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異世界召喚で勇者パーティに入ったら居心地が良すぎる件  作者: 高瀬
第1章 勇者パーティ育成編
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1話 プロローグ ~異世界召喚~

今日も仕事が山積みだ。昨日は徹夜だった。


そんな繁忙状態の中、上司が新しい仕事を後輩のところに持ってきた。

後輩の山田もスケジュールがいっぱいだ。


確か今日は一か月ぶりに彼女とデートの日じゃなかったかな。

だが、責任感のある山田は上司からの仕事を断れなかったようだ。


山田に替わって他に仕事を引き受けてくれるような

人間関係ができている会社ではなかった。


安月給で低スキル、安さが売りのブラック会社だ。

皆、自分のことで精いっぱいで、他人を守る余裕もない。


山田は俺の後輩で、俺を慕っており、俺が会社で唯一心を許せる存在だ。


「山田、それ、俺がやっとくよ。」


俺がそういうと山田は少し表情が明るくなった。


「え!?先輩いいんですか!あ・・でもやっぱり悪いですよ・・・」


「どうせ、今日は予定もないから。」


山田は少し考えてから言った。


「先輩、マジ感謝っす!!!お礼はまたしますから!」


俺は、実家暮らしの31歳。

両親との関係はあまり良くなく、仕事の忙しさから友人とも疎遠であった。


そんな俺の唯一の楽しみはオンラインゲームでの冒険だった。


今日はそんなオンラインゲームのイベントの日だった気がするが、

山田には普段から世話にもなってるからな。


こうして、俺は今日も残業することになった。

まずは、晩飯でもコンビニに買いにいってくるかな。


会社のすぐ近くにコンビニはある。すぐそこの信号を渡って・・・


そのときだった。


親子連れが歩いている。

足どりのおぼつかない2歳ぐらいの女の子、風船を持った幼稚園の制服を着た男の子、

その2人と手をつなぐお母さんの3人だ。


次の瞬間、女の子がこけて、お母さんが女の子の方に気を取られたとき、

男の子が風船をうっかり離してしまい、お母さんの手を離して風船を取りに走りだした。


風船は車が行き交う赤信号の横断歩道の方へふわふわと飛んでいく。


(あぶない!!!)


そう思った俺は、咄嗟に男の子の方に駆けつけて、手を目いっぱい伸ばした。

なんとか男の子の背中らへんの服をつかんで思いっきりひっぱった。


(間に合ってくれ!)


車にひかれるギリギリのところを助けることができた。


順調なのはそこまでだった。

次の瞬間、男の子を歩道に引っ張り戻した反動で、俺の体が車の前に・・・


激しい衝撃のあと、すべての音が遠ざかり、かすかな意識の中、

最後に視界に入ったのは、親子連れの3人が心配そうに俺の方を見る姿だった。


子供は助かったのか・・・よかった。


その光景を最後に視界も闇に消えた。

絶対に死ぬと予感がした。


残業が終わったら、オンラインゲームで冒険する予定だったんだが、

そんな状況ではなくなってしまった。


というか、こんなときまで思い出すことは、

オンラインゲームのことだけなのか・・・


俺の人生、果たして満ち足りたときはあっただろうか。

そう、高校時代、少し気になった女の子と良い感じになった気もするが、

その後発展することもなく、自然消滅になったんだっけ・・


キラキラした時を過ごしてみたかった。


----勇者パーティへの召喚がありますが、受けますか?----


頭に訳の分からない声が聞こえてきた。

オンラインゲームのことなんて考えてたからか・・


冒険はしたいな・・・

だけど、もうゲームはできないだろう、なぜならこのまま死んでしまうんだから。


----召喚に応える意思を承認しました----


承認・・?


----召喚を受けてくれたお礼にギフトを授けます----


----何か要望はありますか----


ゲームへの要望・・・?

そうだな、どんな敵でもやっつけられるような

最強の必殺技とか欲しいかな・・


そんなチートを授かって生まれてみたいもんだ。


好きなものを買ってもらった覚えはない。

両親の教育は厳しかったし、寄り添ってもらった記憶もない。


働き始めてからはブラック会社で安月給だ。


ふふ、どうかしているな・・

死にそうな時に、おれは一体何を言っているんだろう・・


----望みが叶うよう努力します----


ん?いまなんか聞こえたような。

もう意識がなくなりそうだ。


そして俺の意識は完全に途絶えたのだった。







名前:田中弘(男31歳)

種族:ヒューマン

スキル:なし

ステータスランク:なし

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