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習作  作者: Neetiaroom
2/3

2(ステータスオープンをして驚かれる)

F級冒険者のプラネです。

私は現在、最大のピンチに立たされています。


初心者平原のヌシ、レッドドラゴンが襲いかかってきたからです。

何も変わらない日常のはずでした。

いつもの薬草採取の依頼を受けて今日はもう帰ろうかなと思ったところ、レッドドラゴンの尻尾を踏んでしまったのです。お母さん、プラネは親不孝者でした。レッドドラゴンの大きな口が開き、今にも齧られそうになったところ、視界に高速で頭突きがフレーム・インしてきました。男の人が助けにきてくれたのです。助かるかもしれない! 私はレッドドラゴンに鑑定スキルを発動して、彼にその情報を説明しました。

「3800年生きてるのに討伐記録があるんですか?」

あれ!? 本当だ!! よく考えてみたらおかしい!!!

ドラゴンは1匹1匹が固有種だから討伐したらそれで終わりのはずなのに。もう一度鑑定スキルを使ってみると、「逆鱗が弱点だが討伐できるかはわからない(テヘ)」に変わっていました。鑑定結果が変わってしまうなんて初めての事でした。私が言葉を失っていると、男の人はレッドドラゴンに向かって頭を抱えていました。

え、まさか、ドラゴンに求愛のポーズをしている!?

ドラゴンの100年は人間の1年にあたり、1500歳を迎えたころに人間の眷属を求め始めます。ドラゴンにその可能性を認められた人間がドラゴンの求愛を受けその加護を得るのですが…初心者平原のヌシのレッドドラゴンは3800歳の超大物です。並の人間ではドラゴンに認められるわけがありません。きっとこの人はレッドドラゴンの怒りを買って、齧られてしまうに違いありません! レッドドラゴンの大きな咆哮が辺りに響きます。


【な、なんでよ! 人間の求愛を受けようと誰でも訪れやすいように1500歳で初心者平原にやって来てヌシになって早2300年……やっと来たチャンスがよりにもよってこんな、こんなキモい男だなんて!!】

ドラゴンは竜言語を用いるので、ドラゴンの加護を得た人間以外には何を言っているのか知る事はできません。一説には竜言語を理解するスキルもあるらしいですが……レッドドラゴンは身をくねらせて怒りに震えているようです。やはり、彼はレッドドラゴンにぱくりと齧られてしまうのです!


「ちょっと待った。こんなゴブリンしかいないような平原に来る奴なんて初心者しかいないに決まっているだろう。ドラゴンに挑む奴なんているわけないじゃないか。そんな状況であんた3800年も……」


あれ? 男の人がレッドドラゴンに何かを語り掛けています。まさか竜言語が話せる…?


【うるさいわね! じゃあアンタはなんで求愛してんのよ!】

「レッドドラゴンさんから求愛して欲しそうな圧を感じたので……」

【そうよ! もうあとがないのよ! このまま200年経ってしまったら4000歳の大台に乗ってしまうわ! ただでさえ友達も後輩も次々に眷属を捕まえているっていうのに!】

「200年って相当長いと思うんですが。」

【ドラゴンにとっての200年はあっという間なのよ……】

何を喋っているのかは全くわかりませんが、男の人とレッドドラゴンの竜言語による会話が続き、やがてレッドドラゴンは帰っていきました。

男の人はがっくりとうなだれています。

ハッいけない。命を助けて貰ったのですからこの人にお礼をしなければ。


『あの…助けて頂いてありがとうございました。私はプラネ、E級冒険者をしています。』

男の人は振り返って、あ、そういやこの人いたんだっけ、というような顔をしました。ショックです。

「ご丁寧にどうも、俺は……えーと、そうだな、ヨシュアと言います。プラネさんはケガはありませんか。」

『この通り平気です。ヨシュアさんは竜言語を話せるのですか? レッドドラゴンと何かを話していたような』

「えっ? あー、そうか。ここではそういう感じなんですね。えーとですね、ドラゴンとお見合いをしてフラれました。ご趣味と年収と家柄がご希望に沿わなかったらしいです。3800年も待ったのだから最低でも白馬に乗った王子様クラスでもないと釣り合いがとれないそうで。」

『あはは、何ですかそれ。ステータスオープンでもしたのですか?』

「いや、してませんね。ステータスにそういうのが書いてあるんですか?」

『そうですね。ステータスオープンと唱えると名前と職業が。フルオープンと唱えると加えてスキルなんかが表示されますよ。』

ヨシュアさんがなるほどと頷いてステータスフルオープンと唱えました。人前でフルオープンする人を始めてみました。


====

名前:ヨシュア=フォン=HIPHOP

家柄:HIHOP家三男

職業:木こり

年収:なし

HP:89/89 MP86/86 攻撃力0 防御力5

装備:ぬののふく

スキル:キコリストライク、頭突き、

呪い:リウマチ、ヘルニア、キルリアレルギー、ガニアレルギー、ハウスダストアレルギー、猫アレルギー、犬アレルギー、鳥アレルギー、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、皮膚病、尿崩症、うつ病、自律神経失調症、不眠症、強迫性障害、自閉症、コミュ障、ネット依存症、次郎ラーメン依存症、割引シールに目移りしやすい、隣のサイズの違う商品を間違って買いやすい、自己嫌悪に陥りやすい、物事をネガティブに捉えやすい、

加護:レッドドラゴン

====


「うっわ。俺貴族だったのか。これ転生ものじゃなくて憑依転生ものなのか!?」

呑気に構えていますが、この人、大変な事になっています!

呪いが! 呪いが多すぎる!!

それも、聞いた事のない呪いばかり。きっとネームドの大物と戦ったに違いありません。一体、どれだけの魔物と戦ったらこんなに呪われるのでしょうか……。

私は頭を抱えました。

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