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余命半年の彼と死神の女の子の恋愛物語
プロローグ
白いチューリップ。
病院の花壇のすみっこで、たった一輪だけ咲いていた。
赤、黄色、ピンク、オレンジ、、、、。
周りでは鮮やかなチューリップたちが幸せそうに肩を並べていた。
白いチューリップは一輪だけ。
風が吹く。
なんでだろう、今日は少し、寒い。
まだ冷たさの残る春風がチューリップの花びらを散らした。
そのままふわりと花びらを持ち上げ、空に舞う。
空の高いところでも、雲が風に流されている。
白いチューリップの花びらが一枚、風にのってふわふわ飛んでいった。
――――どこへ行くのだろう。
誘われるように花びらを追いかける。
すぅっと、花びらはとある部屋の窓へと吸い込まれた。
ちらりと覗いた部屋には美しく、儚げな少年が眠っていた。
その少年と目があった。私は驚きが隠せないのである。
「私が、、、見えるの?」