人を愛さない彼女が愛したもの
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
純文学寄りの恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
告白してから今に至るまで、彼女からの偏愛を感じた事は一度もない。何をするのも何処か受け身で、精神的に何かされるのを待っている様なところがある。
そうして思ったのは、この人は本質的に人を愛すことが出来ないということだった。その事を伝えると、当たり前に傷付いた目をして、頬を撫でられた。
「ごめんね。でも……これでも必死に愛して来たんだよ」
それから一呼吸置いて、両手で私の手を包み込む。
「今日、うちにおいで」
基本的に何かをされると裏に何かあるのではないかと勘ぐってしまう。人からの好意を素直に受け止める事が出来ない。それは頂点まで持ち上げられて、地面に叩き落とされた過去が少なからずあるからだと思う。だから人に期待なんかしないし、直ぐに愛想を尽かされると思ってる。
それでも、愛そうと思ったのだ、人間の事を。愛してくれた人に愛情で返せるように。そうやって意識し始めたら、人ではなく、人の断片を偏愛する様になった。
目、唇、髪、指、腹、匂い。人自身を愛すことが出来なくて、決して裏切る事の無いものに酷く興奮を覚えるようになった。
そうしてかれから失望混じりに本質を突き付けられた後、彼を私の家に招いて事に及んだ。ゆっくりとベッドに押し倒し、優しく体に触れる。
「君の目が好き、君の唇が好き、君の髪が好き、君の指先が好き、君の腹が好き」
瞼に、口に、髪に、指に、腹に触れて、最終的に上にのしかかって匂いを嗅ぐ。この愛だけは決して嘘では無い。今言った全てが大好きだったし、愛してる。
すると彼はそっと私の唇に触れて、悲しむ様にただぽつりと言った。
「それでも、私自身を愛してくれてる訳じゃない。あくまで部分的なものに興奮を覚えているだけ。他に好みな部位の人が居たら、其方に靡くのだろう?」
あまりにも手酷い指摘に、唇を撫でていた親指に歯を立てる。軽く食んで、それから舌先で爪と肉の間をなぞる。彼の指は細くて、女の様だった。男装をした女性なのかと最初は思った程だった。
「分かんない……分かんないよ……」
それから暫く一つになって、好きな部位をただひたすらに愛でた。彼の匂いに包まりながらの行為は、思っていた以上に満ち足りた時間だった。
「虚しいね……とっても。でもこの虚しさの虜になっているんだろうね」
誰も愛せない。
どうしても愛そうとしたら、人の部分を愛してしまった話。
人間不信なので、嘘を付かない部分が好きなのだと思います。
そんな誰も愛せない彼女に恋しているのは、当の本人も虚しさに恋をしているからだと思います。
自分を愛せない人は、誰も愛すことが出来ない。
というのは道理なのですが。勿論例外もあります。
空いた穴を誰かに埋めてもらおうとしなければ大丈夫です。
吹っ切れてれば良いんです。
この手札で生きてくしかないんだって。
書きたいことは粗方書いたので、話すことが何も無い( 'ω')
髪フェチを自覚したのが中学の時。
目と口に色気がある事に気が付いたのは、覚えてません。
あ、嘘です。とあるイラストでした。はい。
匂いに興味を持ったのは、きちんときっかけがあります。
自覚したのは随分と後ですが。