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第6話「僕は魔法使い」

 ステータス表示!

 そう念じると、以下の情報が頭に流れ込んだ。




 名前 ウォーレン・エニウェア



 パラメーター


 年齢15歳

 体力110

 魔力50

 魅力70

 権力180

 知力100

 財力173



 スキル


 日本語、公用語、算術 一般常識、死への忌避、怒る、恥じる、怖がる、鑑定、天運、転速剣、地聖の体捌き、視神経強化、血管強化、内功、話術、再生、内臓強化、金雁軽身功、人心掌握50、魔力耐性、妖精の恋人



 その他


 転生場所 エニウェア侯爵領

 仲間 エニウェア侯爵家家臣団、プライベートピクシー(香山美咲)

 ペット 番犬、精霊獣、飼い馬

 奴隷 エニウェア侯爵家召使い

 種族 紅眼族純血

 人格固定 50%

 家族構成 エニウェア侯爵家一族

 容姿固定 なし

 汎用世界言語 会話のみ

 汎用竜言語 なし


 


 ステータス設定を忘れていないか不安だったが、どうやら杞憂らしい。

 用意したメモ帳は無駄になった。

 嬉しい悲鳴だ。

 というか、取ったこと自体を忘れていたスキルがけっこうある。

 あぶなかった。

 ステータス表示機能がなければどうなっていたことやら。


 そういえば、このステータス情報はこの世界一般の人間でも見れるのだろうか?


 ウォーレンに問いただしたところ、否との答えがあった。

 この世界にステータスという概念は存在しない。

 スキルもない。

 魔法はあるらしい。

 ウォーレンは魔法が使える。

 僕には使い方がわからないのだが。

 簡単なので、すぐに誰でもできるようになるという話だ。


 魔法というと敵軍を炎で包んでせん滅する、というようなイメージがある。

 が、どうもこの世界の魔法はそういうものではないらしい。

 肉体強化。

 体重強化。

 防御壁など。

 つきつめれば物理で殴るための補助装置という位置づけだ。


 体重を強化して何か意味があるのか、と思ったが、戦闘では大きな意味がある。

 重ければ強い。

 体重50キロの男に殴られても怪我で済む。

 体重500キロの男に殴られたら死ぬ。

 その拳の重さに是非はない。


 試しに重力魔法とやらを使ってみる。

 体が重くなった。

 ベッドがギシギシ悲鳴をあげている。

 不安だ。

 オナニーしていると思われないだろうか。

 いやまあ、ウォーレンは屋敷の女全員と性交経験があるような男である。

 誰も気にしない、というのは、理屈ではわかるのだが。


 ともあれ、魔力の使い方はわかった。

 本当に簡単だ。

 呼吸をするような本能レベルの行動ということか。

 防御魔法や肉体強化魔法なども試してみる。

 これもできた。

 イメージ通りに発動しているのがわかる。


 すごく簡単だ。

 というか、ウォーレンは常に肉体強化魔法を使って生活していたらしい。

 どおりで。

 普通に動けるわけだ。

 つーか、先に言えよ!

 さっきまでの苦労はなんだったのだ。


 憤りを感じて問い詰めた僕だったが、ウォーレンの答えを聞いて納得した。

 なんでも魔力を使い続けると太るらしい。

 太る、というと語弊がある。

 魔力汚染された脂肪がどんどん体にたまり続け、その結果として太るのだ。


 排出されなくなった汚染脂質は血管に沈殿する。

 そして血管が詰まる。

 最終的には死ぬ。

 ゆえに、人はほんらい、できるだけ魔力を使わずに生活するほうがいいらしい。

 

 魔力が大きい貴族の死因はほとんどが血管病。

 つまり脳梗塞や心筋梗塞だそうだ。

 毒や細菌にはめっぽう強いが、汚染脂質にはきわめて弱い。

 それが貴族というもの。

 貴族は魔力が人よりも強く、ウォーレンはその中でもさらに強いらしい。

 子供のころは英雄の卵と呼ばれていたそうだ。


 かつての英雄が。

 今はただの人。

 いや、ただのブタか。


 好き放題使っていたせいだ。

 魔力にどの程度耐えられるかは人ごとに決まっている。

 ウォーレンはあまり耐性が強くない。

 彼は太った。

 その事実を知った。

 魔力耐性の値が人よりも低いことに、太るまで気付けなかった。


 人によってはどれだけ魔力を使っても平然としている怪物もいるそうだ。

 ウォーレンはそれを目指した。

 英雄になりたかったのだろう。

 彼なりに努力したのだ。

 英雄はいい。

 男なら誰でも英雄にあこがれる。

 ウォーレンは魔力耐性があると自分にいいきかせた。

 魔力を使いまくった。

 人一倍訓練をした。

 必死だった。


 結果がこのざまだ。

 150キロの巨体。

 英雄どころか、誰もが笑うブタ男の完成だ。

 ぶひぶひと鳴くがいい。

 きっと似合う。

 そのような陰口に傷ついたウォーレンは女と美食に走った。

 完全に堕落した。

 ぶひぶひと泣きながら女を泣かせるダメ男が完成した。


 人に歴史あり、というやつだ。

 身の丈に合わない服を着たせいで、首をくくる結末を迎える。

 よくある話だ。

 つーか、親とかちゃんと止めろよ。

 殴れ。

 殴れ殴れ殴れ。

 あのタイミングでしつけなくてどこでしつけるというのだ。


 まあ、それはいい。

 子育ては難しいものだ。

 殴られたせいで堕落した、なんて言い訳を与えるよりはいい。

 そういう意見もある。

 生活習慣は他のなによりも重要だから、僕は絶対に許さないが。


 そういえば、魔力耐性。

 あの初期ポイントを100も消費した燃費の悪いスキル。

 あれは魔力汚染の問題を解決するためのスキルではないだろうか。


 詳細説明を見てみる。



 スキル 魔力耐性


 詳細説明

 魔力を100底上げします

 魔力による肉体の劣化を防ぎます

 攻撃魔法を軽減します

 効果は永続します

 発動すると失われます


 発動しますか?

 →はい



 今度は迷わなかった。

 太っている現状を改善することのできるスキルだ。

 何よりも優先して取りたい。


 魔力耐性が発動した。

 何か変わったか?

 体感的には何の変化もない。

 試しに重力魔法を使ってみる。

 何も変わらない。

 ベッドがきしむ音がする。

 普通に発動しただけだ。

 

 ウォーレンの判断もそれと同じらしい。

 魔力が100増えたとのことだが。

 自覚症状はゼロだ。

 効果は目には見えないのかもしれない。

 魔力汚染は少しずつ緩慢に進む。

 人はそれには気付けない。


 あるいは、魔力を全開にしてみるか?

 そうすれば違いがわかるだろう。

 しかし。

 屋敷でそんなことをすれば目立つ。

 ただでさえ僕は魔力が人よりも強いのだ。

 間違いなく屋敷の住民が様子を見に来てしまう。

 それはうっとうしい。

 僕はまだ、他のスキルの確認を終えていない。


 あとだ、あと。

 次に行こう。

 優先順位としてはやせるのがまず第一。

 気になるスキルとしては……血管強化、内功、再生、内臓強化あたりか。

 このあたりは健康に関わるはず。


 詳細を見てみよう。

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