プロローグ
奏〜Kanade〜に登場する朝倉陽乃の弟・夏樹の初恋物語。奏〜Kanade〜にも少し触れられている夏樹の初恋にして悲恋を、少しでも描ければと思います。
机から、そっと、一枚の手紙を出す。
岡本 明日香様 2004年4月22日
こんにちは☆
すっかり東京は春めいてきました。桜前線はまだ上がってきてないけど、このあいだ、蟻が庭を歩いているのを見ました。
秋田は……どうですか?
今日の天気予報ではまだ雪ダルママークが東北地方には並んでいたよ。
もうすぐ、中学校の入学式です。明日香も入学式、9日だって言ってたね。俺と一緒♪ それだけで、なんだか嬉しいです(笑)
本当言うと、明日香と一緒の中学に入りたかった。でも、俺の病気も一段落したしね。一段落したら、戻るって父さんと約束してた。
明日香も早く、病気治してこの街に……七海に戻ってきてください。
明日香と一緒の学校に通える日を、楽しみに待っています。
朝倉 夏樹
この手紙を……。
君は、最後に抱いてくれたんだって聞いた。
俺は……何度もこの手紙を読み返す。
君が、しっかりと握ったが故にクシャクシャになった、この手紙を。
あれから5年。
俺の周りは、変わったよ。
でも、大事なものを見つけることができた。
一歩、踏み出そうと思う。
そのために、整理するべきことを、整理していこうと思う。
さぁ。
歩むべき時が、来たんだ。
共に、行こう。




