赤い糸
大変短い作品です。
おヒマな時にでもどうぞ。
ある時から、私には赤い糸が見えるようになっていた。その赤い糸は意識すると見えるようで、普段は特に気に留めずにいた。
ある時その赤い糸は自分の中指にも結ばれていることに気がついた。自分の赤い糸は一体どこの誰に繋がっているのだろうと思い、ある日その糸をたどってみたが、結局のところその日に見つけることはできなかった。
それからというもののしばらく気にせず過ごし都内の大学へ進学し大学生活をしていると、昔の赤い糸のことを思い出した。
もしかしたらこの赤い糸の先はこの都内にならあるかもしれないと思い、ある日の休日に最近買ったばかりの自転車に乗りたどってみることにした。
すると、案外すぐ近くのカフェで働いている男性の店員につながってることがわかった。その時は少し浮かれた気持ちになった。顔は良い方だし雰囲気からしてもよさそうだった。
せっかく来たのだからということでその店に入るとさっきの店員の男性が対応してくれた。
それから、その店に度々訪れるようになった。
そのおかげなのか、その人ともよく話すようになり、友達?というようなところまで発展した。きっとこんな風に過ごしていくうちに恋人同士になるんだろうな。なんて、その時は考えていた。
しかし、ある時からその人はお店に来なくなっていた。そこの店長さん?らしき人に話を聞いてみると、急に連絡がつかなくなって無断欠勤が続いているのだという。どうしたのだろうかと思い、ふと赤い糸のことを思いだした。
この赤い糸をたどっていけば彼に会えるのではないか。そう考えた私は、自転車を走らせた。しかし行けども行けども、彼には会えなかった。
きっと彼には何か特別な事情があるのだと思った。
それからしばらくして、私は大学の友人とドライブに出かけた。しばらく走っていると、とある山中の中で急に車のナビの様子がおかしいことに気づいた友人が一度車を止めた。友人が言うには、目的地とは違うところで案内を止めてしまったと言う。
私はそんなこともあるもんなんだななんて、軽い気持ちでいると友達がナビを見ている間、友達の赤い糸はどこに繋がっているのか気になった。
そこで見てみると、その赤い糸は私と繋がっていた。
一瞬わけがわからなかったがよく見るとその赤い糸はただ繋がってるわけではなくまるで一本の糸が先端で二つに分かれているように結ばれている。
つまり、他にも繋がってる先があるのだ。
私と友人との二つの赤い糸が交わったその先に繋がっているのがどこなのか、とても不安になった。
しかし確かめずにはいられなかった。
一度車を降りた私はその糸の先を見るととてつもない恐怖に襲われた。
糸の先が地面に埋まっている。
私はいてもたってもいられず、素手でその地面を掘り起こした。頭の中ではそ んなことがあるはずないと思いつつも必死で掘り起こした。
そして、私の予想は最悪の結果で的中してしまった。
私の行動を変に思って見ていた友人も青ざめた。
私が掘り起こしたところには、間違いなく、あの店員が埋まっていた。
友人は急いで警察を呼んだ。
そしてその時私は気づいた。私の中指には他にもたくさんの赤い糸が結ばれ、それは全て、地面に埋められていることに。
この赤い糸は決して運命の赤い糸ではなかった。
あなたに結ばれているのは、見つける側の方か、もしくは…。
お読みいただきありがとうございます。
電車の中でなんとなく書いたものなので怖くなかったかもしれません。ですが、もしよろしければまたの機会に、別の作品でもお会いできることを。
あと1つ。hはホラーのhです。