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突然ですが、人は弱っているときほど心細くなるものですよね?
私は親切新で介護をしようとしているのに何故……
「大丈夫……ゴホッ♪ゴホッ♪ ……本当にいいから……」(メーシア)
あれから家に帰って来たメーシアさんは、レイちゃんに3日3晩しかり続けた結果風邪で逆に寝込んでしまい今に至る。
「無理は良くないよ♪ さあ、体を拭いてあげるから脱いで♪」(ヨウコ)
辛そうだし、寝汗が酷い。だからこそお湯を沸かし、清潔な布を持って来たのに拒否られる……理不尽よ。
「あの~~……ヨウコさん、日頃の行いがこう言う時に出るものですよ……」(レイ)
ガーーン♪ ……
「そんな……ワタシ……コノマチ……スクッタ……イイコシタヨ……ガガガガ……」(ヨウコ)
ドラゴニアからこの町を救った英雄だよ私……酷い……
「へんなところでは打たれ弱いのねヨウコさんって……ゴホッ♪」(メーシア)
「ヨウコさんって案外かまってちゃんだったり♪」(レイ)
言っちゃったよ……それは言っちゃっ~~いけない言葉だ……いじめちゃる……えぐっ♪ ……
「メーシアさん一人じゃ恥ずかしいみたいだからレイちゃんもフキフキしてあげる♪かも~~ん♪」(ヨウコ)
手をワキワキしながら私は迫る。
「なんで!? 私は病気してないよ!」(レイ)
自覚が足らんなこのケモミミっ娘は!
「ゲホッ♪ゲホッ♪ ……お願いだから寝かさせて……」(メーシア)
「親子で纏めて、ペロペロ祭りじゃ!」(ヨウコ)
と、その時にノックを叩く音が聞こえる。ドンドン♪ だが、私は無視をしてレイちゃんを追い込むが……
「ドンドン♪ ……王都より王命を伝えに来た!ただちに出てこい!これは王のお言葉である!」(?)
「ヨウコさん、いるかい? と言うかレイの雄叫びが聞こえたからいるのはいわかっておる。出て来てくれ。」(レーク)
半目になりながら頭を掻く。目の前のキャッキャッウフフを邪魔するとは……不機嫌な顔をして私は出る。
「何? 今取り込んでいるんですけど? メーシアさんも病気なんだから静かして下さい。」(ヨウコ)
「貴様!! 王よりの命をなんと心得る!」(?)
この家の二人に迷惑を掛けたくないので敬語で謝りながら威圧を掛ける。
「失礼いたしました。田舎の出でありまして、作法と言うものが分からぬ田舎者で御座います故、どうかごようしゃを。この通り、陛下の命に耳を傾けますので続きをお願いします。」(ヨウコ)
「………………………………………ッッ!?(化け物!!!!)」(?)
「…………………………………………………」(レーク)
声を出したくとも体を氷つかせたように動く事はおろか、私から目を背くことも出来ぬ男はジリジリと削られていく。
レークさんの所に威圧が届かぬように立位置を変えているが、事態を察してはいるようだ。
「陛下の命を伝えに来たのに貴方は命を無視するのですか?村長さん、王への反旗を見せた者はこの場で殺していいのかしら…」(ヨウコ)
更に威圧を高め男を壊そうとしたが止められる。
「その辺りで勘弁してやってくれないか、ヨウコさん。」(レーク)
「……………村長さんに感謝するのね。貸し1つよ。」(ヨウコ)
「……失礼いたしました……時間もあまり無さそうなので手短に伝えます。龍の鱗を売って頂きたい。」(?)
「断るわ。礼儀も知らない人を寄越すような王を相手にはしない。もし、力づくで来るなら来なさい。」(ヨウコ)
口を開けて言う。
「一人残さず生きたまま食べてあげる……って言ったら信じる?」(ヨウコ)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(?)
「だからあれほど言うたのに……なあ、ヨウコさんや、事情があるんで儂の顔に免じて話を聞くだけ聞いてはくれんか?」(レーク)
「ん、……そんな風に言われたら断れないじゃん……」(ヨウコ)
仕方がなく聞いた話は王の息子、レナス王女の事だった。
謎の病に倒れ、国中の医者や高価なアイテムを試しているが効果なし、もはや残る手段はドラゴンの鱗となり、国中から取り寄せて飲ませたところ効果があり喜んだのだが、回復には至らぬ量しかない。
その為に一時的にしか症状を押さえることしか出来ない。そこで噂を聞き付け駆けつけたようだ。
なら、最初から高圧的な態度を取るなと男を説教した。
それで王女の命が失なわれたら本末転倒だろと、説教されて初めて気がつく様子に、私は目頭を押さえた。
しょうがないので条件を出す。メーシアさんの分の薬も作る事。
その条件を承諾したと男に手紙を書かせて私は支度をする。
急いで支度した私は何事かと待っていた二人と一匹に声をかける。
「ちょっと王都ま野暮用で行って来るから、メーシアさんの看病よろしくね。メーシアさん、薬を作って貰ってくるから大人しく待っててね♪ 詳しいことは村長さんに聞いてね。ピヨン、留守の間村の事をたのんだよ。帰って来たらあんたにご褒美のハチミツを食べさせてあげるからしっかりやんなよ。」(ヨウコ)
「びよ!?びよ~♪」(ピヨン)
たまにはピヨンにも飴をあげないとね。ダッと階段を降りて外に出る私を二人は呆然と見ていた。
「あっ!ヨウコさん……行っちゃった…」(レイ)
「ゲホッ♪ ゲホッ♪ ……これでゆっくり静養出来る……しくしくしく♪」(メーシア)
村長さんにも二人の事を頼むと男に問い掛ける。
「で、王都はどっち?」(ヨウコ)
「はっ? ……あちらの方角です……?」(?)
「距離は?」(ヨウコ)
「馬で1週間程です。」(?)
このアホをホントにどつこうかと思った。時間がないじゃないの!
「あんた王都で要件済んだらただじゃおかないから覚悟しなさい! このアホがぁぁ!!! 時間ないのに……あぁ~~もうっ! 全力で行くわ! 行って来ます。」(ヨウコ)
道の真ん中に踏み込んだ衝撃でクレーターが出来てしまった……帰ったら直さないと……
私は王都に向かって全力で疾走した。
「お前さん……ヨウコが戻って来る前に遺書を書く事を薦めるぞ。」(レーク)
返事を返すことなく失神した男を見て、ため息が出る村長だった。




