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私は森の中をゆっくりと移動してる。日はまだ真上にのぼりきっていないところを見るとまだ午前中みたいだ。1日が24時間かどうかも怪しいがそう判断するしかない。
たまに風が吹いて木々が揺れる音に私は硬直する。ビビリと言うかもしれんがここは異世界だよ?モンスターが突如現れれば私なんてお仕舞いだ…
そもそもこの森を抜け出した処で安全とは限らない。下手すると言葉すら通じなく孤独に生きていかねばならぬかもしれない…
最悪な時には嫌な事しか思い付かない。だから、これも最悪な思い付きだ……私は下を向きながらゆっくりと目と鼻を総動員してある物を探している。はっきりと言おう!モンスターの汚物だ!
私のアビリティーは汚物を食すことで経験値となり力と成す。ならば今は緊急事態だ!砂漠に取り残され、水分補給が自分のオシッコしかない状況ならどうする?私なら迷わず飲む!そういうわけだ………まだ20前の私だが汚物を愛すると言った言葉に後悔はすれど嘘はない。
それは私自身が汚物扱いをされ身を持って知ったからだ…よくよく考えれば私に相応しい力じゃないか!どうせ異世界だろうがどこだろうが人の本質は悪!あんなのに染まる位なら私は汚物で構わない。
心の整理をつけ、見逃さないように私は探す……モンスターの汚物を!どこよ……異世界だから犬の汚物みたいにちゃんと処理してないでしょ?なんでないのよ!
血眼に探していると突然茂みが揺れる!ガサッガサッ♪その音に私は硬直して息を飲む。茂みはなおも揺れ、何かが飛び出す………ウサギ?茶色く膝位の高さがあり、真ん丸で円らな瞳をしており長い耳は完全に垂れ下がっている。
その愛くるしい姿に一瞬心を奪われるがウサギはこちらに気がつくと驚き今出てきた茂みに戻ってしまった。肉食モンスターでなくて良かったと安堵するが1つ思った。あのウサギの来た方角を辿れば汚物を発見出来ないか?
そう思い私はウサギの後を追う。