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ここはモティブの村は小さいながらも近くにモンスターのメッカであるオヤシロ様の森がある為、冒険者やモンスターの素材を買い付けに来る商人等でそこそこ賑わっていた。
だが、そんな村が何故発展しないかと言うと…このモンスターの棲みかである森の主のオヤシロ様が度々村の住民を食べに来るからだ。
皮肉な事にこの村はそのオヤシロのを討伐をしにやって来た冒険者達が宿泊費や村の物を購入する事で村に金を落とし、商人も冒険者の獲得した素材を現地で買えば中間を挟まない分、利益が出るのでこの村に良く足を運んでいた。
そのおかげで物資も世間一般の村とは比較出来ないほど充実していた。皮肉な事にそのオヤシロ様のいる森のおかげで辺境の地でもやっていける複雑な村であった。
そんな村にも一応小さいながらも冒険者ギルドはあり、そこに冒険者達が今朝から詰めよっていた。
この冒険者ギルドで働く獣人のミクスは感じていた。そう、ここの処、様子がおかしいのだ。森の中でしか見なかったマーウルフの群れが平原に出てきて冒険者を襲ったり、ジャイアントスパイダーが街道の隅に巣を張ったりと今までに無かった行動をとり始めていた。
そのせいで今村には新人クラスで生き延びた冒険者は他所へと移り、そこそこ経験のある冒険者……はっきり言えば素行の悪いあらくれが残ってしまった。
しかし、こういった前触れには必ず何か大きな厄介事が舞い込んで来るものである。ここ最近そんな対応と報告書の作成で今日も残業かと思うとヘトヘトになるミクスであった。
そんな彼女に追い討ちが掛かるかのように突如報告が入る。正確には村で見張りをしてる者が鳴らす鐘の音。一回なら注意せよ!二回なら女子供は家に入り無事が確認取れるまでは出てくるな!三回ならみんな武器を取れ!四回なら…………それ以上決めてはないが激しく何度も狂ったように鐘がなり響く!
それが鳴らしてる者がどう言った心境で鳴らしたにせよ録なものでないのは一目瞭然。全ての職員と冒険者は装備をつけて外へと様子を見に行く。村の遠くから轟音と土煙が上がる。
一筋の土煙なのにその音はモンスターの大群が押し寄せるかの如く音を発し近づいて来る。村の守衛の数名は愛する家族の名を心で呼びながら覚悟を決める。
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろと本能が訴えるが家族が!友人が!冒険者の一人でもここから生き残る為に折れた心でありながらも踏み止まる。そんな彼等の想いを踏みにじるように女は呑気な声を出す。
「村についたどーーーーーーーーーーーーー!」(ヨウコ)
「ヨウコさん…………オロロロロロロロロロ♪」(レイ)
「キャーーーーーーーーー♪レイちゃんしっかりして!!!衛生兵!早く!!衛生兵!」(ヨウコ)
この村にとってそれは忘れられぬ一夜となるのだった。




