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Trans Lover's  作者: 霊雨
14/20

ep13

あれ、いつの間に一週間過ぎてたんですか?(白目)

 数日ほど経った日のHR、説明を終えた担任の先生がクラス中に聞こえる声量で続けて言った。


「よぅし、じゃあ5人で班作れぇ」


 それを聞いたクラスメイト達はざわざわとざわつき始め、周囲を見渡し始める。仲がいい奴同士で組む奴らは既に班作りが終わっていた。

 いま決めているのは高校入学後最初の学校行事、一泊二日のオリエンテーション合宿で活動する班だ。1班5名で男女の比率は問わず。逆ハーレム状態になっている班もいるみたいだ。

 幾つかの男子班がこちらをチラチラと見ているのに気が付いた、俺と視線が合うと相手はすぐ逸らすが俺が視線を外すとまたチラチラと見てくる、なんだアレは。

 チラ見達はいずれも男子4人班であと一人足りないという班ばかりだった、俺を誘うつもりなのか? 男誘っとけよ、行くわけないだろ。

 このクラスには幸いにも杏子と薫がいるからな……恐らく一緒の班になってくれるだろう……筈だ。あと2枠は……井上と天笠で良いか……井上は昔から知ってるし、天笠なんて女みたいなもんだからまだ知り合って間もない女子よりかは大分やりやすい。ま、まだ決まってなかったらの話しなんだけどな……


 取り敢えずこの視線も鬱陶しいのでまずは杏子でも誘おうかと思い、席を立つと横から声がかかった。


「あ、あの……日野原さんっ!」


 チラ見男だった。俺を呼ぶときは妙に声が上ずってたがどうしたというんだ。

 今から何を言われるかは大体察しがつく為、必然的に眉が少し下がってついつい頭を掻く仕草をしてしまう。


「お、おお俺たちと同じ班に……!」

「あ〜ごめん、もう誰と組むか決めてるんだ」

「そ、そうなんだ……」


 そんな落ち込むなよ……他にも女子いるだろうが……おそらくは断られるだろうけど。男4人の中で一人だけ女っていうのはなかなかキツいと思うぞ、ちょっとギャルっぽい子がそんなことになってるけどアレは例外かな。

 落ち込むながら自分の班の元へと帰っていく男子を尻目にさっさと杏子のところまで行く、件の杏子はと言うとさっきの光景を見ていたらしく、にんまりと笑顔を向けてきた。


「モテモテね」

「全然嬉しくない」

「ちょっと、イヤミ〜?」


 と、後ろから薫もやってきた。薫はそんなことを口走ってはいるけど、本心からではないようで杏子と同じように俺をからかうような口調でそう言ってきた。


「イヤミじゃねぇよ……」

「それよりも、この3人は確定ね」

「そうだね〜私も2人がいた方が安心だし」

「そうだな、杏子が入れば熊が出ても大丈夫そうだ」

「そう言う意味じゃないよ……?」


 そうか? 杏子なら熊ぐらいなんとかできそうな気もするんだけどな……

 ともかく、後2人をどうするかだな。

 取り敢えずは井上と天笠という俺の意見を2人にも伝えてみた。


「そうね、良いんじゃない?」

「私も良いよ〜」


 2人ともすんなりと受け入れてくれた。まああの2人は妙に安心感があるからな……本人たちにとっては嫌なんだろうけど。

 そうと決まれば2人が他の班に誘われる前に誘っとかないとな。


「天笠もそれでいいか?」


 杏子の1つ前の席に座る天笠に俺はそう問いかける。


「気付いてないのかと思ってたよ」

「そんな訳ないだろ……っとあとは井上だけだな」


 井上の席は……確か最前列の真ん中だったはずだ。


「何やってんだアイツ……」

「さぁ……」

「寝てるのかな?」


 当の井上はと言うと、机に突っ伏して寝たふりをしていた。ホント何やってんだアイツ。

 あの様子から見てまだ誰にも誘われてなさそうなので近付いて声をかけてみる。


「井上?」

「ヒノ……?」


 すると俺が来たのに気がついたのか井上が顔を上げた。

 何故か井上は涙目になっていた。


「ど、どうしたんだよ……」

「俺って嫌われてんのかなぁ」


 俺がそう聞くと井上は天上を見上げながらぼんやりとそう呟いた。


「は?」

「さっき一緒に組もうぜーって言ったら断られたんだよ……」

「いや、もう人数集まりきってただけだろ?」

「3人しかいなかったし……」

「他のメンバーはもう決まってただけじゃないのか」

「いや……『井上はダメだ』って言われた」

「嫌われてるわ」

「うああぁ……」

「じゃあ井上はフリーだな、じゃあ俺らと組もうぜ」


 そう言った途端、クラスの空気が一瞬固まった……ような気がした。なんか寒いんだけど……もう4月だよな……?

 井上は俺の方を向いて目を輝かせている、疚しい気持ちを感じさせない……なんというか希望を見つけた少年というか、率直に言えば餌を貰うときの犬みたいな印象を受ける。


「え?」

「いや、だから俺らと班組まないか? 天笠もいるし……バランスも取れてるし丁度良いだろ?」

「そ、そうだな……じゃあそうするわ」


 よし、これで5人決まったな。体力仕事があれば全部井上に押し付けるか。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 春先だから山も涼しいかと思ったけど、そんなことはない。


「暑いわね……」

「ホントに春かよ……」

「冷房の効いた部屋でゴロゴロしたい……」


 現在絶賛山の中、オリエンテーション合宿中だ。

 オリエンテーションといっても授業の一環なので全員体操服姿で今は山登り中、というよりも宿泊施設が頂上だ。ちなみに大きな荷物は既に車で頂上に運んであり、俺たち生徒はそれほど大きな荷物は担いでいない。というか車で行く道があるならそっちで良くないか? と思ったのは俺だけではないだろう。

 まぁ、山登りもそこまで嫌いじゃないからいいんだけどな……学校行事となると話は別なんだよなぁ。自由に動き回れるからこその楽しさってものが無いし。


「おい井上大丈夫か?」

「なっ、何がだよ」

「汗凄いぞ」

「……なんかさっきから後ろからの視線が怖いんだよ……」


 後ろ?

 身体を傾けて井上の後ろを見てみると多数の男子と目が合った。俺と目合った男子達が一斉に横の木々を鑑賞し始めた、露骨過ぎる。


「何やってんだあいつら」

「なんとかしてくれよ……」

「自分でなんとかしろ」

「俺がこの2日間生き残れるかな……」

「んな大げさな」


 俺が再び視線を前に戻すと横目にチラッと井上がビクっと跳ねたのが分かった。


「男の性ってものよ」

「性ねぇ……」

「そうだよ、実質この班の男子は井上君1人みたいなものだからね〜羨ましいんじゃない?」

「えっ!」


 薫の言葉に天笠が声を上げた。


「まぁ天笠は女みたいなものだからな」

「え、えぇ〜そんなに?」

「知らない人がみたらまず男とは思わないわね」

「そうだな」


 天笠は自分が男だと思われていないのがショックだったのか肩を落として歩き始めた。天笠には悪いが実際男には見えないんだよなぁ……今も体操服を着ているけど、全体的に細いし、男子の体操服を着ているのに違和感を覚えるレベルだった。


「まぁそれを言うなら月乃も大概よ」

「俺?」

「そうよ、アンタ最近ますます男っぽいわよ」

「褒めんなよ」

「褒めてるわけじゃないわよ?」


 俺は前世が男ってこともあって特に嫌な気はしないな、どっちかっていうとフリフリの服とか嫌いだし、「かわいい」だのなんだの言われるよりは「かっこいい」と言われたほうがしっくりくるような気がするし。


「お、そろそろ頂上か」


 雑談をしながら登山しているとあっという間に頂上についた、案外低い山だな。


「あぁ〜やっと着いた〜……もう足パンパンだよ……」

「そう? それほどでもないわよ」

「そうだな、富士山に比べると低くて仕方ないな」

「アンタは何と比べてんのよ」


 兎も角、頂上には着いた。この2日間……何も起こらないと良いんだけど。




 この2日間の合宿で、俺は自分の人生を変える切っ掛けになる人物と出会うことになるのだが……この時のは俺はまだ知る由も無かった。

すみません、車の免許取りに行ってたらもうこんなに日が過ぎていました。一週間ってなんでこんなに早いんでしょうね……

次は……次は早く上げます! ……タブン。


読了感謝です、更新遅いですけど頑張りまする。感想返信もすっごく遅いですけどしっかり返しますよ!

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