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Trans Lover's  作者: 霊雨
13/20

ep12

短いけど勘弁してつかぁさい!

「というか、お前らどうやって知り合ったんだ? 接点なさそうだけど」


 昼休み、俺は前の休み時間に聞けなかったことを井上に問い詰めていた。

 その中で一番なのがやはりこれだろうな。天笠は見た目は色白の美少女で、線も細いのに対して、井上は全身が焼けている筋肉質ながっしりとしたスポーツマン体型だ。普段から外を駆け回っているような井上と天笠の接点は無さそうにみえるが……


「あぁー……」

「そ、それは……な?」


 俺がそう質問すると、天笠と井上は二人してチラリとお互いの顔色を見て、天笠は溜め息を吐いて井上は視線を泳がせた。


「なんだよ」

「な、なんでもねぇよ! な、弥里!」

「え、うん……そだね」

「明らかに何かあるだろ!」


 遠くを見つめる天笠を見て俺は再度井上に言い寄るが、井上は一向に話す気配がない。

 井上は何故か汗をダラダラ流して焦っている様子だった。


「ソウイエバヨウジガアルンダッタ」

「あ、こら待て! 逃げるな!」


 棒読みで嘘を吐きながら教室を出ていこうとする井上を捕まえようとして手を伸ばしたが、触れる寸前で手が止まってしまう。

 自分では掴もうと思っているのだが、何故か身体がそれを拒絶する。

 いや……これも切っ掛けと思えばイケル、いつか治さないといけないならいつ治すのか……


(今だあああ!!)


 目を閉じて手を伸ばし、井上の制服を掴む。すると俺の指先(・・)に布の感触が伝わってきた。

 ……案外行けるもんだな、ちょっと身体震えてるけど勘弁して。


「に、逃げるな……」

「お、おぅ……」


 キリっとした視線を井上に向けてそう言うと、井上もその場に立ち止まった、どちらかと固まったっていうほうが正しいが。なんだ、そんなに俺が怖いのか……? 


「月乃……あんた……」

「き、杏子、見ろ、捕まえたぞ」

「え、俺って虫みたいな扱いなの?」


 井上はスルーで良いとして、杏子が驚いたような顔をしていたので俺はドヤ顔でそう言った。すると杏子はすぐに顔を崩して頬を緩めながら「そうね」と続けた。


「それは捕まえたとは言わないわよ」


 制服を裾を指先でギュっと掴んでいる俺に杏子はそう言い放った。仕方ないじゃないか、これが限界だったんだから。


 ちなみに、あとから聞いた話だと、この時の俺はプルプル震えながら井上を制服を裾を指先で掴んで上目遣いを繰り出す小動物的な存在に見えていたらしい。


「……いつかアイアンクローしてやるからな……」

「なんで!?」


 そっと掴んでいた指を放しながら井上にそう宣言しておいた。




「はぁ……分かったよ! 言えばいいんだろ!?」


 その後、すごすごと戻ってきた井上は諦めたようにそう叫んだ。


「お、やっと話す気になったか」

「早く言いなさいよ、時間が勿体無いわ」

「井上くんって案外ヘタレだよね〜」

「お前ら酷くない!?」


 俺、杏子、薫に滅多打ちにされて若干涙目になりながらも、井上は胸に手を当てて息を整え、ついに決心したような真剣な表情で真実を語った。


「ま、間違えたんだよ」

「は?」

「女と間違えたんだよ! 弥里を! 女と!」

「いや、だから?」


 見た感じで天笠を女だと思ったのは俺を一緒だしな、というか言われなきゃ気が付かなかったかも知れない。というか天笠を女だと間違えただけでここまで引っ張るか?


「天笠も知ってるんだろ、当事者なんだから」

「え!? う、うん、まぁね……」

「で、真相はどうなのよ」

「井上、アンタはもういいわよ。ほら、用事があったんじゃないの?」

「いやもうホント勘弁してください……」

「止めたげて杏子ちゃん! 井上くんのライフはもうゼロよ!」


 杏子の追い打ちに井上は涙をホロリと流していた、泣くなよ……冗談なんだから。杏子は本音かも知れないけどな。


「女の子と間違えられて告白されたんだよね」

「え、誰が?」

「僕が」

「誰に?」

「勝吾くんに」


「は?」という声が俺たち3人の口から漏れた。あ、ちなみに勝吾っていうのは井上の名前だ。

 俺たちは天笠から視線を逸らして汗をダラダラ流して視線を泳がせている井上を見た。

 井上が……天笠に……告白……


「くっ」

「っ!」

「くす」


 一瞬シーンとした間があったが俺がクスリと声を漏らすとそれを切っ掛けに杏子と薫も耐えられなくなったようで一気に我慢の限界が訪れで笑いが巻き起こった。


「あっはははは! 腹痛い!」

「い……っ井上……アンタっ……!」

「あはは! ……拡散しとこ」

「お、お前らぁ! だから言いたくなかったんだよ! あと広瀬さん、お願いだから拡散しないで!」


 スルスルと高速で文字を打っていた現代の女子校生っぽい薫は拡散を終了させてからケータイをしまったにっこりと笑いかけた、存外鬼畜だな薫も。


「うわあああ何か一杯通知きたああ!!」


 ティロティロと井上のケータイからは通知音が鳴り続けていた。

 あとで井上から聞いた話しだが、どうやら井上が鈍感になったのはこれが切っ掛けらしい。なんでも告白を受けて男子だったらどうしようかという一種のトラウマのようなものが出来てしまったのだとか。そんなに頻繁にそんな状況ないだろうがとも思ったがどうしようもないので放っておいた。

 井上にいつ春は来るのかな……。

一週間以上ぶりですね、つい先日高校を卒業した作者です。

このペースが板についてきそうで怖いです、書き始めると早んですけどね……書くまでが遅いっ!

しかも難産……う~ん……ちょっとリハビリにファンタジーものでも描いてみようかなって思ってます。


ここまで読了感謝です! 次回は……早めに上げますんで! 多分!!

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