日常の崩壊
今日も空は青い。街を行き交う人達はみんな忙しそうに足を進めていく。
「会社行くのめんどくさいなぁ」
これは毎日のお決まりのセリフである。とりあえず言うことによって今日1日のモチベーションをあげるのだ。
私の名前は橘 美花。25歳。超がつくほどの普通のOL。美しい花でみか、だなんてこの年では何だか恥ずかしい独身女
趣味はもっぱら飲み歩き。毎週金曜日の夜は1人寂しくおじ様方に混じって生ビール。
何処にでも居る何の取り柄もない女
「今日は待ちに待った金曜日!早く仕事終わらせていつもの店行こうっと!」
そう、いつもと変わらない
何にも変わらない筈だった。
「くそー!何で今日に限って部長は私に仕事押し付けてくるのかな!」
定時は17時。時計を見ると23時を過ごしていた。今日は大人しく帰ろうとガックリ肩を落としながら駅に向かう。
ふと、辺りを見渡すといつもよりも人通りが少なく違和感を覚えた。
「まだ23時なのに、人がまばら…不思議なこともあるんだな〜」なんて、独り言を呟きながら歩いていると-ー-
一瞬、自分の周りだけグニャリと世界が歪んだー-気がした。
--ーpi pi pi pi
「んー…後、五分だけー」
ん?
「いつ、帰って来たの私…」
何も思い出せない。どうやって家に辿りついたのだろうか。昨日、視界が歪んだ気がした時からの記憶が抜けている。
「とうとう、酒に負けたか…」
時計の針はもうすぐ10時を指そうとしている。
「とりあえず、シャワー浴びてこよ…」
4、3、2、1
「なっ、何--ー!!?!」
頭が割れそうに痛く、その場に蹲る。恐怖で足が震え、冷や汗は止まらない、と同時に自分の頭の中にわけのわからない映像が埋め込まれていく感覚。
「な、に…っ…助け…て」
どのくらい時間が経ったのだろうか。
痛みは嘘みたいになくなっていく。スゥーっと体が楽になりベッドに横たわる。
「一体なんだったの…」
自分でも何が起こったのか理解出来ない。ただ、一つ分かる事は、誰の物かも分からない見たこともない映像が自分の頭の中にあるという事だけ。
平凡だった日常。このまま何も変わらず年を取って行くものだと思っていた。今自分の身体に何が起こっているのだろうか。
どうして私の頭の中には、知らない女の人が真っ赤に染まり横たわっているだろうか。
記憶共有システム
そんな非現実的な事はただの都市伝説だと思っていたのに。




