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嘘つき魔術師  作者: その他大勢
第四章【魔物の王女様】
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今回は私の趣味、というか得体の知れない何かに突っ走るかと思います。

 あまりにも昔の事すぎて忘れてしまった。

 まだこうして人間に擬態できるようになる前に出会った男の子の顔を。

 どんな感じだったのか、今では全然思い出せない。髪の色と長さ、目の大きさと瞳の色、ニオイ、口調──それら全て忘れてしまっていた。

 わかるのは、あの男の子が裏切ったという事だけ。

『トモダチ』と、その男の子は言っていた。だけど第三者が引き離してくれたお蔭で、もう会う事はなかった。

 ヒトに擬態できるようになったのは今から一二年前だ。そのときになってもう一度、その男の子は姿を現した。

 あのときは嬉しかった。引き離されて、ようやく出会う事ができたのだから。

 再会した男の子は、やけに衰弱していた。頬は痩せこけ、目の下のクマは濃い。放っておいたら危険な状態だ。

 救わなければならないと、その男の子に近づいた直後、ナイフが足元に刺さった。あと数センチメートル動いていたら、脳天に突き刺さっていた。

 すぐに部下に抱えられ、その場を離れた。

「やはりあの少年は危険です。排除しなければ、あなた様にも危害が及びます」

 部下の一人がそう言ったのは明確に覚えている。

 そしてその二年後、今から一〇年前だ。その男の子に接触した仲間が傷を負って帰ってきた。その傷を与えたのはその男の子だったと言う。

『トモダチ』と言ったのは嘘だったの? と問い質したい気持ちで一杯だった。でも近づけば傷を負う。

 それ以来、その男の子には近づかなくなった。

 今どこで何をしているのかはわからない。だけど、せめてもう一度だけ会いたい。

 どうして裏切ったのかのも訊きたいが、まず第一に『ワタシ達はまだ「トモダチ」なのかな?』とその男の子の口から答えが聞きたかった。

 だからどこにいるのか誰か教えてほしい。初めての『トモダチ』の居場所を。

 そして今日も、人間の中に溶け込んだ生活を送る。

敢えて言えば、私はケモナーかもしれません。人外娘が好きな変態なんです。

後はわかるな?

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